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宮崎早織 | ユナイテッドカップ優勝杯を抱き笑顔-永塚和志撮影
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しかし、渡嘉敷や吉田といった選手たちであっても最後はチームを静かに去っている。それは契約があり、1年ごとに突如、その契約に終わりが来てしまうこともあるプロ選手の宿命のようなものだ。だが宮崎は、眩しい脚光を一新に浴びる形でENEOSと現役生活に別れを告げることができた。

ENEOS入団当時の宮崎早織-永塚和志撮影

2016−17シーズンの宮崎早織-永塚和志撮影

勝者の矜持──宮崎を最後まで“前線”に置いた理由

決勝戦の宮崎早織は、ほぼ34分間もの間コートに立っていた。勝負のかかる第4クオーターは出ずっぱりだった。馬瓜は宮崎に「花を持たせて引退してもらうことが、チームのモチベーションとしてはそれだけだった」と話したが、ルイスHCは宮崎への餞(はなむけ)のために彼女をコートに置き続けたわけではないと述べた。

「彼女は勝者であり競争者です。彼女は戦士です」

そう話していくうちに、2023-24からENEOSの指揮を執るルイスHCは徐々に感極まっていった。それでもなんとか、言葉を続けた。

「彼女のような選手は『前線』に置いておきたいものです。残念だと思うのは、彼女とは3年間しか一緒にやれなかったことです」

大会のMVPとベスト5に選出された宮崎が笑顔の最後を飾った一方で、プロスポーツの残酷さもユナイテッドカップファイナルラウンドの会場だった横浜武道館に漂った。

宮崎早織はユナイテッドカップMVPに輝いた

MVPに輝いた宮崎-永塚和志撮影

繰り返される“2位”──デンソーの苦悩と高田真希の言葉

デンソーは再び「2位」に終わった。決勝戦後の表彰式。髙田真希はこれまでの準優勝時と同様、ベンチで表情を替えずにまっすぐに前を見た。物事に対して確固たる考え方の持ち主である36歳。優勝などの結果は踏むべき「過程」に対して得られるものだと話してきた。

だが一方で、「結果を追い求めなければ報われない」「(チームには)優勝しないと(皇后杯とユナイテッドカップの)2つを負けた意味がないから絶対に優勝しようというのは伝えた」との思いも吐露した。そのもの言いは、いつもと変わらず落ち着き払ったものだった。だが、結果を求めなければという彼女の言葉には、いくばくかの感情のうごめきが内在していたようにも感じられた。

髙田はこうも語った。同じ2位でもやりきれなかった上でのそれと、やりきった上でのそれでは違うと。デンソーはこれまでリーグのプレーオフや皇后杯で幾度も決勝戦に歩みを進めながら敗退を繰り返してきたが、今シーズンのポストシーズンで「1位」は穫れるか。

ゴール下でリバウンドを狙う高田真希(デンソー)

ゴール下での攻防で身体を張る髙田(デンソー)-永塚和志撮影

シャンソンの涙──“成仏”を託した大会で散った想い

ユナイテッドカップの大会の意義が確立されていないことには触れた。その中でENEOS同様、個の大会に意気込み高く臨んでいたもう1つのチームがシャンソンVマジックだった。

ENEOSもシャンソンも、Wリーグのレギュラーシーズンで上位4チームに入ることを逃し、プレーオフに進出することができなかった。つまりは、ユナイテッドカップが両チームにとって今シーズン最後の戦いだった。

死闘の末に散った連覇への望み

準決勝のシャンソンとデンソーの試合は、最後の30秒を切っての展開が凄かった。4度リードが代わるという、まさに息の詰まる展開となった。その結果、ブザーが鳴り、涙をのんだのは初代のユナイテッドカップ優勝者だったシャンソンだった。残り約1秒、赤穂ひまわりの逆転のシュートが決まってデンソーが勝った。シャンソンの連覇の目標は潰えた。

「ユナイテッドカップで優勝するという気持ちが……プレーオフがなくなった時点で、そこでしか『成仏』できないと思っていたので」

チームトップタイの17得点を挙げたシューティングガードの白崎みなみ。試合中の奮闘の中でどのような気持ちでプレーをしていたのか問われ、そう応えた。彼女もまた、言葉を口にするたびに悔しさが込み上げ、涙を抑えられなくなっていた。

横に座った佐藤由璃果も、白崎につられて目を紅くした。プレーオフがない中、この大会で最後までコートに立っていたかったと語った。

「自分が(2021-22に)シャンソンに入って、本当にありがたいことに4シーズンずっと(プレーオフで)ベスト4に入れていたんですけど、今年はそれが叶わず、本当にどう言ったらいいかわからないんですけど、悔しい気持ちしかなくて……」

■記者プロフィール
永塚 和志
フリーランススポーツライター。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、FIBA W杯や米NCAAトーナメントを取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

「X」アカウント https://x.com/kaznagatsuka
アクセス
横浜武道館
  • 東海道新幹線 新横浜駅 - 横浜地下鉄ブルーライン(20分)- 伊勢佐木長者町駅 - 徒歩9分
Journal-ONE記者の永塚和志氏
取材・文:
永塚 和志( 日本 )
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