ゴルフの上達を兼ねて女子プロのツアーを見に行く
最近、ドライバーが右へ行ったかと思えば、次は左へ曲がるなど、その行き先が予測不能なので困り果てている。と言っても、これは別にお抱え運転手がいて、その男がこちらの意思を無視して、好き勝手に車を運転しているという話ではない。ゴルフの話である。
念のため説明しておくと、ドライバーとはゴルフクラブの中で最も飛距離の出る、主に第1打で使用するクラブであり、こいつがそれなりの頻度でコースの幅に収まってくれないと、本来は娯楽であるはずのゴルフのラウンドが、その日はある種の修行の場と化すのである。
少し技術的な話なるが、私の場合、振り遅れて右の林へ「さよならグッバイ」するか、その反動で無理矢理つかまえにいって左の林に「さよならグッバイ」するケースが多発している。
ただ、筋金入りの無精者なので、腕前がヘッポコな割に、レッスンに通うという至極真っ当な解決策に打って出ることはせず、ではどうしているのかというと、TikTokでひたすら”ロリー・マキロイ”のスイング動画を見まくって、美しいスイングのイメージを体内にインプットしようと努めているのであるが、今のところ効果は全く見えてこない。頼むぜ、ロリー。
こうなったら、実際に現場へ赴き、この目でプロのプレーを観察すれば、何らかのヒントが得られるのではないかと思いつき、スケジュールを確認すると、折よく7月の第1週に戸塚で女子の大会が開催されるではないか。

戸塚カントリー倶楽部のコース-平床大輔撮影
考えてみれば、これまで男子の大会は何度か見に行ったことはあるが、女子はまだない。この原稿の取材も兼ねれば、一石二鳥。行かないという選択肢はない。いざ戸塚、である。というわけで、そろそろ気象庁がいつものように事後報告的梅雨明け宣言をするのではないか、と思われるほど熱暑の続いた7月上旬、私は車上の人となった。
名門ゴルフコーズへ早朝から向かう
この度目指すのは、超がつくほどの名門”戸塚カントリー倶楽部”で開催される”資生堂・JALレディースオープン”。木曜から日曜にかけての4日間競技で、土・日の決勝ラウンドは漁があって行けないので(私はパートタイムで漁師をしているのです)、金曜の第2ラウンドを観戦することにした。
チケット代は3,900円也。専用のチケットサイトでクレジット決済すると、チケットのQRコードが発行されるシステムで、どこかの大手サイトのように各種手数料は発生せず、額面通りの金額を支払えばOK。ちなみに土日の決勝ラウンドはそれぞれ4,900円で、当日券は4日間いずれも1,000円増となっている。

早朝の二宮駅。ホームに人影はなし-平床大輔撮影
今回お邪魔する(という言い方もどうかと思うが、普段は縁のない名門カントリー倶楽部なので、少しばかり気後れする部分はある)戸塚カントリー倶楽部へは、JR東戸塚駅西口から臨時のシャトルバスが出ているとのことなので、東戸塚へ向かうことに。
拙宅のあるJR二宮駅から向かう場合、東海道線の上り電車に乗り、戸塚で横須賀線に乗り換えて1駅行けば、もう東戸塚である。東海道線ユーザーにとって、東戸塚は通り過ぎる駅でしかないので、私には未知の通過駅となる。マイクロスコープ的な未知だが、それでもちょっとしたワクワク感はある。この歳になっても、初めての体験というのがゴロゴロ転がっているから、世の中は面白い。
ゴルフ場のゲートオープンは6:30で(土日は7:00)、それに合わせて臨時バスも運行しているとのこと。1日たっぷりプロゴルフを堪能しようという肚なので、ゲートオープンから逆算し、5時過ぎ二宮発の列車に乗ることに。
自分がゴルフをするかのような出で立ちで戸塚へ
そんなこんなで算段を整えると、当日、私は自分がプレーするわけでもないのに、ホワイトのキャップ(ナイキ)、ターコイズブルーのゴルフ用ポロ(ナイキ)、ホワイトのショートパンツ(ユニクロ)、そしてホワイトのスパイクレスゴルフシューズ(ナイキ)という出立ちで、名門コースへの潜入取材を試みた(いや、普通にチケットを買って観戦に行っただけです)。
本人的には「練ラン(練習ラウンド)のマキロイ」風なのだが、平日の朝からポロシャツと短パンにリュックサック1つという姿なので、傍から見れば、「そこのナイキ好きのおっさん、ちゃんと仕事しろよ」である。ただ、ゴルフ観戦に行くと、自分を含め、ゴルフウェアにゴルフシューズ着用というこの手のおっさんは結構いるのである。
