元NBA選手で身長206cmの長身ながら技術もある渡邊の復帰は、言うまでもなく大きい。アジアカップでの日本は、速いテンポで攻めることやペイント内への侵入といったところで課題を露呈した。自らもボールを運ぶことができ走力もある渡邊が入ることでその課題は一定程度、解消されることが見込まれる。渡邊はリバウンドやブロックショット、さらに卓越したリーダーシップにおいても大きく貢献ができる。
今季好調の渡邊雄太に期待
日本へ戦いの舞台を移して2年目の渡邊は今シーズン、平均15.1得点、3P成功率で41.1%を記録するなど良く、チームの好調(10月26日終了時点で9勝0敗)を牽引している。ホーバスHCは渡邊に関して「去年は(Bリーグでの)プレーが初めてで多分、すごいプレッシャーがあった」とし、今シーズンは自身のすべきことがなどをより良く理解していると話した。

サンロッカーズ渋谷との試合中、シュートを放つ渡邊雄太-永塚和志撮影
日本代表に対しての思いの強い渡邊も「トムは台湾の2試合を絶対に勝ちに行くとい言っています。それは僕らも同じ気持ち。今はレギュラーシーズンに集中をしますが、日本代表の本当に大事な試合が始まるので、台湾にしっかり勝てるようにしたい」と述べた。
瀬川琉久の成長と代表入りの可能性
一方、ホーバスHCはアジアカップでの自身のチームについて「ガードが少し足りなかった」と振り返った。これはとりわけ、ポイントガードのことを指しているかと思われる。河村不在の状況で司令塔を任せられる(しかもホーバス氏のチームではこのポジションに得点力も求められる)人材を求めることは、急務だ。
その中で渡邊のチームメート、瀬川琉久が今回のウインドウで代表候補となる確率もまた、高そうだ。昨シーズン、京都・東山高校在学中に千葉Jと契約した瀬川はプロ入り直後から出場時間を得て(エースの富樫勇樹の故障も手伝った)、弱冠19歳ながら堂々たるプレーぶりを見せている。今シーズン開幕から2戦目にはキャリア最高の21得点をマークした。代表活動については今夏の参加予定があったものの、故障により見送られている。
ホーバスHCは「瀬川のプレースタイルは好き。間違いなく、いつかはチャンスをあげます」と話した。河村らに対してそうしたように、瀬川にも早い段階から起用し同氏の手法やバスケットボールスタイルに慣れさせながら成長を促したいはずだ。瀬川は身長185cmで体重がすでに83kgと日本人のPGとしては立派な体躯を誇っていることもあり、より大きな相手の多い国際試合を戦う上でも飛躍が期待される選手の筆頭の1人だ。

日本代表の次の候補として期待がかかる瀬川-Journal-ONE撮影
台湾の特徴とホーバスHCの戦略
直近の相手である台湾についてホーバスHCは「ガードの選手がメイン」のチームだと見ている。アジアカップでも平均得点の上位は軒並みガードの選手で、彼らの活躍もあり同大会では日本を上回る5位となった。ホーバスHCは大会やウインドウごとに「ロスターは変わる。新しいチームを作る」話した。今回のウインドウでは、ガードの強い台湾という相手を鑑みた選手選考をする可能性が高そうだ。
JBA新体制と代表選考の方針
選手選考といえば先日、日本バスケットボール協会(JBA)は伊藤拓摩氏(長崎ヴェルカ球団社長兼ゼネラルマネジャー)の強化委員長(従来の技術委員長から名称変更)就任を発表した。
「すべてのカテゴリーにおいてロサンゼルスへ向けて最強のチームを作っていきたいと思います。そのためにも最高の一体感をJBAとして作り出すのかがキーになってくる」
就任発表の会見で伊藤氏はこのように話している。JBAでは代表招集を受けながら故障等の理由なく拒否をする者に対してリーグ戦での試合出場停止措置の罰則が設けられていたが、最高の面子を集めるだけでなく日本代表への思いを持った者にこそ招集をかけるといった趣旨の発言を伊藤氏はしている。
八村塁との関係修復と新戦力の台頭
こうしたホーバスHCや伊藤強化委員長の意向を受け、これからどのような選手選考がなされていくのか。パリオリンピック後にJBA批判をしたことで関係がこじれている八村との関係修復もまた、大きな関心事となるだろう。

今季、Bリーグ入りを果たし日本代表でも中心的役割が期待される富永啓生-永塚和志撮影

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