西地区の大混戦を制した伊予銀行
これにより、伊予銀行は球団史上初のプレーオフ進出を確定。就任3年目の石村寛監督と、1年目の木谷謙吾コーチの男子ソフトボール出身コンビ。そして、選手、スタッフが一体となって成し遂げた快挙となった。

最終戦を勝利し応援団に挨拶する石村監督、木谷コーチと伊予銀行ナイン‐Journal-ONE撮影
初戦の重圧と伊予銀行の覚悟
伊予銀行は、京都ラウンドを2連勝で終えれば、自力でのプレーオフ進出が決まる状況だった。その初戦、対戦相手となったのは、西地区2位の豊田自動織機シャイニングベガ。実はこの試合、豊田織機にとっても重要な一戦。敗れれば3位転落の可能性もあったのだ。
この大一番の試合前、「勝って2位を決める」と強い決意で臨んだ豊田織機。それに対して、「連勝して初のプレーオフを」意気上がる伊予銀行。どちらも、大きな重圧を背負って決戦に臨んだ。
試合後、石村寛監督が「就任3年目で、初めて寝られない夜だった」と振り返った。このような発言からも、重圧の大きさを推し測ることができるだろう。球団史上初のプレーオフ行きの切符。これを手に入れることは、それだけチームにとって、そして会社にとっての悲願であった。

冷静沈着な石村監督も重圧と戦っていた-Journal-ONE撮影
試合展開と伊予銀行の苦戦
伊予銀行の選手たちも同様に重圧を感じていた。この日の先発は、打たせて取る投球が持ち味のエース・庄司奈々投手。その庄司投手を、堅い守備で盛り立てて来た伊予銀行。しかし、絶対の自信を持つその守備陣が、初回から足元をすくわれた。
豊田織機の永吉慎一監督は、「チャンスとみれば仕掛けると、事前に話をしていた」と振り返る。犠打で二塁に進んだ俊足の竹中真海選手が、果敢に三盗を仕掛けたのだ。その結果、この足を使った攻撃に守備が崩れた伊予銀行。名将の狙い通りに失策で1点を与えてしまった。
その後、強打・豊田織機を相手に得点を許さない庄司投手にバックも好守備で応える。しかし、逆転を期するベンチの雰囲気とは裏腹に、選手たちから本来のスイングが消えた。再三、走者を出すものの最後の最後に肝心な一本が出せない。その結果、豊田織機の山下千世投手に完封負けを喫してしまった。

チーム最多勝利を挙げた庄司(伊予銀行)-Journal-ONE撮影
逆転のチャンスと伊予銀行の開き直り
続く試合では、3位を争うSGホールディングスが勝利。その結果、順位は入れ替わり伊予銀行の自力進出は消滅した。
しかし翌日、伊予銀行は苦手としていた日本精工ブレイブベアリーズに勝利。マジック対象となるSGホールディングスとSHIONOGIの試合結果を待つこととなった。
運命の試合と伊予銀行の歓喜
ナイターで行われた西地区最後の試合では、初回からSHIONOGI打線が爆発。SGホールディングスのエース、前日の完投勝利からの連投となったキャスリン・サンダーコック投手に襲い掛かった。
木村愛、小林美沙紀の2本の本塁打で4点を奪ったSHIONOGI。その一方で、必死の反撃に出たSGホールディングスだったが、エース・三輪さくらが追撃を許さず。試合の主導権を渡さなかった。
その結果、SHIONOGIが勝利して伊予銀行と勝敗数に並ぶ。しかし、勝敗数が並んだ場合は直接対決の成績が順位を決める。直接対決を2勝1敗で勝ち越していた伊予銀行ヴェールズが、ギリギリで3位に滑り込んだ。

三輪の熱投で最終戦を勝利したSHIONOGI-Journal-ONE撮影
伊予銀行スタッフへ感謝の円陣
運命の試合が始まる前、リーグ戦全試合を終えた伊予銀行の選手たちは、杉野里佳部長の激励の言葉を聞くために円陣を組んだ。その後、スタッフや応援団が前に進み、一年間の戦いを労う温かい言葉をかけた。




















