神宮大会で青山学院大学V2達成
11月19日、晩秋の神宮球場に熱気が満ちていた。明治神宮野球大会大学の部決勝。青山学院大学と立命館大学の一戦は、歴史に刻まれる名勝負となった。結果は4−0。青山学院大学が昨年に続き神宮大会連覇を達成した。史上6校目、6度目の快挙である。
試合の舞台裏
まず、この大会の重みを確認したい。神宮大会は、大学野球の秋を締めくくる最高峰の舞台だ。東都、六大学、関西、地方の強豪が集う。勝者は「大学日本一」の称号を手にする。青山学院大学は昨年覇者として臨み、立命館大学は初の決勝進出。両者の対照的な立場が、試合に緊張感を与えた。
中西聖輝、圧巻の17奪三振完封
そして、この決勝の主役は間違いなく中西聖輝(4年=智辯和歌山高)だった。中日ドラゴンズがドラフト1位指名した右腕は、夏の甲子園の決勝で優勝。そして、大学最後の大舞台でも完璧な投球を披露し、有終の美を飾りプロへと進んでいく。
初回から直球は威力十分。140km台後半のストレートに、鋭く落ちるフォークを織り交ぜる。立命館大学打線は手も足も出ない。初回の三者連続三振から、3回まで打者一巡を完璧に抑えてスコアボードにゼロを並べた。さらに、要所でギアを上げる投球術も光った。走者を背負っても動じない。むしろ、そこから三振を奪う快投を見せた。
最終的に、9回127球で17奪三振。被安打わずか2で死球が1つ。まさに圧巻の完封劇だった。試合後、中西は「決勝のマウンドは楽しかった」と笑顔でインタビュー応えた。中西が成し遂げた17K完封は、記録にも記憶にも残る神宮大会決勝の出来事となるだろう。

17奪三振で完封した中西聖輝(青学大)-Journal-ONE撮影
渡部海、値千金の3ラン
ついに、試合が動いたのは6回表だった。ここで、1死二、三塁の先制機が生まれる。そして、青山学院大学の4番、渡部海(3年=智辯和歌山高)、来秋ドラフト候補のスラッガーが打席に入った。
カウントはフルカウント。7球目、立命館大学の先発・遠藤翔海(4年=京都共栄学園高)が投じたスライダーを、渡部は逃さなかった。振り抜いた打球は、一直線にレフトスタンドへ。値千金の3点本塁打。青学ベンチは総立ちとなり、神宮球場に歓声が響き渡った。
渡部は「何としても先制点を取りたかった」と振り返った。その思い通り放ったその一撃は、試合の流れを決定づけるものとなった。

追い込まれるまでフルスイングの渡部-Journal-ONE撮影
青山学院、史上6校目の連覇
その結果、青山学院大学は昨年に続き連覇を達成。史上6校目、6度目の快挙だ。なお、過去には東洋大学が2007、2008年に連覇しているが、それ以来の記録となる。
そして、優勝した安藤寧則監督は「選手たちがよくやってくれた。春秋連覇に続き、神宮でも勝てたことは誇り」と語った。藤原夏暉主将(4年・大阪桐蔭高)も「中西の投球に尽きる」と笑顔を見せた。
立命館大学、有馬伽久の奮闘
一方、敗れた立命館大学も価値ある戦いを見せた。初の決勝進出は快挙だ。準決勝では東京六大学で全勝優勝した明治大学を7−2で撃破。勢いそのままに決勝へ駒を進めた。
まずは、注目すべきは150km/h超の左腕・有馬伽久(3年=愛工大名電高)。青山学院大学の渡部と共に、来秋ドラフト候補だ。初戦の東京農業大学北海道オホーツク戦で、大会新記録となる10者連続三振を奪う圧巻の投球を見せた。しかし、決勝では様相が異なった。
7回からマウンドに上がった有馬は、連投の疲れが影響したのか、立ち上がりで制球を乱す。四球と暴投で無死二塁のピンチを招くと、適時打を浴びて失点。それでも、その後は安打を許さず、意地を見せた。
球速はMAX147km/hを計測したが、平均は140km/h前後。球速、制球ともにこれまでの圧倒的なキレは投球は影を潜め、決勝では本来の投球には届かなかった。それでも、スカウト陣はの評価は変わらない。

10者連続三振の新記録を作った有馬伽久-Journal-ONE撮影
試合の流れを振り返る
まず、序盤は互角。中西が三振を奪いながらも、立命館大学も粘りを見せた。5回までスコアレス。6回、青山学院大学・渡部の一撃で均衡が崩れる。さらに7回、谷口の犠飛で追加点。
それでも、立命館大学も有馬、芝本の継投で必死に食い下がったが、最後まで中西を攻略できなかった。



















