
試合中にも選手とのコミュニケーションをする福田監督-Journal-ONE撮影
若年期に重要な理論蓄積
さらに「正しい理論を若い時に覚えることが成長を大きく左右する」と福田監督。育成の根幹を成す理論と言語化も指揮官の重要な役割だと言う。
これは再現性の高い選手を育てるための鉄則である。理論は成功体験の言語化であり、言語化は再現性を生む。理論があるほど、調子の波が小さくなる。
加えて、JDリーガーの資質のひとつとして、「上野や外国人と対戦してひるまず向かって行けるか」という、メンタルの強さも挙げる。
メンタルは抽象ではなく、準備と経験の総量で具体化される。“想定外を減らす”準備が恐怖を和らげ、選手はプレッシャー掛かる場面でも平常運転に近い意思決定を発揮できるわけだ。
海外挑戦と育成改革―アカデミー構想と大学生への視点
若い選手たちの成長を促し、ソフトボール選手を憧れの職業にしたい。福田監督が抱くソフトボール界発展を願う想いは、様々なアイデアとなって湧き出てくる。

ソフトボール界を発展させるために海外挑戦を前向きに捉える‐Journal-ONE撮影
海外挑戦の実務課題
世界中のトップ選手が集まるJDリーグだが、「日本のトップ選手ならば、アメリカでも十分活躍できる。」と福田監督は話す。
自チームの後藤や中川はもちろん、「豊田織機の竹中(真海)も活躍できます。大きくない体であれだけのプレーができるから、海外のファンもびっくりすると思います。」と目を輝かせる。
そうして海外で1~2シーズン経験し、帰国後に戦術の引き出しや球質への適応スキルを各チームへと還元する。さらには、日本代表チームの資産になるだろう。
実際、野球やサッカー、バスケットボールなど多くの競技で海外へと挑戦する選手が年々増加している。ソフトボールは世界最高峰と言われながら海外で経験を積む選手がほとんどいないのだ。
さらに、企業スポーツの枠内では海外でのプロ契約が難しい。それでも「向こうの環境でやる支援はして欲しいですね。」と福田監督はその実現を訴える。
滞在時の生活費、練習環境、ビザの制約。具体的な障壁をチームが引き受ける仕組みが問われる。帰国後の代表招集との接合も、制度設計が鍵になるだろう。

日本からの海外挑戦を推奨する福田監督‐Journal-ONE撮影
大学生、若い選手の強化策
大学生はピーク直前にJDリーグ入りし、即戦力として期待されている。しかし、「大学生は即戦力を求められるが、在学時に成長するための機会が多くない。」と福田監督は語る。
そのため、福田監督が提唱するのは「代表の下部カテゴリーで大学生を強化する仕組み」だ。そして、それを実践すべく戸田中央は関東の大学生選抜チームとのオープン戦でその機会を提供してきた。
さらに“育成の底上げ”は、大学生より若い世代に視線を向ける。資金力などの問題はあるが、ソフトボールをやる子供が減っていることに対する若い世代のアカデミー構想だ。
「見込みのある選手を全面的にサポートする。日本国内でなく海外で学べる環境を作ってあげるといいと思います」。これは、既に各地区で行っているジュニア発掘の一歩先を行く構想だ。
「将来的にアメリカの高校、大学に進学してソフトボールをできる機会があれば。」と、JDリーグより前の段階で海外を経験させるプランを挙げた福田監督。

世界で勝ち続けるために若手の支援も必要と話した-Journal-ONE撮影
もちろん、「例えば球速であればもう110キロを超えればその支援が受けられる」と、条件まで例に出す。
ここまで力説する背景は、強固な強化プランなくして今の強さはキープできないという危機感だ。継続観察を行い段階的支援や国内外の受け入れ先のパイプも作る。ジュニア育成の仕組みつくりは待ったなしだ。
トヨタ・戸田での監督人生―二度の就任、60歳までの指揮、海外での挑戦
そもそも野球人であった福田監督。女子ソフトボール監督の始まりは、アトランタ五輪代表の鈴村光利監督とのご縁から始まった。
「社会人野球トヨタ自動車の先輩である鈴村さんに、『福田、女子ソフトボールの監督をやってくれんか?』と言われたことが始まりです」。と懐かしそうに振り返る。






















