するとそこから、「行けるんじゃないか?」とチーム全体に活気が出て、一戦必勝で後半戦を戦いました。結果、最後の最後でそのキップを手にすることが出来ました。
波に乗れなかった一年と最終節の緊迫
松田監督:最終節(京都ラウンド)は痺れましたよね。ウチも、最後の最後までプレーオフのチャンスがあったので、小野監督を応援していたんですよ(笑)。
とはいえ、今年は最後まで波に乗れませんでした。三輪(さくら投手)の調子も中々上がってこない中、去年の様に「行けるぞ!行こうぜ!」という雰囲気にまでには至らなかったです。

最終節まで伊予銀行とSGHとプレーオフ枠を争っていたSHIONOGIーJournal-ONE撮影
JDリーグ史に語り継がれる京都ラウンド
神懸かった伊予銀行の流れ
―― 今、話に出た“最終節・京都ラウンド”。取材をしていた私たちも、手に汗握る劇的な展開でした。
小野監督:あの時の伊予銀行は、神懸っていました。対戦成績で優勢(2勝0敗)だったはずなのに、試合前から何か嫌な雰囲気だった。結局、最後まで伊予銀行の展開で進んでいきました。
石村監督:確かに、後半戦はサヨナラ勝ちが4つ。本当に、何か神懸っていたのかな。今までは、あのような展開で勝つことがありませんでしたから。
最終試合の勝敗が左右する進出条件
松田監督:その後のウチの試合(対SGホールディングス戦※)は、観ていかなかったのですか? ※SHINOGIが勝てば伊予銀行、負ければSGホールディングスがプレーオフ進出となる最終試合
石村監督:とてもじゃないが、観ていられないです(笑)。宿舎に帰り、夕食を摂りながら部屋で日本シリーズ(阪神vsソフトバンク)を観ていました。選手たちは、揃って部屋で配信を観ていましたね。

激戦を勝ち抜き、チーム初プレーオフを決めた伊予銀行‐Journal-ONE撮影
超注目の一戦で得たもの
吉村監督:そんな勿体ない!私でさえ、配信を食い入るように観ていたくらい注目の試合だったのに(笑)。しかし、その大一番で初回にツーラン2本でしょ?あの攻撃は凄かったですね。
松田監督:ウチは、あの試合で勝ってもプレーオフに届かない。一方、SGさんは勝たなければいけない。そのプレッシャーが掛かる立ち上がり、サンダーコックの出鼻を上手く叩いてくれました。
残念ながら、2年連続のプレーオフ進出は逃しましたが、選手たちにはいい経験だったと思います。石村さんには、感謝してもらわないと(笑)。
チーム作りと采配の難しさ
日替わりヒーローからの変調
―― 毎年入れ替わりの激しい女子ソフトボール。そのチーム作りはもちろん、シーズン中も采配に工夫されている様子が見て取れました。
松田監督:昨年は、ほとんど毎試合打順を代えていたと思います。なぜなら、各選手の実力や調子が拮抗していたからです。その結果、チーム内での競争心も出てきて、日替わりヒーローで試合を決めてきました。とはいえ、今年は調子の良い選手が中々出てこなかった。新人の中邨(花菜投手)が出てきてくれましたが、やはり三輪の活躍(昨年19勝)をフォローし切れませんでした。

来シーズンはSHIONOGI投手陣の活躍にもさらに期待したい-Journal-ONE撮影
得点力とラインナップの連動性
石村監督:得点力不足には頭を悩ませましたね。特に前半、打線やスタメンの入れ替えを行いましたが、繋がりが改善するまでには至らなかった。中軸がマークされる中で、中堅、若手がカバーする。その歯車がかみ合わない試合が多かった。
情報連携によるオーダー微修正
小野監督:女子選手は、好不調の波が男子選手と比べて本当に激しいと実感しました。とはいえ、ウチでは田中(江理奈)コーチや選手経験のあるマネージャーたちが、選手と良くコミュニケーションを取っています。そこで、その情報を基に微修正をしてオーダーを組みましたが、中々上手くいきませんでした。
ショートイニングを繋ぐ投手運用
吉村監督:ウチも若い選手が多く、実力も拮抗しています。そのため、シーズン当初から前以て投手起用やスタメンを事前に伝えるようにしました。まずは、自分の与えられた責任をしっかり果たそうと言うことですね。
そこで、6人の投手陣がそれぞれ1イニングをしっかり投げ切る。それを課して、ショートイニングを繋ぐ采配に代えました。もちろん、途中で打たれる場面もありましたが、数年先を見据えて経験を積みながら勝率も上げていこうという作戦でした。





















