ユナイテッドカップ=“第三のタイトル”、短期決戦の作法
ユナイテッドカップは、女子バスケットボール・Wリーグ/皇后杯に並ぶ“第三のタイトル”。今季はグループステージ4クラブ+前季Wリーグ王者・富士通レッドウェーブの計5クラブが横浜武道館に集った。
しかし、ユナイテッドカップ覇権への道のりは過酷だ。2月13日(金)〜15日(日)の3日間で一気に頂点を決めるトーナメント。短い日程ゆえ、立ち上がりの守備強度とローテの完成度が勝敗を分ける構造だ。
ENEOサンフラワーズはこの初日となる準々決勝に登場。Wリーグプレーオフ進出が決まったトヨタ紡織サンシャインラビッツと対戦する。そして勝者は、富士通が待つ翌日の準決勝に向かうのだ。

Wリーグでプレーオフの最後枠を争ったチームの対戦に-Journal-ONE撮影
Wリーグでの数字が語るENEOSの“入りの強さ”
ENEOSのシーズン像を、結果の断片ではなく数値から見直したい。
Wリーグ公式のチーム成績では、#11 レイン・アシュテン・プレッチェルに注目。2P成功率57.9%、3P成功率44.4%、総得点339点が際立つ効率性を示す。それゆえ、攻撃の“確度”を担保する存在になっている。
特に、後半の競った場面におけるペイントエリア。プレッチェルほど頼りになる選手はいない。あと1ショット、あと1ブロックが勝敗を分ける大事な局面で、チームメイトを鼓舞するに余りある存在感を放っていた。
加えて、東京オリンピックの銀メダル獲得で、一躍全国区となった#0 馬瓜エブリンの存在。出場27試合すべてに先発し、平均14.78得点、2P成功率46.2%・3P成功率39.1%とバランスの良さが光る。プレーの“第一声”としてミスマッチ攻略/早い仕掛けの号砲を鳴らす役回りを担う。
そこに#59 星杏璃の3P成功率35.6%、フリースロー成功率83.9%という“落ちにくい”外角が重なって、開始5分の得点期待値を押し上げてきた。さらに、インサイドの#24 梅沢カディシャ樹奈が2P成功率50.4%、FT成功率80.3%と安定。#26 田中こころも、スリーアテンプトが多く成功率は27.3%ながら、試投総量で空間を広げる役割を果たしている。
こうした役割の明確さが、皇后杯女王・ENEOSの土台を支えている。

3Pを決めるプレッチェル-Journal-ONE撮影
司令塔の“最後のシーズン”―宮崎早織という軸
さらに、今シーズン最大のエポックは、司令塔・#32宮崎早織の今季限りでの引退表明だった。
東京オリンピックの銀メダルやアジアカップMVPの働きを含むキャリアを背景に、トランジション判断と終盤のクラッチ意思決定でチームの“時間”を操ってきた宮崎。今季も25試合に先発して、FG成功率46.0%、FT成功率79.6%で叩き出した220得点。これに加え、数字の裏にあるテンポ制御の価値は短期決戦でさらに増幅する。
宮崎の特徴は「最初の縦」と「最後の横」。すなわち、ディフェンスリバウンドから最短距離の推進で縦に切り裂き、勝負所ではサイドチェンジとショートロール活用で横に間引いて、プレッチェルや星の確率を最大化する。これはユナイテッドカップの“時間圧縮”と相性が良いと考える。

ペイントゾーンに切り込む宮崎早織-Journal-ONE撮影
トヨタ紡織戦の見どころ-序盤10分の「呼吸数」をどう減らすか
ユナイテッドカップ準々決勝の相手トヨタ紡織サンシャインラビッツ。プレミア4位確定でプレーオフ進出を決めた現実が示す通り、勝負所の集中力と走力の継続性を兼備する。
開始10分の可変テンポとベンチからの声量で波を起こすのが特徴だ。ゆえにENEOSは、立ち上がりの守備強度を普段以上に高く設定し、“最初のラン”を抑制したい。
チェックポイントは3つだ。まずは、ボールプレッシャーから1stパスの出どころを制限し、相手の早打ちセレクションを“選ばせない”こと。これは、ENEOSの伝統的な強みとなるディフェンスだ。
つぎに、宮崎の“早い押し出し”を、ただの走り合いにしないこと。トヨタ紡織は走力と勢いでペースを作るが、ENEOSは宮崎の初速によって「どのレーンを使い、どの選手がどの角度で走るか」を走りながら整理できる。ウィングが相手守備を縦に引っ張り、その裏でプレッチェルがベースラインへ流れ込む形になれば、ENEOSのペースになるだろう。





















