
巨大トレーニング室前にはTEAM KOREAのオブジェが-Journal-ONE撮影
壁沿いに並んだランニングマシーンだけでも、凡そ40台以上。その壁面には歴代のメダリストたちの写真や大きな太極旗(태극기)が掲げられ、トレーニングに励む選手たちを鼓舞している。取材当日、伊予銀行ヴェールズの選手たちと一緒に、レスリング韓国代表の選手たちが汗を流していた。
他にもウェイトを用いたトレーニングをするゾーンや、様々な部位を鍛えるトレーニングマシン、ストレッチゾーンや格闘系の選手たちのためにサンドバッグも設置されている。常に水分捕球ができるよう、広大な敷地の両端には給水用のペットボトルや給水機が備え付けられており、選手たちは時折喉を潤しながらそれぞれのトレーニングメニューをこなしていた。
散策でリフレッシュできる環境も整備
トレーニングセンターを越えると、今度はオリンピックマークのモニュメントを配した中庭のような空間が見えて来た。この中庭にはカフェが併設しており、コーヒーを無料で楽しめるようになっている。コーヒーをこよなく愛する韓国の食文化らしさを現したリフレッシュできる環境が整えられていた。

無料カフェが併設された中庭風の広場-Journal-ONE撮影
トレーニングの合間、リフレッシュできる緑豊かな中庭を過ぎると、緩やかな坂の散歩道に沿ってフットサルコート、3×3バスケットボールコート、屋根で覆われたトラックのある多目的フィールドとおしゃれな公園のように施設が連なっていく。この憩いの空間は巨大な宿泊施設と並んで配置されているため、滞在する選手たちは公園の中に住んでいるかのような住環境だ。きっと、選手たちにリラックスして練習に打ち込んでもらうことを想定して設計されたのだろう。

選手宿泊施設はリラックスできる環境に囲まれている-Journal-ONE撮影
徐々に勾配が急になる散歩道をさらに歩き進めると、3×3バスケットボールコートの上にかかる大きな空中廊下の下をくぐる。この左手奥には600人が同時に食べられる選手食堂となっていて、選手たちは様々なメニューを無料で食べることができると言う。
残念ながら、選手食堂への立ち入りは認められていないため今回は紹介できないが、トップアスリートの身体を作るこの食堂を使った伊予銀行ヴェールズの選手たちいわく「食堂の広さがとてつもなく広かった」「お肉だけでも何種類もの料理があり、アスリートのことをよく考えたメニューになっていた」「もちろん、味も最高!」と、好評価ばかりの感想だった。

食堂に繋がる巨大な空中廊下-Journal-ONE撮影
ソフトボール場に到着すると、トイレ施設共用する3階建て、延べ床面積14,149㎡の大きな建物が一塁線に沿って併設されていた。この施設は“オリンピックホール”という名の室内競技複合施設。セパタクロー、スカッシュ、卓球、ハンドボール、バドミントンといった世界でも強豪選手たちを輩出する室内競技専用の体育館がそびえ立っていた。

3階建ての巨大な副業競技施設“オリンピックホール”-Journal-ONE撮影
スポーツが世界中の人と人とを笑顔で繋ぐ
2017年にオープンした鎮川ナショナルトレーニングセンターは、日本のスポーツにも良い影響を与えてくれた。日本のナショナルトレーニング施設の最高峰である“味の素ナショナルトレーニングセンター”にそのメソッドを活かそうと、スポーツ立国推進の最前線で旗を振る遠藤利明前自民党総務会長も視察に訪れたという。
2006年のトリノオリンピックで、わずか金メダル1個に終わった日本代表のアスリートたちが、2021年に延期された東京オリンピックで金メダル27個を含む過去最多の58個のメダルを。続く2023年のパリオリンピックでは、海外の大会での最多獲得数となる金メダル18個を獲得するまで復活した道程に、この鎮川ナショナルトレーニングセンターから得た学びがあったことは間違いない。
