北海道・網走から日本一を目指し
今年も、大学野球春の日本一を決める熱い戦い、全日本大学野球選手権大会が始まった。第74回を迎えた今大会も、北は北海道から南は熊本県まで、全国27の学生野球連盟・春のリーグ戦を制した大学が集まり7日にわたるトーナメントを勝ち抜き、日本一を目指す。
第71回大会以来の初戦勝利、第68回大会以来のベスト4を目指し、今年も”最北の地”から東京農業大学北海道オホーツク(北海道学生)が、大学野球の聖地・明治神宮野球場に足を踏み入れた。

大学野球の聖地・明治神宮野球場-Journal-ONE撮影
東京農業大学北海道オホーツクは、大自然の景色や新鮮な海産物、海の上が一面の銀世界となる流氷の時期にはたくさんの観光客が訪れる北海道網走市から大学野球の頂点を目指すチームだ。
6大会連続21回目の出場となる第74回全日本大学野球選手権の1回戦、佛教大学(京滋大学)との対戦に臨む東京農業大学北海道オホーツクだが、昨年は天理大学に1-8、一昨年も日本体育大学に1-8とコールド負け。その雪辱を果たす意味でも、3年ぶりの1回戦突破が最低ノルマと言える。

北海道網走市から全国制覇を目指す東京農業大学北海道オホーツク-Journal-ONE撮影
昨年の神宮経験メンバーが成長を遂げて
今年キャプテンを努める、中澤空芽(4年=東海大甲府)はショートとしてフル出場した昨年のコールド負け直後、「東京に出てきてコールド負けで帰るのは本当に悔しい。秋も必ず神宮に戻って勝てるよう、これから課題を克服していきたい」と捲土重来を期し、北の大地で心技体を鍛え上げてきた。

攻守にチームを牽引する中澤空芽(東農大北海道オホーツク)-Journal-ONE撮影
その甲斐あって中澤は、北海道学生野球連盟の一部春季リーグ戦で最高殊勲選手賞を受賞。ベストナインに5選手を輩出し、10戦全勝で全日本大学野球選手権へのキップを掴んだ今年のチームには、「ここ最近では、最も期待の持てるチーム」と三垣勝巳監督も自信を覗かせていた。
投げても、昨年リリーフで神宮のマウンドを経験した渡辺恵多(4年=中越)が、リーグ戦2勝、防御率0.67と安定した投球を披露。投打の柱を中心に、北は北海道から南は沖縄県まで、日本全国の名門高校から最北の地・網走に集まり、男を磨いた選手たちの戦いに注目が集まった。

東農大北海道オホーツクのエース・渡辺恵多-Journal-ONE撮影
開始早々から思わぬビハインド
試合は初回から思わぬ展開で始まった。エース・渡辺が1死後突如制球を乱して連続四死球で走者を背負うと、3本の長短打を浴びて4点を献上してしまう。立ち直りたい2回にも制球が定まらない渡辺は、先頭打者に四球を出すと直後に2点本塁打を献上して計6失点。1回0/3、わずか35球で菊地千明(2年=中標津)にマウンドを譲ることに。
エースの思わぬ大量失点に、3年連続のコールド負けが過る東京農業大学北海道オホーツクの応援席。“大根踊り”の名で知られる伝統の応援“青山ほとり”で選手たちを鼓舞し、ここからの巻き返しを祈った。

”大根踊り”で選手を鼓舞する東京農業大学全学応援団-Journal-ONE撮影
何とか点差を詰めたい東京農業大学北海道オホーツクは、ようやく3回裏2死から1番・北口祥夢(4年=旭川実業)、2番・友寄功太(4年=沖縄水産)が連続安打で出塁すると、連続四死球で押し出しの1点を挙げて反撃を開始するも、直後の4回表に菊地が2点本塁打を浴びてさらに点差が広がる序盤から苦しい試合展開を強いられた。

東京農業大学北海道オホーツクは北口祥夢の安打から反撃開始-Journal-ONE撮影
声を掛け合う“三垣野球”で流れを引き戻す
大きなビハインドを背負っても「ここから行くぞ!」「繋げ繋げ!」と声が途切れない東京農業大学北海道オホーツクベンチ。網走のグラウンドでも終始響き渡る声出しは、三垣監督が大事にしているチーム作りの根幹・集団としての一体感を示すバロメーターだ。
