守備の質を高めたラグビー日本代表
「ゴールド氏が就任してから、我々のディフェンスはより攻撃的になり、ラインスピードも向上し、タックルで相手にプレッシャーを与えられるようになった。これは大きな進歩。それでもなお、この点については継続的な取り組みが必要」。
課題が残った攻撃とセットプレー
ラグビー日本代表、攻撃面の課題
ただ、本来はアタッキングラグビーを信条とするエディー・ジャパン。8月から9月にかけてのPNCで攻撃は好調だったラグビー日本代表。しかし、格上との対戦が続いた秋の5連戦では、平均1.4トライと精細を欠いた。特に相手陣22m内に入ることができても、ミスやペナルティで得点できないシーンが目立った。
ジョーンズHCが語る攻撃の改善点
当然、世界的名将はそのことを承知している。「スペースへボールを移動させる能力はかなり良かったが、ジョージア代表戦ではスペースを活かせなかった。つまり、横方向よりも直線的に進む必要があったのに、直線的ではなかった」と振り返った。
さらに「相手陣22mライン内に入ると、相手ディフェンスがセットされ、ほぼNFL(アメリカンフットボール)のセットプレーのような状態になる。だから、この部分を強化し、独自のプレースタイルを確立する必要がある。私自身もいくつかの考えを持っており、チームでも話し合いを重ねている。来シーズンに向けて、この点を確実に整えていく」と先を見据えた。

突破を図るLOディアンズ主将:(C)JRFU
ラグビー日本代表、セットプレーの現状
また、空中でのボールの競り合い、スクラム、ラインアウトといったセットプレー。ジョージア代表戦では良い面が見られたが、他の強豪との対戦ではそうではなかった。この2つのエリアも当然、レベルアップを続けていかないといけないことは明らかだ。
空中戦とスクラムの重要性
「テストラグビーにおいて、これまで以上に空中戦の重要性が増している。自陣でキックを蹴った後、空中でボールを奪い、素早く相手陣で攻撃に転じる。ダブルポゼッションを確保するようなもの。これはチームとして継続的に取り組むべき課題」。
セットプレーの安定性が勝敗を左右
また、「セットプレーの安定性、スクラムやラインアウトの質はジョージア代表戦では非常に良かったが、前週は十分とは言えなかった。こうしたセットプレーの局面こそが試合の流れを左右する。セットプレーの基盤の上に我々独自の日本スタイルの攻撃を展開できることが求められる」。

試合中、修正点を確認するFW陣-斉藤健仁撮影
ラグビーワールドカップ前年となる2026年の目標
ラグビー日本代表、2026年の戦い方
ワールドカップまであと2年あまり。ジョーンズHCがラグビー日本代表を率いて3年目とは、どんな1年としたいのか。2026年は7月と11月に欧州の強豪6カ国と対戦。最後にロンドンで順位決定戦を実施する新たな国際大会『ネーションズチャンピオンシップ』もスタートする。トータルで12~15試合ほどが予定されている。
ジョーンズHCが描く3年目のチーム像
ジョーンズHCは「就任1年目は、どのような才能が揃っているのかを見極める段階。だから1年目は人材の発掘を確認する期間とした。2年目は基盤構築の年で、チームの60~70%が固まる段階。そして来年の3年目はそれを80%程度まで引き上げたい」と語った。
選手起用と一貫性の確立
「できれば適切なマネジメントのもと、選手の80%が試合の80%に出場できるよう目指す。そうすることでチームの一貫性と結束力が生まれ、彼らが最高の選手となる。プレッシャーのかかる状況下で、互いの動きを理解し合うようになり、プレッシャー状況への対応力が過去2年間よりも格段に向上するだろう。これが来年の我々の目標」と意気込んだ。
ラグビー日本代表、メンバー外にもチャンス
まだ、メンバー外の選手にも日本代表の門戸が開かれているようだ。指揮官は「ワールドカップ前には、リーグワンが2シーズンある。だから、日本代表のメンバー外にいる選手たちが、国際ラグビーでプレーできる実力があることを示す機会となる」と説明した。
フィジカル強化と厳しいトレーニング
「彼らは身体的な成長により、それを示さなければならない。テストマッチラグビーを戦うには身体が伴わなければならず、そのためにはこれまで以上に厳しいトレーニングを積む必要があるということを、選手自身が選択すべき」と話すにとどめた。

ジョージア戦に挑む日本代表:(C)JRFU

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