
自身も初のプレーオフでのマウンドに上がる庄司-Journal-ONE撮影
振り返りこみ上げる悔しさ
「やり切ったとは思えない結果だった」と、試合後に語った庄司投手。「特にリーグ戦での戦いと変わることはなかった」といつも通りにプレーオフに臨んだ。
それでも「このメンバーでもっとソフトボールがやりたい。そう思いマウンドに上がった」。チーム愛から来る特別な感情がこみ上げていたと、いつもとは少し違った心境を語った。
試合結果については「まだ気持ちの整理ができず、上手く表現できない」と、庄司投手。しかし、少し間を置いて「う~ん、でもやはり勝てる試合でしたね」と悔しさを滲ませた。
伊予銀行ヴェールズの存在意義
「私たちのチームは、勝ち負けやプレーオフ進出という結果だけではない」。ソフトボール以外での存在価値が重要だと庄司投手は言う。たしかに、地域貢献という使命も銀行のクラブとしては重要だ。
かく言う庄司投手も、自ら地元・愛媛の農産業発展に貢献する“みかん狩り実習”に参加。地元・四国の四国旅客鉄道株式会社(JR四国)とも連携。四国4県の観光地を紹介するプロジェクトにも力を入れている。

四国の観光地を選手たちが交代で紹介している‐Journal-ONE撮影
若手の決意とチームの未来
今シーズン、伊予銀行ヴェールズ飛躍の裏には、若手選手たちの躍動があった。しかし、その若手選手たちに、プレーオフ進出の達成感は微塵も感じられない。
サードからセカンドにコンバートされ、中軸の一角を担うまでに成長した瀧川愛海選手。「結果は悔しいが、自分たちはまだ出来ると思った」と、来シーズンに向けてさらなる成長を誓う。
代走、守備固めでの起用が多かった庄村選手。今シーズンは後半から外野の一角を担い、プレーオフ進出に貢献した。それでも、「もっと打撃の精度を高めて、その上を目指したい」と唇を噛む。
さらに同点弾を放った平岡選手も「今年は余裕を持って打席に入れるようになった。来年はもっと成長し、レギュラーで活躍できる選手になる」と意気込んだ。

打撃の更なる向上を誓った庄村-Journal-ONE撮影
石村監督が語る“変革”
そして「これ(プレーオフ進出)を続けて行けるかどうか。それが本当の意味でのチーム変革」と、石村監督も来シーズンに向けての課題を口にする。
「ダイヤモンドシリーズに進むための準備をしていただけに、本当に悔しい」。本音を漏らした石村監督だったが、「また、いちからチームを作り上げていく」と前を見据えた。
若いチームがその潜在力を大きく開花させるか。来シーズンの伊予銀行ヴェールズにも注目だ。
女子ソフトボール界の未来へ
西地区の評価を塗り替える可能性
愛媛から駆けつけた応援団は、いつまでも選手たちに笑顔で労いの言葉をかけていた。しかし、選手もスタッフもこの結果には満足していない。
“東高西低”と言われるJDリーグ。今回、伊予銀行のプレーオフ進出は西地区の評価を塗り替える可能性がある。リーグ創設以降、未経験チームのプレーオフ進出が続く西地区。お互いが切磋琢磨することで、西地区の戦いはさらにハイレベルになるだろう。

大応援団のエールを受ける伊予銀行ヴェールズの選手たち‐Journal-ONE撮影
世界へと続く舞台
来年には、隣接する瑞穂総合運動公園をメイン会場としてアジア大会が開催される。そして、2028年にはロサンゼルスオリンピックが控えている。そのため、女子ソフトボールには、北京、東京に続く三大会連続金メダル獲得への期待が高まってきた。
だからこそ、日本代表選手を擁するJDリーグにおける伊予銀行ヴェールズが躍進。これにはとても大きな意義がある。
日本代表選手たちが、普段から世界最高峰のレベルで競技をする。その結果、世界でも高いレベルのパフォーマンスを発揮し続けることができるだろう。
さらに、様々なチームの活躍は今まで以上にJDリーグの人気を拡大させる。そして、各地でソフトボールに取り組む少女たちが、その活躍に刺激を受け憧れを持つだろう。その次世代を担う子供たちが、ソフトボール大国・日本を作っていくことを願うばかりだ。




















