挑戦者が挑戦者とぶつかる運命のファイナル
Wリーグのファイナルは、例年以上に「物語」をはらんだシリーズになった。Wリーグという舞台が、選手やチームが積み重ねてきた時間と感情を如実に映し出している。
女子バスケットボール・Wリーグの頂点を決める「京王電鉄 presents Wリーグプレーオフ 2025-26 ファイナル」が4月4日から、京王アリーナTOKYO(東京都調布市)で始まる。
今年は、3年連続でこの舞台に立つデンソー アイリスと、3年ぶりの決勝シリーズ進出となったトヨタ自動車アンテロープスの顔合わせとなった。
両チームとも最終3戦目までもつれたプレーオフセミファイナルを制し、駒を進めた。結果的には、レギュラーシーズンの上位2チーム(トヨタ自動車が23勝5敗で1位、デンソーが18勝10敗で2位)による、Wリーグの現在地を示す対決となった。

昨シーズンもWリーグファイナルに進んだデンソー・髙田真希-永塚和志撮影
挑戦者として再び頂点を目指す両チーム
どのチームにも積み重ねてきたものがある。背景がある。トヨタ自動車にもデンソーにも、それぞれ優勝を渇望する物語がある。
トヨタ自動車の場合には、かつて誇った強さを優勝という形で取り戻したいという思いがあるはずだ。同チームは2020-21からの2連覇を含めて3年連続でファイナル進出を果たしたが、エブリン(現ENEOSサンフラワーズ)とステファニー(現スペイン・Movistar Estudiantes)の馬瓜姉妹など主力選手が移籍をしたことなどで戦力が下がり、成績を落とした。昨シーズンは13勝15敗に終わり、ポストシーズンへ進出すら逃している。
Wリーグの歴史を振り返ったとき、デンソー アイリスの存在は常に上位にあった。近年の成績では安定して上位の数字を挙げてはきたものの、頂点に立つことができていない。決勝戦の常連といってもいいほどの実力を持ちながら、その舞台ではいつも賜杯を掲げる側にはなれなかった。
今シーズンの皇后杯、ユナイテッドカップでもともに準優勝。昨シーズンのファイナルでは2年連続で富士通レッドウェーブに敗れ、ベンチは悲痛な空気に覆われたのが印象的だった。
Wリーグを象徴する存在がいるとすれば、その筆頭に挙げられるのが髙田真希だ。呆然としていたわけではない。競技者として、結果と過程を切り分け、静かに前を見据えていた。

2月のユナイテッドカップ デンソー川井麻衣-永塚和志撮影
Wリーグファイナルが問う「過程」と「覚悟」
競技者である以上、当然、頂点には立ちたい。しかしトップレベルで勝ち切るためには、踏むべき過程がある。練習、努力、犠牲。髙田真希にとって優勝とは、それらが報われた先に初めて手にできる結果なのだ。
「結果もすごく大事ですけど、過程のほうがもっと大事だと思っているので。そういった部分で結果に左右されずに勝ち得を大事にして、今までやってきたことを評価して、次につなげていきたいなと思います」
昨年のWリーグファイナルで敗れた後、彼女はそう語った。

昨シーズンのWリーグファイナルに破れ涙するデンソー・木村亜美-永塚和志撮影
象徴としての髙田真希、そして挑戦者同士の舞台
ファイナル最大の注目点は、チーム名ではなく、髙田真希その人だ。3度のリーグMVP。東京オリンピック銀メダル。それでもWリーグの「金メダル」だけが彼女の手元にはない。17年目、36歳。引退も意識するキャリアの終盤で訪れた、またとない機会だ。
立ちはだかるトヨタ自動車もまた、手ごわい。今季1位の戦績が示すように完成度は高い。大神雄子ヘッドコーチの下、チームは徹底したディフェンスを武器にして平均失点を大きく改善した。Wリーグで最も完成度の高い守備組織と言って差し支えない。
シーズンとポストシーズンは別物だとよく言われるが、このトヨタ自動車は受け身にならない。セミファイナル第3戦、大差の展開でも控え選手が全力で守り続ける姿は、チーム全体の意志を象徴していた。
そしてデンソーもまた、執念を見せた。同じく最終第3戦、川井麻衣の逆転シュートがチームを救った。
今年のファイナルは、いわば挑戦者と挑戦者の対決だ。Wリーグというリーグの現在地、その緊張感と成熟が凝縮されたシリーズになる。
ファイナルは3戦先勝方式。最初の2戦は4、5日、3戦目以降は11日から再開される。

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