合宿の成果は如何に?練習試合が始まる
整列をして両チームの挨拶が終わると、韓国代表の選手たちが元気よく守備位置へ散っていく。午前中の1試合目、韓国代表のHONG SIYEON(ホン・シヨン)投手が先発マウンドに上がった。シヨン投手は”大邱都市開発公社”所属の今年から代表入りしたメンバー。175センチを超える長身を活かし投げ込まれる球はチームで唯一100キロを超える投手だ。

豪快なフォームから繰り出されるシヨン投手の速球-Journal-ONE撮影
ダイナミックなフォームでリズムよく投げ込んでいき、先頭打者が放ったピッチャー強襲のライナーを反応良く捕球するとベンチに向かってポーズを決め、チームを鼓舞する。その後も後続を凡打に打ち取り、初回の守備を難なく切り抜けると「ナイスピッチングだ!」と久門監督からも声を掛けられた。
藤本コーチはシヨン投手の調子の良さを踏まえ、イニングの合間にシヨン投手と”大邱都市開発公社”所属でスタメンのマスクを被るJU HYOJU(ジュ・ヒョジュ)捕手の二人に「ストレートをもっと低めに投げること、変化球は多投せずに決め球にとっておくこと」とアドバイスを送った。
しかし2回の先頭打者・本間紀帆選手が少し甘く入った外角のストレートを見逃さず、センター方向に豪快なソロ本塁打を放ち1点を先制。「前日の試合で強い打球が投手に当たってしまったのです。打った瞬間、打球に角度が付いていたのでホッとしました」と振り返った本間選手がダイヤモンドを足早に駆け抜ける。

速球を仕留めた本間選手が石村監督とハイタッチで祝福ーJournal-ONE撮影
強烈な打球に韓国代表選手は驚きを隠せなかったが、ファーストを守る”慶尚南道体育会”所属のベテラン、 BAE YUKA(ベ・ユガ)選手が「打たれたのはしょうがないから、次のプレーに集中しよう!」とグラウンドで声を掛け若手選手を鼓舞していた。
しかし、打線が続くと止まらない伊予銀行はそこから2つの四球と3本の安打を放ち、シヨン投手を一気に攻めるとこの回一挙4得点。2回でマウンドを降りたシヨン投手だったが速球を活かした投球で存在感を発揮した。

日本でもプレー経験のあるユガ選手が積極的に声を掛けていく(左から2番目)‐Journal-ONE撮影
昨夏から成長した姿を見せる
3回からマウンドを任されたのはCHOE YEONJI(チェ・ヨンジ)投手。ヨンジ投手は”仁川広域市体育会”所属で昨年も代表メンバーとして来日。その際には、伊予銀行の投手陣から変化球の投げ方などピッチングを教えてもらっていた。その成果が表れているのか、ヨンジ投手の投球は昨年と大きく違っていた。

2番手でマウンドに上がったヨンジ投手が大きな成長を遂げていた-Journal-ONE撮影
立ち上がりの3回は、中前安打と四球で走者を出すと、左前適時打を浴びて2点を献上。しかし、ここからリズムを掴んだヨンジ投手は、伊予銀行打線をそれ以降完全に抑え込んだ。キレの増したストレートと、コースを丁寧に突いた変化球を組み合わせながら次々に投げ込んでいくその姿は、昨夏から大きく成長していると感じる。
実際に打席に立った伊予銀行の選手も「回転がしっかりかかっている癖のある球で、とても打ちづらいです」と話していた。そんなヨンジ投手がそれ以降許した安打はわずか1本。伊予銀行の勢いを止めたところで、攻撃陣の反撃を待った。
しかし、攻撃では伊予銀行の先発・小泉夢乃投手をなかなか打ち込むことができない。小泉投手の持ち味であるドロップボールのようにナチュラルに沈む球を打ちあぐね、内野ゴロを続ける展開となる。三者凡退が続いていく中、久門監督は「積極的にバットは振っていこう。点を取らないと試合には勝てないぞ」と選手たちに檄を飛ばし士気を高めた。

なかなか反撃の糸口を掴めない韓国選手たちに久門監督は檄を飛ばす‐Journal-ONE撮影
監督のアドバイスに若手が躍動
すると3回、先頭打者のSON YEOJIN(ソン・ヨジン)選手がチーム初安打を放ち、久門監督のアドバイスに応える。ヨジン選手は今回の代表選手で唯一、”鳩岩高校”所属の高校生。久門監督がその潜在力を高く評価していることが分かる。

