【広島発】11月12日、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島で「エイブルトライアウト2025〜挑め、その先へ〜」が開催された。注目は、かつてドラフト1位でプロ入りした同年代の2人。華やかな肩書を背負いながらも、戦力外通告を受けた彼らが、再びグラウンドに立った。

エイブルトライアウト2025の会場はマツダスタジアム-Journal-ONE撮影
エイブルトライアウト2025とは?
プロ野球を戦力外となった選手が、再起をかけて挑む最後の舞台。それが「エイブルトライアウト2025」だ。
今年のエントリーは、投手28人、野手11人と圧倒的に投手が多い。投手ひとりに与えられた投球機会は、打者3人まで。つまり、抑えても打たれても次々とマウンド上の投手が入れ替わるのだ。
この中には、かつて一軍で活躍していた選手、ドラフト1位で脚光を浴びた選手。そして、NPBでは実績が出ていなくとも再起をかけて臨む選手など、様々な背景を持つ選手たちが集結した。
セ・パ全12球団から参加者が集まったこの日、その選手たちを応援しようと全国から駆け付けたセ・パ全12球団のファンたちが開門となる9時前から多くの列を作っていた。

「挑め、その先へ」のコピーとロゴ-Journal-ONE撮影
森木大智―― 球速回復と制球力が鍵
高知高校からドラフト1位で阪神に入団した森木大智(22)。
中学時代は、軟式球で150km/hを記録し「スーパー中学生」と話題になった森木。もちろん高校時代も最速154km/hを誇り、「高校BIG3」の一角として、高い評価を得て阪神タイガースに“ドラ1”で入団した。
しかし、プロでは一軍登板わずか2試合、防御率6.23と苦戦を強いられた。
そのため、今シーズンは背番号を「20」から「120」に変更しての育成契約。再起をかけたシーズンだったが、二軍で防御率13.81と結果を残すことができなかった。
そして森木は、”ドラ1”入団から僅か4年で、戦力外を通告された。「まだ若いので現役を続けたい。消化し切れていない」と語り、トライアウトに臨んだ森木。
しかしながら、トライアウトで道を拓くには、150km/h超の球速をコンスタントに出し、課題の四球を減らす制球力の良さを見せられるかが焦点となる。

阪神の高卒ドラ1 森木大智も戦力外に-Journal-ONE撮影
風間球打――闘志とフォーム安定で再起を狙う
秋田・明桜高校からドラフト1位でソフトバンクに入団した風間球打(22)。
高校3年時に最速157km/hを記録し、「高校BIG3」の中でも世代ナンバーワンと評された逸材だ。
しかし、チームやファンの期待とは裏腹に、毎年怪我に苦しみ期待を裏切り続けた風間。そして球団から戦力外通告を受けて、育成契約で再起をかけることになった。
それでも、今シーズン初もいきなり怪我に見舞われる不運となった風間。その後、三軍でも防御率4.61、与四球15と制球難に苦しみ2年連続で戦力外通告を受けた。
「闘志を前面に出して挑む。自分の力を証明したい」と語り、エイブルトライアウトへの出場を決めた風間。さらに、フォームの安定と球速回復、そして四球回避が生き残りの条件となる。

森木と同期の風間球打(ソフトバンク)は2年連続の戦力外通告-Journal-ONE撮影
トライアウト後半に見た“振り子投法”
いよいよエイブルトライアウト2025も昼休憩を挟み、後半戦に突入。そして間もなく、まずは風間の名前がアナウンスされた。三塁側ベンチ前で準備をしていた風間は、小走りでマウンドに向かう。
緊張しているのか?少しせわしなく投球練習に臨む風間。既定の投球数を投げ終えて打者と対峙した。
一人目の対戦相手は、広島カープの韮澤雄也。地元だけあって、スタンドのあちこちから韮澤を応援する声が聞こえる。
しかし、投球練習と同じく、上げた左足を振り子のように前後に振ってからバッターへと踏み出す独特のフォームから、ストレートを投げ込む風間。
その球速は、全盛時からほど遠い142km/h。それでも、韮澤と続く阪神タイガースの野口恭佑を内野ゴロに打ち取り結果を残して見せた。
最後に対戦した元同僚、ソフトバンクホークスの川原田純平には、変化球の制球が定まらずに四球。変化球の制球に難があったものの、打者3人で自責点になるような失敗はなかった。



















