一方、「今年は接戦を落とすなどチームの歯車が今一つ嚙み合わなかった。来年はもっと出塁して、どんな状況でも得点に絡めるようにしたい」と、2年ぶりのプレーオフへ更なる飛躍に力を込めた。
打撃セッション——4番の重圧を越え、再始動の誓い
加えて、打撃練習も手厚く行われた。開幕間もなくから4番打者に座り、打線の核として出場し続けた木下華恋選手は、その打撃論を余すことなく高校生に伝えた。
「4番という打順を意識し過ぎた」と、今季のプレーを振り返った木下選手。一方で、「来シーズンは期待に応える打撃ができるよう、オフにしっかり鍛える」と、力強くリベンジを誓った。

チームの主軸・木下選手が打撃論を直接伝える‐Journal-ONE撮影
望月朱里——劇的復帰の特別賞から、再びの別れ
そして、昨シーズンに劇的な現役復帰を果たしてリーグ特別賞を受賞した望月朱里選手は、今季も打率.319(西地区7位)、11打点と流れを変える一打を量産した。
実は望月選手、今シーズン限りで再びユニフォームを脱ぐ決意を固めた。「目標のベストナインは獲れなかったが、精一杯のパフォーマンスを見せることができた」と笑顔で語り、高校生とのセッションを楽しんでいた。

悩みを聞きながら丁寧にポイントを教える望月選手-Journal-ONE撮影
JDリーガーが“勝負の空気”をベンチで伝える交流戦
さらに、練習セッションの合間を縫って、各校2試合ずつ組まれた交流戦が行われた。
この交流戦最大の目玉は、ギャラクシースターズの選手がベンチに入るという企画。試合中の様々なシーンでJDリーガーから高校生にアドバイスが飛ぶのだ。
もちろん、その場でプレーを振り返るだけでなく、悩みを即座に相談できる。高校生たちにとっては、思い出にも身にもなる嬉しい企画だ。
捕手のインサイドワーク——吉田真央が要点を伝授
まず、西城陽高のベンチに入った吉田真央選手。守りに着く前の捕手とかなり熱心に話し込んでいた。
「守りに着く前に、配球に関するコツを伝えていました。それと、投手と良くコミュニケーションを取るように」と、トッププロのインサイドワークを惜しみなく伝授した。

ベンチ入りした吉田選手が試合中にアドバイスーJournal-ONE撮影
ベンチの“声”が流れを変える——二見亜希の鼓舞
一方、京都明徳高のベンチに入った二見選手は、少し大人しいベンチの雰囲気に見兼ねて声を張り上げる。
「ピッチヤー!あとアウト一つ。集中して!」「内野、ゴロは近いベースを踏んで終わりだよ!」と、内野陣に指示。
すると、今まで静かだった京都明徳高ベンチからは大きな声が出始め、同じ京都の強豪京都西山高に臆することなく向かっていく姿勢が育まれた。
参加者もイベントに目を輝かせる
指導者の哲学——「はい」で終わらせない対話
さらに、このイベントに期待を寄せる参加者たちの話も聞いた。
最初は、今回のイベントで高校側のまとめ役となった京都明徳高校の赤木朋子先生だ。京都府高体連の委員長も務める赤木先生は、ソフトボール指導を25年間続けている。
自身も京都西山高時代は選手としてプレーした。ケガなどもあってその後は選手生活に別れを告げた。しかし、教諭になって再び指導者としてソフトボール界に戻ってきたという。
京都の教育現場には、ソフトボール経験者が指導者として地元に帰ってくるケースが多い。これは恵まれた背景だという。
だからこそ、赤木先生が指導する上で最も重視するのは「『はい』で終わらせないコミュニケーション」と話す。
「自分の考えを、キチンと言える子に育てたい。」と続ける赤木先生。そして、「自分のソフトボール論を持って指導者として戻ってきて欲しい。」と、未来を担う若者たちに期待を寄せていた。

未来の指導者に期待を寄せる赤城先生-Journal-ONE撮影
スカウトの眼——IPU初代監督の人脈と関西の原石
続いては、真剣な表情で試合を見つめるギャラクシースターズスタッフの姿もあった。敏腕スカウト・山本孔一シニアアドバイザーである。
山本アドバイザーは、大学ソフトボール界の強豪・環太平洋大学(IPU)女子ソフトボール部の初代監督を務めた。その人脈を活かして年間の1/3は高校・大学の練習や試合を巡っているとのこと。


















