躍進という点では、昨年12秒台突入を果たした”中島ひとみ”の名前を挙げておきたい。4月の織田記念の予選・決勝で12秒97、12秒93と自己記録を連発すると、セイコーゴールデングランプリでは日本歴代3位に浮上する12秒85まで記録を縮めてきた。

高いレベルで安定した結果を残している女子100mハードルの田中。アジア選手権では銀メダルを獲得-児玉育美撮影
また、2023年に12秒96をマークして12秒台ハードラーとなったベテランの”清山ちさ”とも、今季は織田記念で12秒94、セイコーゴールデングランプリで12秒89と記録を更新してきている。
昨年12秒69の日本記録を樹立している”福部真子”は大病からの復帰に、やや時間を要している状況。また、日本女子ハードル界に「12秒台の扉」を開いた”寺田明日香”は、トップ選手としての競技活動は今季限りを公言してシーズンに挑んでいるが、6月の布勢スプリントでは、追い風参考(+3.0)ながら12秒85をマークして清山、田中らを抑え優勝。
その様子に衰えは全く感じられない。学生では、今季、急速に力をつけてきた”島野真生”(13秒02)が著しい躍進を見せている。日本選手権では決勝進出をかけた準決勝から見逃せない戦いとなりそうだ。
400mのフロレス&松本、大ブレイクを予感させる好走
このほかにも、さまざまな種目で、飛躍を予感させる活躍を見せている選手は出てきている。まずは、本サイトにおいてゴールデンウイークの展望企画でご紹介した女子400mの”フロエス・アリエ”と”松本奈菜子”。

女子400mで日本記録を上回る51秒71の学生新記録を樹立したフロレス-児玉育美撮影
5月3日の静岡国際には同県出身の2人が顔を揃え、フロレスが2008年のこの大会で丹野麻美が樹立した51秒75の日本記録を上回る51秒71の学生新記録を樹立。また、松本も日本歴代2位となる52秒14の自己新記録をマークしたのだ。
フロレスは現在、日本国籍の帰化申請中で、このため今大会のパフォーマンスは日本記録にはならないが、日本選手権までには取得できる予定で、日本選手権での日本記録更新に強い意欲を見せている。
一方の松本も、静岡国際ではフロレスの後塵を拝する形となったが、アジア選手権では予選を全体トップタイムとなる52秒24で通過すると、決勝ではホームストレートに入るところで1つ外側のレーンを走っていた選手が間違えて、松本のレーンに入ってくるアクシデントが起きたなか、冷静な対処で抜き去り、自己記録に迫る52秒17で金メダルを獲得。「自分のやりたいレースができて、きちんと勝ちきれた」と充実の笑顔を見せた。

女子400mでは松本も今季絶好調。アジア選手権では今大会日本女子唯一の金メダリストとなった‐児玉育美撮影
17歳の久保は、初代表のアジア選手権800mで銀メダル
アジア選手権女子800mには昨年、日本人女子初の2分切りとなる1分59秒93の日本記録を16歳で樹立している高校生の”久保凜”が、シニアの大会では初めて日本代表に選出され、アジアナンバーワンの座に挑んだ。
久保はともに出場した”塩見綾乃”とともに序盤から積極的なレースなレースを展開。ホームストレートで中国選手にかわされ優勝は叶わなかったが、静岡国際で出した2分00秒28に続く、サードベストの2分00秒42をマークして、堂々の銀メダルを獲得。アジア選手権の成績が加算されて、ワールドランキングでの世界陸上出場が見える状況となってきた。
高校3年生の久保は最後のインターハイに向けて、6月には激戦区の近畿地区大会を戦いながら日本選手権に挑んでいく。自身が掲げているのは、1分59秒00の参加標準記録を突破しての世界陸上に出場すること。「インターハイも、日本選手権もがんばりたい」と力強い言葉を聞かせてくれた。

高校3年生となった800mの久保は、春から2分00秒台を連発と好調を維持。初のシニア日本代表となったアジア選手権では銀メダルを手にした-児玉育美撮影
世界女王・北口榛花はダイヤモンドリーグ10勝目
最後に日本が誇る世界女王、女子やり投の”北口榛花”の近況をご報告しておこう。本サイトでは、すでにセイコーゴールデングランプリのレポートでもご紹介したように、今季は、5月3日に中国で開催されたダイヤモンドリーグ第2戦(上海/柯橋大会)に出場し、4位(60m88)でシーズンイン。

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