女子ソフトボールの金字塔・通算200本安打と通算50本塁打
女子ソフトボールの日本国内トップリーグ”JD.LEAGUE(以下、JDリーグ)”の2025シーズンの前半戦が終了した。勢力図が大きく変わったJDリーグ4シーズン目は、開幕前の予想を上回る混戦となり、各節各地で熱戦が繰り広げられた。
そんな中、競合ひしめく東地区で一躍優勝候補に躍り出ていた“戸田中央メディックス埼玉”が、開幕9連勝を含む16勝2敗の好成績で堅調に首位をキープ。その中で、4番打者の坂本 結愛選手が5月18日に女子ソフトボール選手の金字塔となる“通算200安打”を達成すると、6月1日にも“通算50本塁打”を達成。戸田中央メディックス埼玉の躍進に大きく貢献した。
女子ソフトボール界の金字塔である“通算200本安打”と“通算50本塁打”だが、読者の皆さんにとってはあまり馴染みのある数字ではないと思われる。同じボールゲームである野球の“通算2,000本安打”と“通算本塁打数”を用いて、その偉業を紐解いてみよう。

通算200本安打&50本塁打を達成した坂本 結愛選手-Journal-ONE撮影
野球の通算2,000本安打と通算本塁打数
例えばNPB(日本プロ野球)。去る2025年6月3日に逝去された長嶋茂雄さんは、歴代9位の通算安打数2,471本を放っているが、通算2,000本安打を放ったのは1971年9月11日。入団14年目の出場1,708試合目、7,787打席、6,799打数を重ねての達成だった。
MLB(米大リーグ)では、主にシアトル・マリナーズで活躍したイチローさんが2009年9月6日に通算2,000本安打に到達したのは、MLB10年目。出場1,402試合目、7,067打席、6,697打数を重ねて日本人初となる金字塔を打ち立てた。
また、通算本塁打数となれば、NPBでダントツの868本塁打を放っている王貞治さん(巨人)の数字がメジャーだ。2,831試合、9,250打数で達成したこの偉業は、3.26試合に1本、10.66打数に1本打っている計算となる。王貞治さんは通算2,786本の安打も放っているため、ヒット3.2本に1本の割合で本塁打という量産ぶりだ。200安打で50本塁打、ヒット4本に1本の割合で本塁打を量産している坂本結愛選手もJDリーグ屈指のホームランアーチストだと言えよう。
試合数の少ないJDリーグで換算すると
NPB143試合、MLB162試合と野球は毎年150試合前後の公式戦を消化するが、JDリーグの年間試合数は29試合。NPBやMLBのそれと比べると約1/5程度と極めて少ない。ましてや、2021年までは日本リーグ1部(JDリーグの前身)がさらに少ない22試合(2020年はコロナ禍で11試合)でシーズンを戦っていた。
通算2,000本安打に到達するのに要した年数で見ると長嶋さんは14年、イチローさんは10年と10年以上トップ選手として活躍しなければ達成できない数字であることが分かる。坂本結愛選手は入団11年目の今年、通算200安打に到達している。
また、9イニング制の野球と比べ、7イニング制となるソフトボールは巡ってくる打席機会も少ない。NPB、MLBの規定打席数3.1に対して、JDリーグの規定打席数2.1というところからも、野球界における通算2,000本安打と女子ソフトボール界における通算200本はほぼ同じ難易度、そして価値のある金字塔と言えるだろう。
坂本 結愛選手スペシャルインタビュー

坂本 結愛選手(左)と肩を組む山口 みどり選手(右)-JDリーグ提供
今回、Journal-ONE編集部は、通算200安打・通算50本塁打と二つの金字塔を打ち立てた戸田中央メディックス埼玉の坂本結愛選手の独占インタビューに成功。JDリーグ2025シーズンの前半戦を終えた現在、その功績を振り返りながら坂本選手の活躍の秘訣に迫った。
- 節目となる二つの記録が掛かった今シーズン、どのような心境でシーズンを迎えたのでしょうか?
坂本)私は全く記録を気にしないタイプなので、記録が掛かっていることを知らずにシーズンに入りました(笑)。シーズンに入ってから気付いたのですが、(鈴木)鮎美さんが200安打を達成するまで自分の記録は全く気にしていなかったんです。
- 実際に達成間近になったときの心境は変わりましたか?
坂本)自分としては意識をしていないつもりでしたが、特に50本塁打までは時間が掛かりましたね(笑)。なかなか本塁打を打つイメージが湧かなかった中、NEC戦(5月18日のNECプラットフォームズレッドファルコンズ戦)でライト前にポテンヒットを打ったときに右方向への良い感覚が掴めてきたので、無事に達成することができました(ライト方向へ通算50本目の本塁打を打ち込んだ)。

