「プロ野球のチームが使用する球場でプレーできることはすばらしい機会です」と話したファライモは「いつかソフトボールでもこうして自分たちの球場を持つことが私の夢なんです」と思いを吐露していた。試合を、あるいは大会を興行だと捉えた時に、その劇場たるスタジアムやアリーナが特別な世界観を観客もたらすものでなければならないという思いが、そこにはあるだろうか。
それに、JDリーグやソフトボールという競技をより広めていく、マイナーなものから脱却させたいのであれば、これらを知らない人たちに知ってもらうための魅力がなければそれもおぼつかない。ファライモのいうようなソフトボール専用球場の建設は容易ではないにせよ、今回のジャイアンツタウンスタジアムのような非日常感をもたらすような場所で試合を行うことは大事だ。

準決勝、決勝を一人で投げ抜いたファライモ‐Journal-ONE撮影
JDリーグの課題感|メディア露出と発信の難しさ
JDリーグの髙城いづみ会長が、昨年の秋に西日本スポーツ電子版でインタビューに応じていた。
そこでは、同氏がリーグが「もう少し世の中に認められてもいいのかな」「なかなかメディアに取り上げてもらえない」といった課題感以上の危機感を示していた。
こちらも簡単ではないものの、オリンピックの金メダルを取るなど競技力は世界的にも高いのだからと座して待っていても、メディアはいつまでも集まってこないだろう(メディア露出が少なければ、ひいてはリーグの活動原資につながるスポンサー集めにも影響するだろう)。このあたりの悩みは他の実業団、社会人リーグの多くが抱えるもののように感じられる。現代のデジタルの時代においてプロ、セミプロのリーグやチームがソーシャルメディア(SNS)やYouTubeチャンネルでの発信に力を入れる。
だが、より多くのメディアに取材に来てもらうという点において、それでは十全ではないように思える。おそらくは、多くのメディアもソフトボールやJDリーグの魅力を理解はしていない。では彼らがSNSの発信でそれらに気づくかといえば、効果は大きくないように感じる。これらのことは、日本の多くのスポーツリーグが抱える課題ではなかろうか。

ファンが訪れ、楽しむ要素は充分にあるはず‐Journal-ONE撮影
優勝決定戦|トヨタがビックカメラを破り3連覇(JDリーグ)
16日の優勝決定戦では、トヨタがビックカメラを4-2で破って3連覇を果たした。アメリカの名門大学・UCLA出身で叔父に元NFLのスーパースタークォーターバック(7度のスーパーボウル制覇)だったトム・ブレイディ氏を叔父に持つマヤ・ブレイディは今季、来日したアメリカ人だ。
彼女は負ければ敗退の舞台においてもチームメートたちが「自分の持つ力以上のことをしようとするのではなく、やってきたことを出すだけ」だということを知っている落ち着きぶりに感嘆していた。
頂点に立った者には後ろから追われる苦しさもあれば、成功体験と自信を胸にしまっておくことができる。トヨタは後者の利点を生かしたということになる。
JDリーグの4年目のシーズンが幕を下ろした。3年後にはソフトボールの採用が決定しているロサンゼルスオリンピックがある。しかし、同大会での日本代表の成否とは関わりなく、日本のソフトボールが同リーグを通していかに認知度を高めていくかのほうがよほど気がかりだ。

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