四国を元気に!高知編 物部川エリアに行こう!

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Wリーグ 山本麻衣(トヨタ)と馬瓜エブリン(ENEOS)のマッチアップ
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Wリーグ プレミア(第10週・12月20日)

Wリーグ トヨタ自動車アンテロープス vs ENEOSサンフラワーズ、注目チームがぶつかる好カードが愛知県稲沢市にある豊田合成記念体育館エントリオで開催された。

この注目カードの最終スコアは76–55。終わってみればアンテロープスの快勝で幕を下ろした。しかし、その内容は第4Q終盤まで白熱した展開だった。

まず、序盤にリードを許したアンテロープスが守備から流れを取り戻して逆転。結果として、その後は大きくリードする展開になった。

一方、劣勢に立たされたサンフラワーズも第3Qに25点を挙げる猛追を見せて4点差(53–49)まで詰め寄る。

ところが、4点差にまで迫られたアンテロープスが、最終Qを23–6完全制圧。Wリーグ2025-26の流れを象徴する勝ち方となった。

  • 最終スコア:トヨタ自動車アンテロープス 76–55 ENEOSサンフラワーズ
  • クォーター別:21–17/19–7/13–25/23–6
  • 試合時間:13:00ティップオフ〜14:44終了
    Wリーグ 勝利して喜ぶトヨタ自動車アンテロープスの選手たち-Journal-ONE撮影

    激戦を制したのはトヨタ自動車アンテロープス-Journal-ONE撮影

ゲームレビュー――“4点差の緊迫”から“21点差の決着”へ

サンフラワーズの逆襲

第3Q終盤、会場の空気は一変した。サンフラワーズが梅沢カディシャ樹奈のライン加点(FT獲得を含む)と、馬瓜エブリンのペイントアタックを軸に畳みかける。

その結果、スコアは53–49まで圧縮されてわずか4点差の攻防となった。Wリーグ屈指の名門対決は、簡単には終わらない。

そして、さらに両チームの選手たちが闘志を前面に迫力あるプレーを展開する。ダイブで床に飛び込むセカンドボール争い。ショットクロック残り数秒での意思決定。プレーのひとつひとつに緊張が張り付いた。

守備からリズムを掴んだアンテロープス

最終Qに入ると、アンテロープスがゲームの温度を操作する展開となった。外角→リバウンド→再セットという“勝ち筋”の連鎖を丁寧に繰り返して得点を重ねるアンテロープス。

さらに、ディフェンスでもサイドピックへのショー→ドロップを使い分けて侵入角を絞る。こうして、サンフラワーズの攻撃の目を摘んでいった。

3ポイント成功率40%の精度

何よりも圧巻だったのは3ポイントの精度だ。ここ一番でサンフラワーズの勢いを止めたのは、シュック カイリー アネットだった。カイリーはこの日、4本の3ポイントを全て沈める活躍を見せた。

加えて田中平和4本中3本の3ポイントを決める集中力で、スコアボードを一気に押し上げたアンテロープス。最終Qだけで23–6と粘るサンフラワーズを大きく突き放した。

勝負どころでのショットクオリティの高さ。そして、守備を再構築させた精度が、ホームゲームに集まったアンテロープスファンに勝利を届けたのだ。

Wリーグ トヨタとENEOSのゴール下の攻防-Journal-ONE撮影

激しいゴール下の攻防-Journal-ONE撮影

得点経過(第1〜第4Q)――これぞWリーグ!見応えある攻防を追う

前半-先制攻撃と落ち着いた攻守

第1Q(21–17):立ち上がりはサンフラワーズの勢いが勝った。馬瓜エブリンがフィジカルで押し込み、一時は10点のリードを作る場面もあった。

しかし、アンテロープスはハーフコート守備の距離感クローズアウトを崩さず、終盤にトランジションの質で逆転する。

第2Q(19–7):アンテロープスの守備設計が開始から機能し続けた。外角への寄せとペイントの封鎖が噛み合う。

外での攻撃で得点を挙げられないサンフラワーズは、7点止まり。それに対し、アンテロープスは安間志織の縦の圧、三浦舞華の高効率なシュート(2Pシュート5本/7本)で加点。前半を終えて40–24と大きくリードを広げた。

後半-怒濤の反撃を鎮火した正確なショット

第3Q(13–25):サンフラワーズが、この試合で最大の反撃を見せた。梅沢のライン加点と、宮崎早織を含むガード陣のプレッシャーで守備も活性化した。

馬瓜の連続アタックもあり、このクォーターで25点で奪うと勝利の行方は混沌となってきた。逆転を一気に射程圏へ入れたサンフラワーズ。これぞWリーグと、見応えあるプレーを連発した両チーム。試合の行方は、運命の最終Qまで分かたない展開となった。

第4Q(23–6):アンテロープスが、またしても守備から“再設計”を行った。スペーシングを保ち、ドライブ後のキックアウトで外角の質を担保。

シュック田中平和が正確無比なショットで得点を重ね、横山智那美はリバウンドでポゼッションを支える。こうして、好守に圧倒したアンテロープスが試合を締めくくった。

アクセス
豊田合成記念体育館エントリオ
  • 東海道新幹線 名古屋駅-JR東海道本線(約11分)-稲沢駅-徒歩3分
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取材・文:
Journal ONE( 編集部 )
この記事に関連する人物
大神雄子

1982年生まれ、山形県出身。日本女子バスケットボール界のレジェンドPG。日本人女子選手として初めてプロ契約を結び、2008年にはWNBAフェニックス・マーキュリーでプレー。世界最高峰の舞台で23試合に出場し、スピードとゲームメイク力で存在感を示した。2013年には中国リーグでも活躍し、国内外で豊富な経験を積む。日本代表としては2004年から2014年までプレーし、アテネ五輪や世界選手権、アジア選手権などで中心選手として活躍。引退後はトヨタ自動車アンテロープスの指導者に転身し、2022年にヘッドコーチ就任。就任初年度からチームを準優勝に導き、現在も勝利を追求しながら若手育成にも力を注ぐ。2023年にはFIBA殿堂入り(日本人3人目)を果たし、日本バスケット界の歴史に名を刻む存在となった。

山本麻衣

1999年10月23日/広島市安佐南区出身、ポイントガード。桜花学園高でインターハイ、ウインターカップ、国体3冠達成。2018年よりトヨタ自動車アンテロープスに加入し、2020–21、2021–22でWリーグ連覇&プレーオフMVP(21–22)。日本代表として3×3(東京)、5人制(パリ)ともに活躍し、2024年パリ五輪最終予選MVP、東京2020オリンピック(5位)、2024パリ出場。3×3 U23ワールドカップ(2018銀/2019金)でも逆転優勝とMVP。身長163cmながら3Pやドライブ力で持ち味を発揮。2025年2月にはWNBAダラス・ウィングスのキャンプにも参加し、日本人5人目の挑戦者に。

平下愛佳

2002年1月14日生まれ、愛知県出身、スモールフォワード。桜花学園高校ではキャプテンとしてインターハイ・国体・ウインターカップの高校三冠を達成し、2020年1月にアーリーエントリーでトヨタ自動車アンテロープスに加入。WJBLでは2021–22シーズンに優勝、翌22–23年もプレーオフ進出に貢献。2022年に代表デビューし、FIBA女子ワールドカップ、2023年杭州アジア大会では銀メダルを獲得。3×3でもU16~U19代表に選出され、好成績を収める。2025–26シーズンは平均得点、リバウンド、シュート成功率も高水準をキープ。2026年には地元・愛知名古屋で開催されるアジア大会出場にも意欲を見せている。身長177cmのスモールフォワードとしてペイントの駆け引きや3P長距離ショットに強さをみせ、「走り勝つ」スタイルは大神監督も高く評価。「シュートは仕事」と語る姿勢は、日本代表でも重要な役割を担います。

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