“満員の甲子園”が熱気を帯びた3連休最終日
菰田陽生 が負傷退場するという衝撃の展開により、3月22日のセンバツ高校野球4日目は忘れ難い一日となった。
第98回選抜高等学校野球大会の4日目は、3連休最終日。そのため、甲子園球場には早朝から多くの観客が詰めかけていた。加えて、近畿勢が登場した第1試合、第2試合がともに延長タイブレークに。この熱戦に集まった観客は大きな盛り上がりを見せた。
これにより、第3試合を前に球場全体はすでに異様な熱気に包まれていた。その高ぶる空気の中、大会屈指の優勝候補と目される山梨学院が登場した。
結果こそ接戦を制して初戦突破を果たしたが、主将でエースナンバーを背負う菰田選手が途中負傷するという“波乱の船出”となった。

大会4日目は好カードが揃った‐Journal-ONE撮影
甲子園の熱狂が肌寒さを吹き飛ばす
3月22日。桜の開花が迫るとはいえ、まだ朝夕は肌寒さが残るこの日。しかし、甲子園球場には、開門の朝8時を待ち切れずに多くの高校野球ファンが甲子園球場に集まっていた。
連休最終日という条件も重なり、家族連れや中学生、高校生のグループが目立つ。特にこの日は、地元・近畿勢の神戸国際大附属(兵庫)、近江(滋賀)が続けて登場する好カードが揃った。
加えて、ふたを開ければどちらの試合も延長タイブレークに突入する激戦に。まだ、開門前の甲子園球場周りでは、このような“総力戦の1日”になるとは思いもよらなかった。それゆえ、朝の肌寒い空気は試合を楽しみにする人たちの笑顔で満たされていた。
第3試合へと向かう午後、スタンドには山梨学院の学校関係者、卒業生、地元の応援団の姿が目立つ。爽やかな青系の「C2C Blue(シートゥーシーブルー)」の応援カラーが甲子園の一角を鮮やかに彩った。
5年連続9回目のセンバツ出場という圧倒的な経験値と実績を持つ山梨学院への期待は、自然と膨れ上がっていた。

スクールカラーで彩られた山梨学院アルプス‐Journal-ONE撮影
注目のスタメン発表で甲子園がざわめく
試合前、スターティングメンバーの発表が始まると、甲子園の空気が一変する瞬間が訪れた。
「2番、ファースト 菰田くん。ファースト 菰田くん」。
場内に甲子園球場独特のアナウンスが響くと、球場中がどよめいた。昨年のセンバツで甲子園初登板した菰田選手。そして、最速152キロを計測して一躍“全国区”に躍り出た。つづいて、夏の甲子園にも出場を果たした菰田選手。こちらは、4試合に登板し、チーム史上初のベスト4に進出する立役者となった。
加えて、“二刀流エース”としてその打棒にも注目が集まる。昨秋の明治神宮大会では、チーム事情で未経験のサードにも挑戦していた。しかし、このセンバツでは一塁でのスタメン起用。しかも「2番」。
メジャーリーグのように“最強の打者を2番に置く”戦略を高校野球で採用したのは、実に新鮮だった。攻撃的かつ実験的な菰田選手の起用方法が、観客を驚かせるには十分だった。
先に行われた第6回WBCにおいて、世界の野球に適応していく必要性を感じたファンも多かっただろう。2010年代前半からMLBで採用され始めたこの打順配置を高校野球に取り入れる。この試みに、甲子園全体がざわついた。だが、その驚きはすぐに歓声へと変わった。

菰田選手の2番起用に甲子園はどよめいた‐Journal-ONE撮影
初球を仕留めた圧巻の一発—“最強2番”の証明
1回表、1死無走者。菰田選手のバットはその存在意義をわずか数秒で示した。初球、真ん中高め、やや内寄りの変化球。
それをコンパクトに振り抜いた打球は、力強く左翼ポール際のスタンドへ吸い込まれる。何が起こったのか?甲子園がどよめきと歓喜で揺れた。
そんな甲子園の反応を噛みしめるかのように、一塁を蹴った菰田選手は、右拳を力強く掲げながらダイヤモンドを一周。さして大きく喜びを表現することなく、“主将がチームを引っ張る”象徴的なアーチを放って見せた。
菰田選手の一発で勢いに乗った山梨学院は、その後も打線が爆発する。

菰田選手は初球を振り抜き本塁打を放つ‐Journal-ONE撮影



















