昨季、日本代表エース・後藤希有投手の移籍公示がリーグ全体を揺らした。その結果、リーグの戦力図は大きく変わった2025シーズン。その記憶が鮮明なまま、今年もまたストーブリーグが熱気を帯びる時期となった。
各チームの主力が新天地を求める“動く冬”。12月3日に発表された「2025年度 支配下登録選手抹消に関する公示」は、移籍希望の明示とともに、来季の勢力図を左右する大物の名前を並べ、オフの主役が誰であるかをはっきりと示した。

2024目玉移籍となった後藤投手(当時・トヨタ)-Journal-ONE撮影
ストーブリーグの焦点|エース級投手の去就
まずフォード──ホンダの大黒柱が動く意味
筆頭に挙げたいのが、ホンダリヴェルタのジェイリン・フォード投手だ。東地区で大車輪の活躍を見せたフォード投手。速球と変化球のコンビネーションでゲームの主導権を握る能力に長ける。
連投でもボールの勢いが衰えない抜群のスタミナ。これは、シーズン通して安定したイニング消化が見込める能力だ。どの球団にとっても「ローテの基点」として計算が立つ。

フォード投手(ホンダ)の去就が目玉となる‐Journal-ONE撮影
次に濱村──技巧派の安定感は短期決戦でも効く
一方で、ビックカメラ高崎ビークイーンの濱村ゆかり投手にも注目が集まる。今季こそケガで出場機会を逃したが、コントロールと球質で勝負する技巧派の代表格。
勝負どころで四球を許さない制球力。加えて、守備との連動で効率的にアウトを重ねる投球術。これらは、短期決戦でも大きな価値を持つ。
どのチームに移籍するかで、来季の勢力図は一変するだろう。

濱村投手(ビック)が怪我から復帰すれば大きな戦力だ‐Journal-ONE撮影
その他の投手市場──戸田中央・日本精工
他にも日本人投手では、日立サンディーバの田内愛絵里投手の去就に注目したい。二刀流としても知られる田内投手。その経験値からも若手の見本として再建を図るチームにはもってこいだ。
実績のある外国人投手の去就も忘れてはならない。昨シーズン東地区の投手タイトルを席巻したジョージナ・コリック投手(戸田中央メディックス埼玉)が移籍する。さらに、日本で実績のあるカーリー・フーバー投手(日本精工ブレイブベアリーズ)も興味深い。
外国人枠の活用も、各球団の補強設計に直結する。外国人投手は適応が鍵だが、この二人には既にリーグの打者を知る“内情理解”がある。よって、新天地でも初年度からの即戦力化を後押しするだろう。
ストーブリーグで注目の打者移籍
打線の話題に目を移してみよう。先ずは、大垣ミナモの岩月優衣捕手と、NECプラットフォームズレッドファルコンズの清原奈侑捕手。打って守れる捕手陣の名前が挙がった。

精神的支柱の清原選手もチームを離れる‐Journal-ONE撮影
さらに、豊田自動織機シャイニングベガの佐藤友香選手、タカギ北九州ウォーターウェーブの樋口菜美選手。すなわち、外野陣の動向も極めて重要だ。
いずれも中軸の役割を担ってきた強打者。それゆえ、補強を狙う球団にとっては喉から手が出るほど欲しい存在だ。岩月は長打とミートのバランスに優れ、清原は選球眼と出塁能力に強みを持つ。
佐藤選手の勝負強さはチームをプレーオフに導いた。また、樋口選手もここ一番での一発で試合の流れを変えてきた選手だ。

走攻守にムードメーカーとしても貴重な佐藤の存在-Journal-ONE撮影
リードオフマンの去就|試合の呼吸を変える“最初の一手”
攻撃の起点としてチームの呼吸を整えるのがリードオフマンだ。その象徴が、SGホールディングスギャラクシースターズの山本星選手、タカギ北九州の山根悠夏選手である。
加えて、戸田中央の三輪玲奈選手も目玉の一人だ。三輪選手は今年、ベストナインに輝く活躍を見せた技巧派。さらに、打席での対応力と走塁判断の的確さはリードオフマンとしての適性も充分だ。

ベストナインを獲得した三輪も新天地へ‐Journal-ONE撮影



























