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アルバルク が天皇杯を制した
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バランスキーが示した“迷いなき闘志”

見えない逡巡を吹き飛ばすプレー

アルバルク―当たり前のことながら、ためらいや逡巡は不可視なものだ。

だが、昨日閉幕した第101回全日本バスケットボール選手権大会(天皇杯)。そのファイナルラウンドでのザック・バランスキーにそうした雑念めいたものがなかった。なぜならば、その勇猛なプレーぶりを通して見てとれたからだ。

3Pライン外でボールをもらえば即座にシュートを打つ。加えて、リバウンドやその他の泥臭いプレーにも労を惜しむことなくあたった。

顔は紅潮し、実際にそのようなことはなかったとは思うが、体からは彼の熱量が湯気となっているようにすら見えた。

アルバルク東京のザック・バランスキー-永塚和志撮影

アルバルク東京のザック・バランスキー-永塚和志撮影

決勝の緊張感と“鼓舞”

「レッツ・ゴー! レッツ・ゴー!」

1月12日に東京・国立代々木第一体育館で行われた天皇杯決勝。バランスキーのアルバルクは前半に築いたリードを失う。そして、相手のシーホース三河に詰め寄られる。しかし、そこから再び押し返したアルバルク。試合残り1分を切った場面でリードを10点としていた。

よほどのない限り、そこから試合をひっくり返される可能性は小さかった。なのにバランスキーは、ほとんど怒気をはらんだとしてもいいほどの表情を見せた。強く手を叩いて大きな声を張り上げながらタイムアウトでベンチに戻ってくる選手たちを迎えた。

14年ぶりの戴冠

バランスキーはキャプテンである。加えて、タイトルのかかった試合はまだ終わっていない。だから気を抜くなとメッセージを送るのは当然だった。しかし、その形相と手を叩いて鼓舞する様子には強い思いが乗っていたように思われて、目を奪われた。

ほどなくして、試合終了を告げるブザーが鳴った。72-64でアルバルクが勝利。2011-12の第81回大会以来、14年ぶりの頂点に立った。通算では3度目の戴冠だった。

14年ぶりの天皇杯奪還に喜ぶアルバルクの選手たち-永塚和志撮影

14年ぶりの天皇杯奪還に喜ぶアルバルクの選手たち-永塚和志撮影

“少数精鋭”を支えた覚悟

ケガ人続出のシーズン

今シーズンのアルバルクはトヨタアリーナ東京という豪奢な城を手に入れた。しかし、一方で開幕からケガ人が絶え間なく出る危機的な状況が続いている。

まだシーズンは半分が終わったにすぎない。とは言え、Bリーグのシーズンで全試合に出場しているのはバランスキーとマーカス・フォスターの2人のみだ。天皇杯・ファイナルラウンドも万全である者は限られ、実質9人で戦った。

それゆえに、激しく戦うバランスキーの姿が際立った。

アルバルクで全試合に出場しているマーカス・フォスター‐永塚和志撮影

全試合に出場しているマーカス・フォスター‐永塚和志撮影

増した役割と決意

「レギュレーションが決まっている以上、レギュラーシーズン以上に僕とか(日本人ビッグマンの平岩)玄の役割が増えるのはわかっていました。久々に自分の実力を証明できるチャンスだったと思います」。

「思い切り、迷いなくやっていこうという気持ちはありました。ずっと優勝に届かなかったこの天皇杯に対しての個人的な気持ちはすごく強くて…」。

「得点だけでなく、リバウンドとかルーズボール。そういう泥臭いところでも何でもいいから、チームにちょっとでも貢献して勝利につながっていけばいいという気持ちでやっていました」。

今シーズン、3年連続でチームのキャプテンを務めるバランスキー。試合が終わって数十分後。コート上での気迫を脱ぎ捨てて、穏やかさを取り戻した彼は大会をそのように振り返った。

アルバルクのバランスキーは賜杯を前に喜びを語る‐永塚和志撮影

バランスキーは賜杯を前に喜びを語る‐永塚和志撮影

名門・アルバルクが抱える重圧と変革

「強豪」の看板の重さ

Bリーグ開幕前のNBL時代にアーリーエントリー制度を使ってトヨタ自動車アルバルクに入団。そこから同軍一筋33歳のベテランは、今シーズンの平均出場時間は18分弱。前2年は同12分台と従前よりもコートに立つ時間は減っていた。

しかしながら、今回の天皇杯ファイナルラウンドでは4試合すべてで先発出場。それぞれ30分以上の出場を果たした。初戦の富山グラウジーズ戦に23得点を挙げるなどで、4試合平均で12得点。3Pの成功率は43.8%を記録した。

2017-18、2018-19にBリーグで連覇を果たしているアルバルクにとって、久々のタイトルだった。一方で、Bリーグが始まってから昨シーズンまでの9年のうち8年で勝率7割を挙げるなど、格別の安定感を示してきた。

■記者プロフィール
永塚 和志
フリーランススポーツライター。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、FIBA W杯や米NCAAトーナメントを取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

「X」アカウント https://x.com/kaznagatsuka
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Journal-ONE記者の永塚和志氏
取材・文:
永塚 和志( 日本 )
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