井上:ドラマの効果、本当にすごいですね。高知県全体で「あんぱん」を盛り上げているのを街中で見て、まだ「あんぱん」を見ていない私も見たくなってきました。
仙波さん:たくさんの方に知っていただけて私たちも嬉しいです。それでは早速館内を紹介していきますね。まず足元をご覧ください。エントランスの床には ”AtoZ” と言ってAから順番にアンパンマンの豆知識が書いてあるパネルがあります。実はここにアンパンマンの手形もあるんですよ。
竹光:えっと、、私が知っているアンパンマンは手が丸かった気がするのですが、本当は手形があるんですか?
仙波さん:絵本では指が5本描かれていたんです。横にサインも一緒に書いてあるので本物のヒーローのようですよね。

足元にあると子供も見やすいですね Ⓒやなせたかし Ⓒやなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV ーJournal-ONE撮影
いざ作品の想いを感じる ”やなせたかしギャラリー” へ
階段を上り、ギャラリーがある4階へ向かう途中には壁一面に描かれたアンパンマンの絵が。
仙波さん:これは開館に合わせてやなせ館長が描いたアンパンマンの原画です。ちなみに一番下に描かれているアンパンマンは高さ90㎝ほどになっていて、3歳くらいのお子様と同じ身長なんです。
やなせさんの仕掛けは子供のことも考え作られたものが多く、心が温かくなるものばかりですね。更に階段を上がると、やなせ先生と暢夫人が眠っているお墓がある公園の方角を向いて作られたバルコニー、そして来館者と向き合うように机が置かれた名誉館長室が見えてきました。

バルコニーにも小さいアンパンマン像がやなせ夫妻を見守るように立っていました Ⓒやなせたかし Ⓒやなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV ーJournal-ONE撮影
仙波さん:館長室と聞くと皆さんの目の届かないような場所にあることが多いですが、ここはエントランスから上がってくる皆さんがどんな表情で来たのか、上から眺めることもできるベストポジションなんです。広くはないですが、ここはやなせ館長も気に入っていたようです。
安川:館長室とは思えないほどオープンな場所なんですね。ここを気に入っていたやなせさんの人柄が分かるような気がします。
仙波さん:ちなみに奥の本棚は今見えるのはイラストなのですが、並んである本が全てパンにちなんだタイトルになっているんですよ。
井上:本当だ!聞いたことあるタイトルも、全てパンの要素が入った名前に変わっていて教えてもらわないと気付かない隠れポイントですね。遊び心があって面白いですし、これに気づいた方はすごいです!

来館者が必ず通る廊下の先に館長室があります Ⓒやなせたかし ーJournal-ONE撮影
館長室を抜けて4階へ進むと、そこにはアンパンマンの絵がたくさん飾られている大きな部屋がありました。
仙波さん:ここは ”やなせたかしギャラリー” です。やなせ館長が描いたアンパンマンの絵画が多く展示されていて、ここのギャラリーを作るのに合わせて描き下ろしたものなんです。そして今、このギャラリーは時代によって変化し続けたアンパンマンの姿を紹介してます。
ギャラリーを見渡すと入口付近には、時代と共に変化するアンパンマンがいくつも並んでいる絵が。
仙波さん:初期のアンパンマンは ”本当の正義とは何か” を考え続けた結果生み出されました。やなせ館長は子供の頃に財布を落として困ったそうで、空腹で心細かった時に通りかかった友人の母親に助けてもらい、そこであんパンをもらった経験からあんパンをモチーフにした物語を思いつきました。戦争体験もあることから武力や暴力で敵を倒すことが正義ではないと考えて、目の前のお腹を空かせて困っている人を助けることこそが、時代や国が異なっても逆転しない真の正義だと考えるようになったそうです。

アンパンマンの歴史が分かる展示がたくさん Ⓒやなせたかし ーJournal-ONE撮影
竹光:私たちが普段何気なく見ていたアンパンマンには、やなせさんの人生が大きく関わっているんですね。それにしても初期の姿はキャラクターというより、人のようで不思議ですね。




