
昔と変わらない人力での舞台転換に一同驚きましたーJournal-ONE撮影
そういって笑顔でセリに乗り込んだ3人。「行きます!」の合図で舞台上にゆっくり上がってきた時には笑顔を見せながら役者同様にポーズを決めていました。その後、普段から廻り舞台を回しているという舞台担当の方にお願いし、回る舞台に立つ体験も。ほかにも舞台の進行を知らせる ”柝(き)” を打たせていただき、演劇の世界をしっかり味わっていました。
着物を羽織って演劇の世界観を更に味わう
2階にも客席があるということで向かうと、また更に違った舞台の見え方をする客席に案内してくれました。
野々村さん:実は客席の2階にあるここの座席が一番お値段の高い席になります。ここからですと、舞台全体が見れますし、前に座ると花道を歩く姿も見ることができるのです。ここから見ていただく演劇は本当に素晴らしいですよ。そして頭上を見ていただくと、実は天井には人が歩ける通路があって、そこから花吹雪や、前の演目では本物の蛍を放したこともありました。

舞台上から見える2階席の正面が全体を見渡せる絶好のポイントーJournal-ONE撮影
安川:それはとても幻想的ですね。生き物と言えば弁天座には雀をモチーフにしたマークがたくさん書いてあって、のれんや提灯などの色々なところに見えてとてもかわいいです。詳しく聞いたところ、絵師絵金(幕末から明治時代にかけて活躍した土佐出身の絵師、弘瀬金蔵(ひろせ きんぞう)の愛称)の雅号「雀翁」からスズメをモチーフにしているそうで、弁天座のシンボルみたいになっていますね。私はこのスズメが可愛くて気に入りました。
と自らのスマートフォンでスズメのマークをカメラに収める安川選手。

弁天座のシンボルであるスズメのマークーJournal-ONE撮影
最後に野々村さんが奥から持ってきてくれたのが、歌舞伎で女方を演じる時に着用する衣裳。明るいオレンジ色の生地に、金色の糸で刺繍がされているとても華やかな着物に見惚れている三人に「ぜひ着てみてください」と言っていただきました。
安川選手から順に着させてもらうと、振袖のような袖と後ろに引きずってしまうほど長い裾がとても印象的です。
安川:最初見たよりもずっしりと重くて、何より暑いです。これを長時間着て演技をされるなんて本当に大変ですね。私はすぐに汗をかいてしまいそうです。
野々村さん:女方を演じる時は、男性のがっちりとした体形を隠すために長い袖や裾、そして今はありませんが帯がとても重要なんです。これがあることで女性らしい姿に見せることができるんですよ。舞台で映えるような華やかな衣裳ですが、細かくて繊細な刺繡は近くで見るとより引き立ちますよね。
3人とも着物を着せてもらった後、せっかくなので花道から登場することに。スズメが描かれた ”のれん” が開くと、腰あたりで折り曲げる ”おはしょり” を持ちながら裾を引きずるように歩いていきます。普段見るかっこいいユニフォーム姿とは全く違う、女性らしい素敵な雰囲気を纏いながら歩く姿はとても素敵でした。

着物を羽織って花道を歩かせていただきましたーJournal-ONE撮影
一気に舞台が明るい雰囲気に包まれ、記念写真を撮った後、再び花道を通って退場するところで時間がやってきました。
井上:素晴らしい着物を羽織らせていただいて、こんな重いものを着て演技をするなんて本当にすごいなと思います。とても素敵な経験をさせていただきました。

3人の衣裳で舞台が一気に華やかになりましたーJournal-ONE撮影
安川:私の知らない伝統芸能の世界で全てに圧倒されました。普段は見られない舞台の裏側まで見せていただいて、必ず歌舞伎を見に行こうと思いましたし、施設の方も丁寧に教えてくださって、説明に愛があってワクワクが伝わってきました。
選手たちも知らない、伝統芸能の世界を裏側から知ることができた弁天座。地域の方から愛されて造られたこの場所には、芸能の魅力がいっぱい詰まっていたのでした。




