ホーバスHCは2つの白星を挙げたことを「すばらしい」ものだと括った。その通り、1つ1つの勝敗の価値の重いこうした国際試合では、どのような内容であれまずは白星を手にすることが肝要だ。一方で、日本が今後も盤石かといえば予断を許さない。
現在、行われているのはワールドカップ予選の1次ラウンドで、日本は台湾、中国、韓国と同組だ。このうち上位3チームが最終の2次ラウンドへ進む。この際、同ラウンドに入っても1次の戦績は持ち越されるため、1次でできるだけ勝ちを集めておきたい。
日本は2月下旬から3月上旬にかけてと、7月の2つのウインドウで中国と韓国と2試合ずつを残している。ともに台湾よりも強敵であるのは間違いない。
日本の一番の懸念は層の薄さだ。このことは今になって始まったものではなく、長らく続く課題となっている。

アウェイで得点し雄叫びをあげる渡邉雄太-@FIBA
バスケットボール日本代表、今後の課題と中国・韓国戦への展望
台湾との初戦では序盤から日本がリードを広げた。それにより、多くの選手を起用できたが、台湾が対策を施してきた2戦目では苦戦。
結果、渡邊が37分、ジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)にいたっては40分。1度もベンチに下ることなくプレーを続けた。これから当たる2か国のサイズや当たりの強さ。そのことを考えればやはり限らればメンバーの出場時間が長くなりかねない。

コートに登場するバスケットボール男子日本代表₋@FIBA
ホーバスHCが問う「信じる心」
もっとも、物事を気弱に捉えていてもせんないことだ。中国も韓国も確かに強いが、自分たちも強くなった――。自分たちのバスケットボールを「信じているか」。ホーバスHCは選手たちに対して踏み絵のように問うてきた。それは、信じていないのであればここにいる意味はないというメッセージでもある。
「今の日本は台湾、中国、韓国からしても同じグループにいて嫌だと思われているはず。『やばい、日本と同じグループにはいってしまった』っていうくらい自分たちは力をつけているのは間違いない」。渡邊はキャプテンを任された今回の台湾との2試合を前に、声を大きくした。指揮官の信条を、異なる言葉を用いつつ、代弁したような形だ。

試合中に選手を称えるホーバスHC₋@FIBA
台湾戦で示した冷静さと課題
自信は過剰になってはいけない。一方で、相手に劣っているのではないかと慄いていても持つ力を十全に発揮するなど到底できない。
アジアカップで日本よりも上位の5位という順位を勝ち取った。この試合で、優れた選手が増える台湾を侮る様子などなかった。加えて、2試合を通して日本の選手たちは、例え相手に流れがわたっている時間帯であっても落ち着きを失わなかった。
とりわけ2戦目の台湾での試合は同国代表の背中を押す相手の大きな声援に包まれていた。しかし、日本の選手たちがそれに圧倒されるという様子は見て取れなかった。
台湾からの2勝。ただ、3大会連続でのワールドカップ出場へ向かう日本が置かれた状況が盤石かとは言い切れない。2戦目の台湾戦は、何かが転べば勝敗が逆転していてもおかしくなかった。そういう見方もできた。得てしてあらを探しがちなメディアなどは、そうしたことが頭から離れない。

フィジカルとメンタルの強さを見せつけた渡邉雄太-@FIBA
渡邊雄太の復帰がもたらした影響
試合終盤に訪れた勝負どころ
この2戦目の終盤。日本は最大で12点差をつけた。そこからもう一押しすれば、ボクシングでいう「ノックアウトパンチ」を打ち込む。そうすることで、試合を終わらせることもできたのではないか。
そう問われたホ―バスHCはそれをはねつけはしなかった。しかし、いつも自分たちが望むような形とはならないのがスポーツである。とでも述べるかのようにこう返した。
ホーバスHCが語るスポーツの難しさ
「試合時間残り4分ほどで私たちは3つか4つ、ワイドオープンの良いシュートが打てていました。そのうち1本でも決めていればまったく違った試合になっていたでしょう」。
「ですが、それこそがバスケットボールなのです。ですからシュートが決まるかミスをするかもバスケットボールの一部です。私たちのしてしまったターンオーバーのいくつかは改善できるとは思います」。

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