東京六大学野球は創設100周年
2025年、東京六大学野球は創設100周年を迎えた。その初戦となった1925年(大正14年)秋季リーグ戦開幕試合を戦った明治大学から新たな風が吹く。創部4年目を迎えた“明治大学女子硬式野球クラブ”が、女子野球初となる“早明戦”を開催したのだ。

史上初の女子野球早明戦に臨む選手たち‐Journal-ONE撮影
現在のNPB(日本プロ野球)人気の先駆けとなり、日本の野球人気を長くけん引してきた東京六大学野球。その中でも早慶戦と並び幾多の名勝負を繰り広げてきた早明戦から、女子野球の新たな歴史が始まると聞き、神奈川県秦野市にある“中栄信金スタジアム秦野”にやってきた。
紫紺の将は女子野球に魅せられた元消防士
東京六大学野球と共に日本野球に欠かせない存在である全国高等学校野球選手権大会(以下、夏の甲子園)。今夏、高知県代表として第107回大会に出場した高知中央高は、女子硬式野球部も強豪として知られている。
その高知中央高校の硬式野球部で甲子園を目指し、卒業後は消防士をしながら母校の女子野球部を指導してきたひとりの青年は、女子野球に魅せられ消防士を退職。「女子野球の魅力をもっと広く伝えるには、東京六大学で女子野球を広めることだ」と一念発起した。

明治大学女子硬式野球クラブの藤﨑匠生監督-Journal-ONE撮影
その青年は2022年4月に明治大学に進学すると同時に女子硬式野球クラブを立ち上げ、初の女子野球早明戦で伝統の紫紺のユニフォームに身を包む。「たくさんの苦労はありましたが、一番の苦労は部員集めでした」と、さわやかな笑顔で創部からの4年間を振り返るのが、明治大学女子硬式野球クラブの藤﨑匠生監督だ。
4年目を迎えた今年、部員24名、マネージャー2名と大所帯となった。加えて新たに学生コーチも迎え、念願の全国大会へ出場するまでに成長した明治大学女子硬式野球クラブは、明るく楽しくをモットーに初心者から経験者まで様々なバックボーンを持った選手たちが全力でプレーしている。

明るく楽しく野球を楽しむ明治大学女子硬式野球クラブの選手たち‐Journal-ONE撮影
「今回、ご縁があって早稲田大学のチームと早明戦を開催することが出来ました。女子野球最大の魅力である笑顔あふれる全力プレーで、この歴史的な一戦を楽しみたいです」と大一番を直前に控えた抱負を語ってくれた。

学生監督の藤﨑監督は選手にとって兄のような存在だ‐Journal-ONE撮影
自らの女子野球チームを持つ臙脂の将
「私は、外部指導者として早稲田の女子野球に携わっています」と挨拶してくれたのは、対する早稲田大学の監督。早稲田大学で唯一の女子軟式野球サークル“WASEBI”を率いる小花利文監督だ。東京都世田谷区を拠点とする“東京アンビシャス”をはじめとする4チームを運営。社会人から幼児まで、年齢に分けて長く女子野球を続けられる活動をしている。

WASWBIの監督を務める小花利文さんは女子野球チームも運営している‐Journal-ONE撮影
その経験を買われてWASEBIの監督として臙脂のユニフォームにも袖を通した小花監督は、「WASABIは初心者も多いので、明治さんとどこまで戦えるか不安もありますが、歴史的な一戦を楽しんでプレーしたい」とにこやかに話してくれた。

様々な思いで野球を始めたWASEBIの選手たち‐Journal-ONE撮影
小花監督に選手たちが野球に触れたきっかけを聞くと、「WASEBIで初めて野球をする学生の入部理由は様々です。プロ野球観戦が趣味で、自分がプレーすることで好きなプロ野球観戦に何か新たな気づきがあるのではないかと野球を始めた選手もいますよ」と、野球をはじめた学生たちの興味深い理由を教えてくれた。
