観る人・する人に新しいバスケ
「何か盛り上がっているね!」「コンサートでもやっているのかな?」と、家族連れや友達同士でショッピングを楽しむ人たちが会場に吸い込まれていく。
ここは、タワーマンションやオフィスビルが立ち並ぶ東京ベイエリア・豊洲の大型商業施設“アーバンドックららぽーと豊洲”。買い物客が向かうのは、海に面した商業施設イベント広場に設置されたバスケットボールの特設コートだ。
都内最大規模を誇る商業施設であるアーバンドックららぽーと豊洲は、“アーバンドック”と名前にある通り、旧石川島播磨重工業(現・IHI)の工場跡地に建てられた。今でも残る大型クレーンや、船の建造、修理などを行っていた作業場(ドック)跡がそれを物語っている。

造船所の名残をのこすアーバンドックららぽーと豊洲-Journal-ONE撮影
その集まって来た人々を魅了するのが、強い日差しを受けながらも「皆さん!青空の下で素晴らしいプレーを見せる高校生たちに拍手を!」と、明るく観客に声を掛けるMCだ。
ノリの良い音楽に合わせてテンポ良くバスケットボールの試合を盛り上げるこの人こそ、本イベント“3×3 MARVELOUS ∞(スリーエックス スリー マーベラス エイト)”の主催者。東京オリンピックで日本女子バスケットボール界に初の銀メダルをもたらした、馬瓜エブリンさん。
スポーツはもちろん、バラエティやニュースまで、テレビでもお馴染みとなった笑顔と軽快なトークに観客はもちろん、選手たちも終始笑顔を見せていた。

自らが主催する3×3の大会でMCをする馬瓜エブリン‐Journal-ONE撮影
3×3版・甲子園の出場権をかけて
「甲子園のように高校生の目標となる3×3の大会を作りたい」と、妹・馬瓜ステファニーさんと共に3×3 MARVELOUS ∞を企画したのが2022年。銀メダル獲得に沸いた東京オリンピックからわずか1年、バスケットボール熱の高まりが冷めぬうちにと開催されたのが第1回大会であった。
4回目となる今年、さらにパワーアップした3×3 MARVELOUS ∞は、予選大会を初めて東京で開催。9月15日、全国大会が開催される名古屋・久屋大通公園へのきっぷを得ようと関東の強豪チームが集った。豊洲に集結した男女3チームずつはいずれもハイレベルのパフォーマンスで観客たちを魅了していた。

東京ベイエリアの青空の下に設置された特設コート-Journal-ONE撮影
東京予選に参加したチームは、男子が市立船橋高校(千葉)、國學院大学久我山高校(東京)、保善高校(東京)。女子が八雲学園高校(東京)、久喜高校(埼玉)、TOKYO DIME U18(東京)。この大会用のユニフォームに身を包み、まだ暑さ残る9月初旬の青空の下でウォーミングアップを開始。
総当たりで勝率の良いチーム1つだけが進める3×3版・甲子園。どのチームも試合前はやや緊張した面持ちだったが、憧れの地・久屋大通公園を目指して超絶プレーを連発した。

エブリンさんが「超絶プレー」と絶賛するシーンが多く見られた-Journal-ONE撮影
3×3の魅力とルールは
「3×3の魅力は、常にゴール下での激しい攻防が繰り広げられるダイナミックな試合展開です」と、競技の魅力を教えてくれるエブリンさん。
それだけでなく、「5人制バスケットボールと違い、3×3は監督がいないので、戦術、戦略、タイムアウト、選手交代も選手達だけでやらなければなりません。高校生たちのゲームマネジメントにも注目して欲しい」と、もう一つの魅力をエブリンさんが付け加えてくれた。

監督不在のためタイムアウトも自分たちで-Journal-ONE撮影
試合時間は10分、5人制バスケットボールで3ポイントシュートの境界線となるアークと呼ばれる半円の中で得点すれば1点、外から得点すれば2点というルールが3×3。
「ゲームメイクする上で大事なのはファウルの使い方」とエブリンさんが言う。ファウルでは相手にフリースロー1本が与えられるが、7回目のファウルから2本に、10回以上のファウルとなるとフリースロー2本に加わえてボールの所有権も相手に与えることになる。