
投球練習では毎回マウンドで投手とコミュニケーションをとる吉村監督‐Journal-ONE撮影
癖を見抜く力の重要性
球種を読む観察眼の育成
―― 毎年、JDリーグのレベルが上がっているように感じます。今後、勝ち抜いていくには選手たちに何が必要だと思いますか?
小野監督:やはり、相手の癖を見抜く目ですね。まずは、投手の球種を読む。そして、打者は次の一手を予測してより的確なスイングが可能になります。残念ながら、この力が身につかないと、どんなに技術があっても勝負できません。
―― 皆さん、対戦投手の球種は分かるのですか?
全員:うなずく
小野監督:100%分かりますね。とはいえ、必死で観察することが前提です。その結果、仕草やちょっとした体の使い方を見抜けば、2球目から同じ動きで確実にその球だとわかります。

高知県出身の小野監督の能力の高さに驚愕ーJournal-ONE撮影
吉村監督:特に、小野監督は「野生児」だから(笑)。とんでもない田舎で育ったんですよ。
小野監督:“仁淀ブルー”で知られる仁淀川が流れる仁淀川村(現、仁淀川町)の出身です。子供の頃は、片道2時間かけて小学校に通っていたので、毎日遅刻していました(笑)。暇さえあれば、川に入って魚やウナギを獲っていましたね。
身体能力と運動量の伝説
石村監督:子供の頃から走り回っていたの?小野監督は、日本代表で同じチームの時に、支給されたアップシューズをあっという間に掃き潰した伝説を持っています(笑)。運動量とか身体能力が本当に高かった。天性の素質でソフトボールやっていましたね。
小野監督:才能なんてありませんよ(笑)。ただ、子供の頃から走り回ったり、遊び回ったりしていましたから、ずっと走っていると心が落ち着きます。良いアップシューズを貰ったら、走りたくなって毎日20キロ走っていました。ね?松田監督。
松田監督:いやいや。僕に同意を求められても…

その運動能力で伝説を残した小野監督-Journal-ONE撮影
再現性が難しい女子ソフトボール
投球の再現性と微妙な変化
松田監督:話を戻しますけど、女子は投げ方で球種を完全に見抜くのは難しいですよ。何となく、フィニッシュで「この球種なのかな?」と思っても、微妙に違う変化をしていることがあります。
吉村監督:確かに、女子選手の特徴のひとつとして、再現性が低いことが挙げられると思います。同じように投げていても、その通りの球筋にならない。だから、こちらも「あれ?」と思うことがあります。

男子ソフトボール選手から女子投手を分析すると新たな発見がーJournal-ONE撮影
超一流の規格外との対決
石村監督:とはいえ、そんな中でもファライモ投手や上野投手など超一流になれば、再現性は高い。そこで、一瞬で球種を見抜き、それを確りと捉える打者をどう育てるかが重要になります。
小野監督:投手の癖だけでなく、ちょっとした間や仕草にも注意を向けるべきです。なぜなら、こうした観察力が勝敗を左右するからです。
そこで、シーズン後半から試合中に私が感じたことを選手に伝えるようにしました。
上野投手に次ぐ投手出現の可能性
「本気で超える」意思が未来を拓く
―― 今の話ですと、やはり上野投手を継ぐ投手の出現は難しいと?
吉村監督:再現性というよりも、上野投手のような素晴らしい投手は中々出てこないですよ。しかし、確かにすごいですが、それを本気で超えようと思っている選手がどれだけいるか。本気で超えようと思う選手が出てくれば、結果素晴らしい投手になると思います。
一方、上野投手は上野投手だけの道を、誰も歩んだことの無い道を進んでいます。自分が納得するまで進んでいって欲しいです。

女子ソフトボール界を牽引する上野投手についても話した-Journal-ONE撮影
世代変化とツーステップの素地
松田監督:未来のJDリーガー達に希望を込めてですが、きっと、5〜10年後には上野さんを超える選手が現れると思います。それはなぜかというと、今の若い子たちはソフトボールを始めた時からツーステップで投球しているからです。





















