JDリーグを彩る絶好のスポーツ日和と球場の情景
センター後方にあるビジョンはさすがプロ野球球団が使用する球場のものだけあって巨大で、その上には4本の旗が揺れていた。風は間違いなくあったが、旗は気持ちよくたなびいていた。綿菓子のような白い雲がいくつか浮かんでいるだけで、それ以外には青い空が広がっていた。
絶好の、という形容詞を付しても問題のないスポーツ日和だった。

ジャイアンツタウンスタジアム全景-永瀬和志撮影
ダイヤモンドシリーズ開催の意義
11月15日からの2日間。東京都稲城市のジャイアンツタウンスタジアムで、国内ソフトボールの最高峰・JDリーグの頂点を争う4強によるプレーオフ「ダイヤモンドシリーズ」が開催された。
JDリーグ準決勝初日の様子と来場者の熱気
初日には準決勝の2試合が行われた。1試合目は午前10時半からと早い時間の開始ではあったものの、フィールドにもスタンドの多くの部分にも陽光がふんだんに降り注がれていた。スタンドにはビールの売り子の姿が認められ、コンコースの飲食店ではソフトクリームが販売されていたが、どちらもよく売れている様子だった。
客席はそれぞれのチームの応援に訪れた観客で埋まった。プロ野球・読売ジャイアンツの2軍の本拠として今年3月の開場した同球場は、およそ2900人を動員できるそうだ。この準決勝の2試合では2千人前後のファンがいたのではなかろうか。JDリーグは所属する16のチームのほぼすべてが企業が所有(ダイヤモンドシリーズにも進出した戸田中央メディックスは戸田中央総合病院のチームだ)しており、他の多くの実業団リーグで見られる光景と同様に来場者の大半は社員や家族、知人といった関係者であるようだった。
敗れればその時点でシーズン敗退となるプレーオフである。先述したように好天だったこともあってか、チームのユニフォームなどを身につけ、タオルを振りかざしていた彼らファンの応援も熱を帯びていた。

スタンドから声援を送るグッズを身に着けたファン‐永瀬和志撮影
JDリーグの特別な舞台|戸田中央・後藤希友が語る
「1年を通して、こんなすばらしいグラウンドでプレーをさせていただけたのも今回が初めでですし、こうやってプロ野球選手が使っているようなきれいなグラウンドを私たちが使わせていただけるというのも本当にありがたいことだなと感じました。
景色がすっごくきれいだったので、試合をしながら楽しんでいたというのもおかしいですけど、360度を見渡しながらたくさんの人やきれいな景色をみながら、すごく気持ちよくピッチングをすることができたので、またこのスタジアムを使わせていただきたいなと思います」
こう話したのは今季、戸田中央に移籍した投手・後藤希友だ。発言は10時半からの第1試合でビックカメラ高崎 ビークイーンに0-1で敗れた後のものだった。敗退した悔しさをにじませつつ左腕は、特別な舞台でマウンドに立った喜びを張りのある声に乗せて表した。

ジャイアンツタウンスタジアムで力投する後藤-Journal-ONE撮影
JDリーグ準決勝①|戸田中央 vs ビックカメラの投手戦
日本代表投手・上野由岐子と後藤希友の緊張感
戸田中央とビックカメラの試合は、見る者も緊張を強いられるロースコアの投手戦となった。と、一文で記すだけではどこか足りない。1点差の試合の中に潮の満ち引きのある攻防があった。
その中心にいたのが、ビックカメラの上野由岐子と戸田中央の後藤という、2人の日本代表選手だった。1回表。戸田が相手を3者連続三振に切ってとると、その裏には上野も同様に3者連続三振で対抗してみせる。現役選手にしてすでに日本ソフトボール界の伝説となっている上野は「彼女が3三振で終わったので『くっそー』と思ったので(私も)3三振で仕返しできたのが嬉しかった」と振り返れば、後藤は自身の3奪三振で「チームに火が付くかなと思っていたらその裏に同じことをされてこれは長期戦」になると感じたと語った。
上野は「私が対戦するのはバッターたちなので」と、後藤と直接的に対決をしているわけではないとしつつも、過去にはMVPや最優秀防御率賞に輝いている後藤よりも先に失点するわけにいかないという気持ちで投げていたようにも見えた。それは得点圏に走者を置いた場面で、ピッチクロックがある中でも入念かつ最新の注意を払いながらサインを交換するあたりにも見て取れた。

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