女子小学生の“甲子園”
夏の国民的行事、夏の甲子園(第107回全国高等学校野球選手権)が今年もやって来た。北は北海道から南は沖縄まで各地域を勝ち抜いた49の代表校が、阪神甲子園球場では連日熱戦を繰り広げている。

国民的行事・夏の甲子園(鳥取城北-仙台育英戦)-Journal-ONE撮影
夏の甲子園が始まる少し前の7月26日、抜けるような夏空の下で行われたのは、女子小学生の甲子園ともいえる“第39回全日本小学生女子ソフトボール大会”。北は青森から南は香川まで各地区をかち抜いた42の代表チームが、静岡県島田市と藤枝市の会場で高校野球に負けない熱戦を繰り広げた。
春準Vの原動力・偉大なOGとの交流
小学生女子ソフトボールも、高校野球と同様に春の全国大会が開催される。桜がほころび始めた3月の末、岐阜県揖斐川町で開催された“第18回春季全日本小学生女子ソフトボール大会”で準優勝を果たした“松戸JSLホワイトレイズ”が春夏連続での全国大会出場を決めた。

春夏連続で全国大会に進んだ松戸JSLホワイトレイズ‐Journal-ONE撮影
チーム最高成績となる準Vを獲得した裏には、偉大な先輩からのエールがあった。女子ソフトボールのトップリーグ・JD.LEAGUE(以下、JDリーグ)の“日立サンディーバ”で活躍している杉浦穂華選手だ。
小学生時代、松戸市でソフトボールに汗を流した杉浦選手は、同じ千葉県の名門・千葉経済大学附属高校を経て、昨年のJDリーグ東地区チャンピオンに輝いた強豪・日立サンディーバへ。走攻守に秀でた遊撃手として世界最高峰の舞台で活躍を続けるトップアスリート。
このエールのおかげもあり、準Vに輝いた松戸JSLホワイトレイズの選手たちは、その報告を兼ねて杉浦選手を応援しようとJDリーグ公式戦会場に足を運ぶ。トップ選手たちのプレー、杉浦選手との交流を果たした選手たちは刺激を受け、夏の全国制覇を目指してここまで練習を重ねてきた。

記念撮影で笑顔の杉浦選手と松戸JSLホワイトレイズメンバー-Journal-ONE撮影
急成長した子供たち
大会前の最後の練習では、中学生を相手に春に課題だった投内連携と、さらなる得点力アップのため走者を進める打撃練習を重ねていた松戸JSLホワイトレイズ。
捕手として内外野に的確な指示を出していたキャプテン・片桐亜瑚選手(6年生)は、春に比べて堂々とした振る舞いが目に留まる。「春の準優勝を経験し、JDリーグの試合でトップ選手のプレーを肌で感じたことで、さらなるソフトボールの魅力に気付いたようです」と、お父さんが娘の急成長ぶりを振り返ってくれた。

攻守にキャプテンシーに大きく成長した片桐-Journal-ONE撮影
「全国大会まで導いてくれた監督やコーチの皆さん、この様な環境に巡り会わせて頂いた皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。娘も中学校でもソフトボールを続けることにしたようです(笑)」と、様々な経験と出会いが次なるステージの後押しになったことも教えてくれた。
「春準優勝という結果から注目されて挑む大会ですが、かなり厳しいブロックになってしまいました」と話すのは、小林功征監督。春4強に残った4チームでひとつのベスト4枠を争う「死のブロック」に入った不運を口にするも、選手たちの動きに目を細める。

“死のブロック”で勝ち残りをかける小林監督-Journal-ONE撮影
全体練習を指揮していた中島正幸ヘッドコーチは、「春準Vで選手たちの目の色が変わってきました。まだまだ課題はありますが、自信が付いた選手たちが落ち着いてプレーできるようになったので、チーム力はかなり上がって来た」と、夏の大会に手応えを感じていた。
地元・名門チームとの攻防となった1回戦
静岡県藤枝市の会場に登場した松戸JSLホワイトレイズの相手は、地元・静岡が誇る創部37年目の名門・“掛川桔梗女子ソフト”。過去、東京オリンピック金メダリストの山崎早紀さん(現デンソーブライトペガサス コーチ)も所属した掛川桔梗女子ソフトは、5年前に春夏連覇も果たしている試合巧者だ。
