石川恭子が体現した“再輝動”──3連覇トヨタの中心で、挑戦を勝利の形に
JDリーグ2025のキーワード“再輝動”
JDリーグ2025のキーワード“再輝動”は、古い勝ち方の踏襲ではない。チームも選手も、自ら変化を仕掛け、もう一段高いレベルへ動き直す。その決意を掲げてシーズンが始まった。
その最終試合、トヨタレッドテリアーズのショートストップ、石川恭子が躍動。“再輝動”を象徴するプレーを魅せた。

ベストナインを受賞した石川のコメントシーン‐JDリーグ提供
ダイヤモンドシリーズファイナルで躍動
ダイヤモンドシリーズファイナル、トヨタはビックカメラ高崎ビークイーンを4–2で下した。これにより、トヨタは前人未到のJDリーグ3連覇を達成。最高殊勲選手賞(DS MVP)には石川が選出された。
その半月後、さらに節目となるイベントが明治記念館で行われた。そこで開催されたJD.LEAGUE AWARDS 2025では、石川が西地区ベストナイン(遊撃手)を受賞した。
加えて、レギュラーシーズンからポストシーズンまで一貫して勝負所を締めた石川の活躍が高く評価されたのである。さらに、その存在感を具現化したトロフィーを手にし、そして報道陣から満面の笑みでフラッシュを浴びた。結果として、石川のシーズンを象徴する瞬間となった。

ダイヤモンドシリーズMVPを受賞した石川₋JDリーグ提供
石川が語る“変化”の手応え
「色々な変化、チャレンジができて楽しいシーズンでした」。
「坂元監督に代わり、新たな戦術にチャレンジしました。また、島仲選手らの新しい力との融合などもありました」。
授賞式後、Journal-ONEの単独インタビューに応えた石川。まず開口一番に語ったのは“変化”の手応えだった。
新しくタクトを振るう坂元令奈監督の下、チームは「全員戦力」を掲げた。その下で、役割と連携の再設計を進めていった

インタビューに応える石川₋Journal-ONE撮影
石川の役割と存在感
エース、メーガン・ファライモの計算できる投球に、切石結女の冴えたリード。中軸の山田柚葵は一発で試合を決める迫力を増し、そして外野の新星・島仲湊愛が攻撃の起点を高い出塁と勝負強さで担った。
今シーズン、開幕からリードオフマンの役割を担った石川は、後半から2番に配置転換。しかし、どの打順においても、石川は機動力の仕掛けと状況対応を重ねる。そして、勝利の流れを手繰り寄せ続けた。

打順に応じて“局面力”を発揮した石川₋Journal-ONE撮影
ファイナルを決めた“局面力”──石川の先制打、山田の一撃、そして守備で締める
舞台はジャイアンツタウンスタジアム
ダイヤモンドシリーズファイナルは、プロ野球・読売ジャイアンツの新球場ジャイアンツタウンスタジアムで行われた。
緊張感のある投手戦を破ったのは3回表だった。伊波奈々がスラップで安打を放ちの出塁すると、島仲が三遊間を破る安打で続く。ようやくトヨタが機動力を絡め、無死二、三塁と先制機を作った。
ここで打席に入った石川は、内角速球を中前へ運ぶ先制の2点タイムリーを放つ。さらに、続く5回には、山田柚葵がライトフェンスを越える2点本塁打。難攻不落の“世界のエース”上野由岐子を攻略した。
終盤、ビックカメラ高崎もベテラン我妻悠香が2ランを放ち反撃。4–2と2点差に詰め寄った。しかし、最後の打球をショート石川が冷静に処理して試合を締めた。

三連覇を果たしたトヨタレッドテリアーズ‐JDリーグ提供
石川の“局面力”が光った瞬間
勝負どころで“仕留める攻撃”、“落ち着いて抑える守備”の両輪。走塁も含めて総合力に秀でた石川ではあるが、「ここぞ」という場面での強さは特筆だ。プレッシャーのかかる場面で冷静に対応できるメンタルも持ち合わせている。この石川の”局面力”が、トヨタの三連覇を現実にした瞬間だった。
二日連続の完投で勝利を掴んだメーガン・ファライモ。18勝3敗、防御率0.73で西地区の投手タイトルを総なめにした、レギュラーシーズン通りの活躍を見せた。



















