新体制で迎えた2024-25シーズン
名古屋ダイヤモンドドルフィンズが、良い。開幕からまだ日は浅いものの、ここまで6勝1敗で、B1西地区の2位につけている。
ショーン・デニス氏がヘッドコーチとなってなって5年目。名古屋ダイヤモンドドルフィンズは日本バスケットボール協会の技術委員長と務めた東野智弥氏を球団社長兼ゼネラルマネジャーに迎えるなどフロント体制が変更された形で今シーズンを迎えた。
それにより、チームは一気に層に厚みを加えた。今村佳太、アイザイア・マーフィー、加藤嵩都ら2024−25から加わった選手たちはデニスHCのバスケットボールスタイルに対しての理解と順応の度合いを深めたであろうし、全体としての土台の高さは増しているに違いない。

シュートを放つ名古屋Dのアイザイア・マーフィー‐永瀬和志撮影
一方、選手構成の変更にともないチームはより安定感を求めるスタイルへと移行している。とりわけアラン・ウィリアムズと帰化枠のカイル・リチャードソンが加入したことで、これまでビッグマンとして柱の1人を担ってきたスコット・エサトンの負担が軽減し、インサイドが大きく補強された。

リング下でパスをさばく名古屋Dのカイル・リチャードソン‐永瀬和志撮影
インサイド強化とリバウンドの成果
名古屋ダイヤモンドドルフィンズはここまで平均リバウンド数(45.4)がB1で1位となっている。また、昨季は36.3本(同16位)だった2Pのシュートの平均試投数が今季は43.0(同4位)へと増加している。このあたりがインサイドを補強したことの証左となっている。
昨季の名古屋ダイヤモンドドルフィンズは絶えず故障者が出たことが、チャンピオンシップ(CS)進出を逃した大きな要因となったが、デニスHCは3Pシュートの成功率が上がらなかったことも理由に挙げていた。
今季は3Pの平均試投数が31.2から29.6 へと減少し、2Pのそれが7本近くも増えている。10月18-19日に東急ドレッセとどろきアリーナで行われた対川崎ブレイブサンダースとの試合の際、デニスHCは陣容とプレースタイルの変更が関係していると述べている。
「よりインサイド系の選手を加えたことは、(昨季は)弱みとなっていたリバウンドでリーグ首位となっていることなどでも効果は明らかです。また、昨季の私たちは3Pシュートにやや頼りすぎていたとも感じています」(デニスHC)

好調の要因を分析するショーン・デニスHC‐永瀬和志撮影
3Pに関して、今季ここまでの名古屋ダイヤモンドドルフィンズの成功率はB1で22位の29.0%と良くない。それでも好成績を挙げられているのは、インサイドやリバウンドでもたらされている安定感によるものだとデニスHCは言う。同氏いわく、昨季は3Pの良し悪しが試合の結果に影響しすぎたということだ。
チームの中核の1人で今季は主将に任命された今村も、「適材適所ですばらしい選手が集まった」と編成面で良い選手構成ができたことを好調の理由とした。今季はアーロン・ヘンリーがファイティングイーグルス名古屋から移籍してきたことも大きい。彼やマーフィー、張本といった複数のポジションを担うことができる人材が増えたことで、さまざまな相手、状況に対応することができるようになったことは明らかな強みとなっている。

ドライブを試みる名古屋D、アーロン・ヘンリー‐永瀬和志撮影
名古屋ダイヤモンドドルフィンズは川崎との2試合を制し、これで連勝を5に伸ばした。川崎との連戦では大黒柱のエサトンは出ておらず、その他、佐藤琢磨、中東泰斗らも欠場している。川崎との試合では力量の差を見せつけた形での勝利となったが、その戦いぶりはこうした主力選手たちの不在を感じさせないほどのものだった。
川崎との初戦後、デニスHCはこのようなことを語っている。
「マネジメント(フロント体制)が変わり、彼らは勝つことがすべてだと明確にしています」
今季はU19ワールドカップ出場経験もある21歳、小澤飛悠も加わった。新人で、かつこの層の厚いチームに来たにも関わらず、小澤はここまで平均で16分近くの出場時間を獲得している。上の言葉は、故障で長期離脱中の中東や佐藤らが復帰しても小澤には相応の出番があるのかといった質問に対してのものだった。小澤が将来有望だから経験を積ませるために出場時間を与えるわけではない、というのがデニス氏の言葉の趣旨となる。

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