明治神宮野球大会・注目の初戦
明治神宮野球大会は、11月14日に第56回目となる大学の部が開幕した。
東京農業大学北海道オホーツク(以下、東農大オホーツク)は11大会ぶり初戦突破を。対する関西学生の名門・立命館大は10年ぶり出場での初戦勝利を目指す。
秋季リーグ優勝校が地域の他リーグ優勝チームと戦い代表権を得る。こうして聖地に集結して行われる明治神宮野球大会は、歴史と伝統のある大会だ。これまでに数々の名勝負を生み出してきた。
さらに、明治神宮野球大会の注目は、先日のプロ野球ドラフトで指名された選手たちの活躍だ。そして開幕戦から、阪神育成1巡目の神宮僚介(4年=桐生一高)が登板することを受けてスタジアムの期待感は一気に高まった。

阪神育成1巡目指名の神宮(東農大オホーツク)-Journal-ONE撮影
神宮に立ち上がりの試練
明治神宮野球大会の開幕戦は、いきなり初回から試合が動く。
1回表、立命館大は阪神育成1巡目指名の出端をくじいた。1番・坂下晴翔(4年=立命館慶祥高)がセンターオーバーの二塁打を放ち、先制のチャンスを作る。
昨春、全日本大学野球選手権大会に出場したものの、思うような投球ができなかった神宮投手。しかし、その後はトミー・ジョン手術を受け、厳しいリハビリに時間を費やしてきた。
それ以来の神宮球場でのマウンドでいきなりの試練となった。さらに、捕手前に転がった送りバントを千葉大輝手(4年=盛岡大附)が処理するも野選。無死一、三塁とピンチは広がった。
その後、犠飛で先制されると四球で再び1死一、二塁に。ここで、三垣勝巳監督がマウンドへ向かい間を取った。しかし、直後のワイルドピッチでさらにランナーは二、三塁へとを進む。
ここ最近、序盤に大量失点を許して悔しい負け方をしている東農大オホーツク。しかし、神宮はここで成長の証を見せる。145km/hの速球を軸に後続を打ち取り、最少失点で切り抜けた。

先頭打者安打を含む複数安打を放った坂下(立命館大)-Journal-ONE撮影
すぐさま反撃の狼煙も
1回裏、東農大オホーツクは鈴木匠(1年=札幌一高)、友寄功太(4年=沖縄水産高)の連打で無死一、二塁と同点の好機。
だが、立命館の先発・遠藤翔海(4年=京都共栄学園高)が140km/h超の速球と多彩な変化球でクリンナップを3者三振に抑える。
すぐさま追いつきたかった東農大オホーツクだが、この拙攻が試合の流れを変えることになった。

秋のリーグ戦最優秀投手の立命館大先発の遠藤-Journal-ONE撮影
高さ増す”1得点の壁”
2回裏、東農大オホーツクが再び攻める。1死から千葉、吉田大和(3年=佐久長聖高)の連続安打と、神宮の四球で満塁の好機を作った。
しかし、ここも立命館・遠藤の前にあと一本が出せない東農大オホーツク。その後、立ち直った神宮が、右打者の内角に食い込む140km/h前半の速球と鋭いスライダー、シンカーで立命館大打線を封じ込める。
すると5回裏の東農大オホーツク。1死から友寄が2本めのヒットで出塁すると、続く3番・中澤空芽(4年=東海大甲府高)も右中間に鋭く弾き返した。
ライトがハンブルする隙を突き、二塁を陥れた中澤の好走塁で二、三塁と三度目の逆転機を作った東農大オホーツク。しかし、ここも後続が続かず無得点。想像以上に高い“1得点の壁”が大きく立ちはだかった。

東農大オホーツクは中澤の安打で好機拡大-Journal-ONE撮影
一瞬の流れを掴んだ立命館大
次に好機を掴んだのは、1点を守り続けた立命館大だった。6回表、1死から死球で走者を出すと、代打・築山隆翔(2年=立命館慶祥高)が右越えに二塁打。
続く、福井一颯(3年=岐阜一高)も中前に適時打を放ち、一気に2点を追加した立命館大。この一撃で試合の流れが一気に立命館大に傾くことに。
来秋ドラフト候補・有馬が圧巻のリリーフ
6回裏、立命館大は左腕・有馬伽久(3年=愛工大名電高)をマウンドへ送った。
来秋ドラフト候補でもある有馬は、立ち上がりから150km/hを超える速球を連発。その直球と変わらぬ軌道からのツーシーム、切れ味あるスライダーで東農大オホーツク打線を圧倒する。


















