女子ソフトボールの金字塔・通算200本安打
女子ソフトボールの日本国内トップリーグ”JD.LEAGUE(以下、JDリーグ)”の2025シーズンの前半戦が終了した。大型補強や選手のレベルアップなどで4年目を迎えたJDリーグは開幕戦から大混戦を極め、各節各地で熱戦が繰り広げられた。
とりわけ、競合ひしめく東地区に所属する “戸田中央メディックス埼玉” では、Solid player(ソリッド・プレーヤー)である鈴木鮎美内野手が2025年4月27日に「通算200本安打」を達成。その勢いもあり、チームは開幕9連勝を含む16勝2敗の好成績で首位をひた走りシーズンを折り返すこととなった。
同じボールゲームである野球では‟通算2,000本安打”という数字を挙げ、選手の功績を称えるニュースの見出しが時折紙面を賑わせる。一方、女子ソフトボール界の金字塔である“通算200本安打”については、あまり耳にしたことのない数字ではないだろうか。

通算200本安打を達成した鈴木 鮎美選手ーJournal-ONE撮影
野球の通算2,000本安打といえば
例えば、NPB(日本プロ野球)ではこれまで、56名の選手が通算2,000本安打を達成している。去る2025年6月3日に逝去された長嶋茂雄さんは、歴代9位の通算安打数2,471本を誇るスラッガー。1971年9月11日、長嶋さんが2,000本安打を達成したのは、出場試合数1,708試合目、7,787打席、6,799打数を重ねての達成だった。
またMLB(米大リーグ)では、主にシアトル・マリナーズで活躍したイチローさんが2009年9月6日に通算2,000本安打に到達した。この時点でイチローさんが要した試合数は1,402試合目、7,067打席、6,697打数を重ねて日本人初となる金字塔を打ち立てた。
NPB143試合、MLB162試合と年間試合数に差があるが、通算2,000本安打に到達するのに要した年数で見ると長嶋さんは14年、イチローさんは10年と10年以上トップ選手として活躍しなければ達成できない数字であることが分かる。
さらに、1試合当たりに放った安打数で見れば、長嶋さんは1.17本、イチローさん1.43本と毎試合必ず安打を打ち続けてたどり着ける数字なのだ。
試合数の少ないJDリーグで換算すると
今シーズン4年目を迎えたJDリーグの年間試合数は29試合。NPBやMLBのそれと比べると約1/5程度と極めて少ない。ましてや、JDリーグの前身である日本リーグ1部ではさらに少ない22試合(2020年はコロナ禍で11試合)で年間シーズンを戦っていた。
また、9イニング制の野球と比べ、7イニング制となるソフトボールは巡ってくる打席機会も少ない。NPB、MLBの規定打席数3.1に対して、JDリーグの規定打席数2.1というところからも、野球界における通算2,000本安打と女子ソフトボール界における通算200本はほぼ同じ難易度、そして価値のある金字塔と言えるだろう。
鈴木 鮎美選手スペシャルインタビュー

鈴木選手の独占インタビューを実施!-JDリーグ撮影
今回、Journal-ONE編集部は、入団15年目にしてこの輝かしい金字塔を打ち立てた戸田中央メディックス埼玉の鈴木鮎美選手の独占インタビューに成功。JDリーグ2025シーズンの前半戦を終えた現在、その功績を振り返っていただくと共に、ソフトボールを楽しむ子供たちへのアドバイスも聞くことができた。
- 節目となる通算200本安打を達成しましたが、率直な感想を教えて下さい。
鈴木)もう200本も打ったんだぁ、長くソフトボールを続けて来たんだなぁというのが率直な感想ですね(笑)。トヨタ自動車に入団した当時、チームは本当に強くて素晴らしいベテランの選手が多く所属していました。高卒で入った私には到底及ばないレベルの選手ばかりでしたので、本当にやっていけるのかな?付いていけるのかな?と思いながらも必死に練習をしていました。ですからトップリーグに入った当時は、200本安打を打つ日が来るとは想像も出来ませんでしたね。
- とは言え、達成した後の反響は大きかったのではないですか?
鈴木)そうですね。チームメイトや関係者の方からもたくさんお祝いの声をいただき嬉しかったです。中でも、三歳上の姉(トヨタ自動車でプレーした美加さん)からお祝いの言葉をもらった時は改めて200安打を達成した実感が湧きましたし、これからも頑張ろうと思いましたね。

