激熱トーナメントは2回戦の名勝負が続く
全国32チームが集まり女子ソフトボール日本一の座を争うトーナメント、 “皇后盃全日本総合女子ソフトボール選手権大会(以下、全日本総合選手権)”が開催された青森県弘前市。各地から勝ち抜いた大学・社会人チームが、日本最高峰の女子ソフトボールリーグ“JD.LEAGUE(JDリーグ)”に所属する16チームに挑戦した1回戦を終え、2回戦に入った。
JDリーグ所属チーム同士の対決が始まるこの2回戦だが、メイン会場となった“はるか夢球場”では、早くもJDリーグ東西の首位決戦となる“戸田中央メディックス埼玉”対“トヨタレッドテリアーズ”戦が行われた。最後まで緊迫した展開となった好ゲームは、青森のソフトボールファンに強烈なインパクトを与え、会場は大いに盛り上がった。

JDリーグ東地区2位につけるビックカメラ高崎-Journal-ONE撮影
その翌日も目白押しの好カードが続く。降雨サスペンデッドとなった第1試合で園田学園大学を下した東地区の強豪“ビックカメラ高崎ビークイーン”が、連戦で臨む第2試合は同じ東地区の強豪“日立サンディーバ”。

JDリーグ東地区昨年の覇者・日立サンディーバ-Journal-ONE撮影
昨シーズン、日立が東地区を制したのに対しビックカメラ高崎は2位、最終決着となったダイヤモンドシリーズ準決勝でも日立がビックカメラ高崎を下して決勝進出を果たした。
しかし、今シーズンがビックカメラ高崎が変わらずの2位(16勝5敗1分)に付けているのに対し、日立は4位(13勝8敗1分)とプレーオフ争いの後塵を拝している。前半戦2度の直接対決でも、7-7(5月18日 宇都宮清原球場)、6-1(6月15日 石川くろいそ野球場)と1勝1分けでビックカメラ高崎が勝ち越し。全日本総合選手権で今年3度目の直接対決となった。
“ご当地選手”に注目したい全日本総合選手権
プレーオフと同じく、一発勝負となるトーナメント大会は、生観戦でしか味わえない緊張感を味わえる貴重な機会。中でも今夏、中国で行われた国際大会、第14回女子ソフトボールアジアカップと第12回ワールドゲームズなど、日本代表チームの一員として世界と戦う選手たちの活躍にも目が離せない。

日本代表の工藤環奈(ビックカメラ高崎)は青森県平川市出身のご当地選手-Journal-ONE撮影
加えて、毎年各県を巡って開催される“国民スポーツ大会(旧、国民体育大会)”の前年にリハーサル大会として開催される全日本総合選手権では、地元出身の“ご当地選手”の活躍にも注目が集まる。
この試合に出場する工藤環奈内野手(ビックカメラ高崎)は青森県平川市出身、対する日立の唐牛彩名外野手も青森県青森市の出身と耳目の集まる一戦だ。今夏も日本代表として日の丸を背負って活躍した両選手は、ポジションは違えども走攻守に秀でた似たプレースタイルが武器。出身高校も、ロサンゼルスドジャース・大谷翔平と同じ花巻東高校と共通点も多い。スタンドには縁ある人たちが応援に駆け付け、その戦況に目を凝らしていた。

日本代表・唐牛彩名(日立サンディーバ)は青森県青森市出身のご当地選手-
両軍先発の力投でスコアレスの展開に
日立の先発は左腕・長谷川鈴夏。JDリーグではわずかに規定投球回数に満たないものの、防御率1.76と抜群の安定感を誇っている。その長谷川は初回から打者一巡、強打のビックカメラ高崎をパーフェクトに抑える投球を見せ、チームに勢いを付ける。

3回パーフェクトと力投した長谷川(日立)-Journal-ONE撮影
一方のビックカメラ高崎の先発は、第1試合に続き勝股美咲がマウンドに上がる。JDリーグの開幕戦でノーヒットノーランを達成している勝股も、今季はこれまで6勝1敗、防御率は東地区3位の1.22と獅子奮迅の活躍を見せている。
初回、2回と安打を許して走者を背負う勝股だったが、要所を抑えて無失点に切り抜けると、3回以降はMAX109kmの速球を軸に日立打線を無安打に抑える快投。両軍先発投手の好投が光り、序盤はスコアレスのまま緊張感のある戦いが続いた。