今のJDリーグの選手たちは、途中からツーステップ投法に代えた投手ばかりです。したがって、男子のツーステップとは少し違うんですよね。デンソーの坪野(三咲)投手だけが、男子と同じツーステップで投げています。
小野監督:分かります。ステップと腕の連動が男子と違うと言うか。最初に見て、なんかリズムが違うなと思っていました。
女子のツーステップは、飛びながらずっと腕が回ってしまっています。男子は空中で一度腕が止まることで着地時に腕がトップの位置に残っています。ですから、男女の体格差とは別に勢いを失わずにボールを投げられるのです。

未来のJDリーガー達からも目が離せないーJournal-ONE撮影
指導者層の拡充と親子鷹の可能性
石村監督:あとは、ツーステップ投法をキチンと教えられる指導者が増えていくことですね。松田監督は、娘さんが小学生でソフトボールをしています。親子鷹としていずれ注目されるのではないでしょうか?
松田監督:何とかソフトボールを始めてくれて、楽しいと言ってくれています。でも、直接指導するのはちょっと躊躇います(笑)。
世界戦での思い出は
闘争心で刻んだ全試合の記憶
― みなさん、日本代表として世界と戦われましたが、印象に残っているシーンを教えてください。
小野監督:全ての試合を詳細に覚えています。なぜかというと、自分よりも身体が大きくて、パワーもスピードもある人たちと戦ったので、全てが印象的なものだったからです。
さらに、日の丸を背負って戦うためには、「絶対に俺のところに飛んで来い」と、闘争心を燃やし続けて試合に出なければなりません。私は、外野手、捕手、DPとして試合に出ていました。特に守備に就くときは、他の上手い選手を差し置いて守るのには、少し引け目がありました。

日本代表時に経験した試合を振り返る小野監督-Journal-ONE撮影
強風に奪われた勝機——ニュージーランド戦
石村監督:私は、2度目に出場した2009年のカナダで行われた世界選手権ですかね。当時は、ニュージーランドが一番強かった時代です。決勝トーナメントでアルゼンチンを1点差でなんとか下して、そのニュージーランドとぶつかりました。
サヨナラ負けのピンチもしのぎ、最終回あとアウト一つでニュージーランドに勝てるという試合でした。そこで、レフトにフライが上がって「あ、終わった、勝った」と思ったシーンが印象に残っています。私はライトの守備に就いていたので、打球の行方が良く見えていたのです。
すると、その打球が強風に煽られて、大げさではなく直角に落下してレフトの前に落ちたのです。結局、そこから同点に追いつかれて最終的に負けました。強敵・ニュージーランドにあとアウト一つというところで、思わぬことで勝利を逃した。
良かったことよりも、良くなかったことの方が印象に残っています。

石村監督が印象に残る試合は勝利を目前に惜しくも敗れた場面だったーJournal-ONE撮影
世界ランクを巡る宿敵との攻防
吉村監督:当時は、世界ランクもずっと5位くらいだったので、ニュージーランドに勝って一つでも世界ランクを上げることが、男子ソフトボール界の目標でしたからね。
アルゼンチン戦のダブルプレー——2019年の悔恨
松田監督:僕も、どちらかといえば良くなかったことの方ですかね。2019年の世界選手権(チェコ開催)のアルゼンチン戦ですね。9回裏1死満塁とサヨナラ勝ち寸前の場面でした。
しかし、二遊間に抜けるかと思った当たりを二塁手に好捕され、そのまま二塁ベースを踏んで一塁へ送球。その結果、ダブルプレーとなって無得点に終わり、続く10回表に得点されて負けてしまった。
日本が初めて世界選手権で優勝できると思いましたが、残念ながら準優勝となったあのシーンは鮮明に覚えています。

世界一を目前に敗れた試合の記憶が思い出されるーJournal-ONE撮影
チーム事情に合わせて指揮を執る柔軟性
合流時期の遅れを間接コミュニケーションで補完
―― 皆さんが指導をされるにあたり、選手とのコミュニケーションはどのようにされていますか?





















