
伝統のユニフォームに身を包んだ掛川桔梗の選手たち-Journal-ONE撮影
それでも今春準Vの選手たちは、初回から名門相手に怒涛の攻撃を見せた。
1回表、松戸JSLホワイトレイズは1番・斎藤瑠璃子選手(6年生)が安打で出塁すると、すかさず片桐選手の犠打で先制の走者を得点圏に進める。ここで、春の打率.667の岩田咲良選手(5年生)、同じく.588の森川遥選手(6年生)が連続三塁打を放つなど、一挙4点を挙げて主導権を握る。

春の大会同じく岩田が先制の適時打を放つ-Journal-ONE撮影
しかし掛川桔梗女子ソフトもその裏、長打と機動力を絡めてすぐさま3点を返すという激しい点の取り合いとなった。
その後は、掛川桔梗ソフトの横山桜音乃(うたの)投手、松戸JSLホワイトレイズの田邉彩夏投手の要所を締める投球に、守備陣も手堅い守備でバックアップ。「春の大会でのエラーが悔しくて、一生懸命練習した」と話した齋藤瑠璃子選手(6年生)も、難しいショートゴロを捌くなど“心友(齋藤選手いわく)”であるチームメイトのために懸命のディフェンスを見せた。

春の課題を克服し好守を見せた齋藤-Journal-ONE撮影
互いに走者は出すものの、得点が動かない状況となった4回表、松戸JSLホワイトレイズは2死一、二塁から4番の森川選手が試合を決める適時打を放つ。「緊張はありましたが、絶対に強く打つ!という気持ちでバッターボックスに立ちました」と試合後に話した通り、自分の力を信じて思い切り振り抜いたバットで勝利を引き寄せる。

主砲・森川が試合を決める適時打を放ち自らも生還-Journal-ONE撮影
結局、この回3点を加えて流れを引き寄せた松戸JSLホワイトレイズが、粘る掛川桔梗女子ソフトの反撃を押出し死球の1失点に抑えて8-4で勝ち切り二回戦へと駒を進めた。
152cmが変えたチーム勢力図
春の全国大会に出場した全40チーム中、春夏連続出場を果たしたのは25チーム。僅か4カ月ほどの間に成長を遂げた17チームが、各地域の予選で春の覇者を破り夏の全国大会の切符をもぎ取った。
子供たちの成長は突然やってくる。身長が伸びるなどフィジカルが強くなる選手はもちろんだが、精神的な成長を遂げた選手たちがチームをより成熟させていくのだ。この結果、今夏の全国大会は春を逃したチームがベスト4に3チーム入るなど、チーム勢力図が変わっていた。
この勢力図、実は選手個々の成長によるものばかりではない。春の全国大会まで10.67mであった投球距離が、その後12.19mに変更されたため、攻撃力に秀でたチームに有利となったことも影響している。
マウンドからの距離が15%も遠くなったため、速球を武器としていた投手がピンチを三振で切り抜ける確率は下がり、低めに制球されたと思われたボールがショートバウンドして捕手が後逸するというシーンも良く見られた。
好敵手との接戦へ
小林監督が「死のブロックで最大のヤマ」と予想していた“上沖ブルースターズ(埼玉県)”との2回戦に臨んだ松戸JSLホワイトレイズ。春の大会、28回1/3を投げて55の三振を奪ったエース・田邊彩夏投手(6年生)が、初戦の掛川桔梗女子ソフト打線にミートを許す試合展開で勝ち上がったことが気にかかる。

松戸JSLホワイトレイズは最大の難関二回戦へ‐Journal-ONE撮影
上沖ブルースターズは、春の全国に出場していないが埼玉県では屈指の強豪。年に何度か試合をしてきた松戸JSLホワイトレイズは、「一度も勝ったことがない(森川選手)」強敵だ。

主砲・森川もこの一戦を強く意識する‐Journal-ONE撮影
互いにチャンスを作るも得点を許さない、1点を巡る緊迫した展開で試合が始まった。この緊迫した場面、エース・田邊投手を援護したのは春大会後に強化した守備力だった。「今までにない堅守を見せてくれた。こちらがもっと攻撃でプレッシャーを掛けられれば」と小林監督が振り返ったとおり、我慢比べの攻防は上沖ブルースターズのプレッシャーが試合を決定付ける
