いま日本を超えて、広くアジアでバスケットボールの熱が高まっている印象だ。Bリーグではアジア特別枠によって中国やフィリピンをはじめ、13の国と地域から選手が挑戦できるようになり、バスケットボール チャンピオンズリーグ アジア(BCL Asia)や東アジアスーパーリーグ(EASK)で日本勢が活躍する姿を通じて、各国の様子も見えてきた。大学バスケでも学校単位で出場できる国際大会があり、その先駆けが、毎年8月に東京で開催されるWUBS(World University Basketball Series 2025)だろう。今夏の模様を振り返り、次世代を輩出するアジアの大学バスケに注目したい。
熱気に包まれたオープニングゲーム
WUBS(World University Basketball Series 2025)は、アジアの大学バスケットボール界がより高みを目指すことを目的として、2022年に新設された国際大会である。主催は、全日本大学バスケットボール連盟が務め、Rakuten Sportsが運営協力に入っている。2025年8月に第4回大会を迎えて、日本、オーストラリア、韓国、台湾、フィリピン、香港というアジア6つの国と地域から8チームが参加した。

会場となった代々木競技場第二体育館には多くの人が足を運んだ-HIROYUKI OHASHI
参加チームは、フィリピンから昨夏チャンピオンのデ・ラサール大学が2年連続で出場し、フィリピン大学は初出場。韓国からは昨夏惜しくも準優勝だった高麗大学が3年連続で来日し、台湾からは国立政治大学(以下NCCU)が4年連続出場を遂げた。オーストラリアからはシドニー大学、香港からは学業で世界の難関校と言われる香港大学が初出場している。
そして日本からは、今春の「第74回関東大学バスケットボール選手権大会」(通称:スプリングトーナメント)で3年連続23回目の優勝を飾った日本体育大学と、日本学生選抜チームの2チームが出場。初めての優勝に向けて、アジアの同世代としのぎを削った。
8月9日のオープンゲームは、台湾のNCCUとフィリピンのデ・ラサール大学の一戦に。会場となった国立代々木競技場第二体育館には両校のファンが詰めかけ、会場は熱気に包まれた。スタンドやコートサイドには、デ・ラサール大学のチームカラーであるグリーンのTシャツを着たファンの姿があり、NCCUのファンも応援グッズを叩いて選手たちを後押しした。ワンプレーごとに、熱く盛り上がる国際大会らしいゲームで大会の幕は上がった。

オープニングゲームで対戦したNCCU(白)とデ・ラサール(緑)-Journal-ONE撮影
韓国・高麗大学が昨年のリベンジで初優勝
3日間にわたって行われた大会を振り返ると、初日の1回戦では、前回王者のデ・ラサール大学がNCCUを89-84で撃破。一方、日本勢では日本学生選抜が香港大学に98-31で快勝し、日本体育大学も接戦の末にシドニー大学を65-64で破った。また、高麗大学がフィリピン大学を75-71で振り切って準決勝へ。
そして2日目の準決勝では、デ・ラサール大学が88-75で日本学生選抜に力の差を見せ、高麗大学も68-54で日本体育大学を撃破。日本勢の決勝進出はならず3位決定戦へ回ることになった。またNCCUが香港大学を102-48で、シドニー大学がフィリピン大学を96-77で下して、5-6位決定戦に駒を進めた。
迎えた最終日、まずNCCUが77-67でシドニー大学を破って5-6位決定戦を制し、3位決定戦では日本体育大学が86-72で日本学生選抜を下した。日本勢はともに昨年は最終日に残れなかった中、今年は最後まで会場を沸かせてくれた。求めた結果ではないが、アジアの同世代を知る絶好の機会になったことは間違いない。日本体育大学で指揮を執る藤田将弘HCは、初日のミックスゾーンでWUBSのような国際大会が選手に与えるものの大きさを説いていたほどだ。

日本体育大学(青)は惜しくも高麗大学に敗れる(写真はシドニー大学戦)-Journal-ONE撮影
「やっぱりここで1試合を戦う経験は、日本国内でゲームを重ねるより10試合分ぐらいの価値があるのではないかと思います。体の大きさ、当たりのところの学びもあるし、なんて言っても精神的なタフさが養われる。国際ゲームで、チームを背負って戦うことは選手の成長につながると思います」

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[写真]=Nobuhiro Fukami