安川:でもアンパンマンは顔が濡れると動けなかったり、弱さを見せるシーンも多いと思うのですが、その正義を貫いているからこそ多くの人に愛されるのかなと感じました。
仙波さん:そうなんです。なのでアンパンマンは「世界で一番弱いヒーロー」と言われているんですよ。

可愛らしい絵に思わず笑みがこぼれます Ⓒやなせたかし ーJournal-ONE撮影
ギャラリーの中を案内していただいている途中、絵が少し低めに飾られていることに気が付きました。アンパンマンに興味津々な小さな子供たちはとても見やすそう。
他にもたくさんの原画や各キャラクターの初登場シーンが見られる絵があったりと見応えもあり、ここはアンパンマン好きにはたまりませんね。
仙波さん:こちらの絵を見ていただきたいのですが、背景が色鉛筆がビルのように並んだデザインになってます。今、放送されている「あんぱん」のオープニングでもこのような場面がありまして、「あんぱん」の制作担当の方が実際にこの絵を見て雰囲気やイメージを感じとって、今のオープニングの映像にオマージュしてくださったのです。
井上:ドラマを見ている方からしたら、見覚えがある!となるわけですね。
ギャラリーには今まで私たちが見たことのない作風の絵があったりと、それぞれ「この絵が好き!」とお気に入りを見つけて子供に戻ったように楽しんだ3人。

どの絵もやなせさんの優しさを感じる素敵な作品でした Ⓒやなせたかし ーJournal-ONE撮影
このアンパンマンミュージアムには順路はなく、自由気ままに回ることができるのも魅力の一つ。やなせさんの素敵な仕掛けや作品を子供のペースでゆっくり見て回るのもいいかもしれませんね。
竹光:アンパンマンはやなせたかしさんの経験から作られた作品だったこと、キャラクター数がどのアニメよりも多かったり。来るまでは私が知らなかったことをたくさん知れたので、見ていてとても楽しかったです。
”詩とメルヘン絵本館”で新しい発見
仙波さん:次は一度外に出て ”詩とメルヘン絵本館” に行きましょう。

歩いて向かった先は ”詩とメルヘン絵本館” Ⓒやなせたかし -Journal-ONE撮影
そう言って向かったのはやなせさんが創刊号から編集長を務めた雑誌「詩とメルヘン」の世界を楽しめる展示施設。入ってみると壁一面にやなせさんが手掛けた「詩とメルヘン」の表紙がずらりと全て並んでいました。
安川:表紙の色が色鮮やかで、並ぶと本当にカラフルですね。ほとんどのデザインに男女のカップルが描かれていて可愛らしいですし、これも誰かをイメージして描いたんでしょうね。

創刊号からの「詩とメルヘン」が飾られていて、華やかな館内 Ⓒやなせたかし -Journal-ONE撮影
同館ではやなせさんの生涯を年表にして細かく書かれており、1961年の項目に私たちも歌える曲のタイトルを見つけた井上選手。
井上:「手のひらを太陽に」って私たちも歌えるあの曲ですよね!学校で何度も歌ったりしましたが、まさかこの曲を作詞したのがやなせさんだったなんて知らなかったです。
竹光:でも、歌詞を思い出すとやなせさんが作ったのが納得できる優しい歌ですね。

見本の「詩とメルヘン」を井上選手は黙々と読んでいました Ⓒやなせたかし ーJournal-ONE撮影
先ほどのアンパンマンミュージアムとは違った、やなせさんの作品に向き合える展示施設ですが、その一画に「キラキラ」という絵本の原画が飾られていました。
仙波さん:この「キラキラ」という物語は今、「あんぱん」でヒロインをしている今田美桜さんがやなせ館長の作品の中で一番好きな作品だと言ってくださったものです。見た目に惑わされない ”本当の優しさ” とは何かを教えてくれる物語なので、多くの方に見ていただきたいと思っています。
館内には他にも、やなせさんの事務所のスタッフがやなせさんへの誕生日プレゼントとして送ったお洒落なデザインの特注靴下や、やなせさんの衣裳が飾られていて、やなせ先生の人生を知ることができる貴重な時間になりました。




