早稲田実業 が迎える春は、例年以上に熱を帯びている。
埼玉・熊谷の春の風物詩、『第27回全国高校選抜ラグビー大会』。いよいよ3月25日(水)から31日(火)にかけて、『埼玉・熊谷スポーツ文化公園熊谷ラグビー場』を中心に行われる。
全国9ブロックの新人戦を勝ち抜いた代表と、開催県枠1校。加えて、実行委員会推薦枠の2校の計32校が出場し、春の高校ラグビー日本一を目指す。
東京都新人大会覇者、関東3位の早稲田実業
強豪校を次々と打ち破り、見事に5大会ぶり3度目の出場を果たしたのが、創部103年目を迎える『早実』こと、早稲田実業ラグビー部(東京)だ。もちろん、ジャージーは早稲田大学ラグビー蹴球部と同じ『赤黒』(アカクロ)だ。
早稲田実業は昨年末の『花園』こと、全国高校ラグビー大会にも出場(2大会ぶり9回目)。1回戦で前回大会ベスト8の石見智翠館(島根)を39-14で下すと、2回戦では全国屈指の強豪・東福岡(福岡第1)に挑んだ。その結果、24-38で敗れたものの善戦を見せた。
新チームになって3年生8人が抜けた早稲田実業。しかし、その後も13人の2年生は花園を経験した選手が多い。その勢いは新チームになっても続いていた。
東京都新人大会の準々決勝では、國學院久我山に47-19で快勝。さらに、決勝では目黒学院に22-21で勝利。花園での優勝経験がある全国的な強豪2校を下した早稲田実業。その勢いで創部史上初めて、東京都新人大会の王者に輝いた。
続く、関東新人大会では1回戦で、昨年度の選抜と花園でともにベスト8だった東海大相模(神奈川)に21-17で勝利し、ラグビーファンを驚かせた。さらに準々決勝で山梨学院(山梨)に26-21に競り勝ち、ベスト4に進出。準決勝で國學院栃木(栃木)に12-29で敗れたが、早稲田実業は初めて関東新人で3位タイに入賞した。

3位となり賞状を受け取る村山キャプテン‐斉藤健仁撮影
昨シーズンからの継続を強みに勝ち進む
早稲田実業を指導し、4月で14年目になるという大谷寛HC(ヘッドコーチ/47歳)。その要因を「花園の延長線上という感じ。半数以上が下級生だったので、昨年度のキャプテン河村和樹のチームが積み上げてくれたものを引き継いで、そのプロセスを継続した結果。」と説明した。
特に2月、関東新人大会の1回戦・東海大相模戦は大谷監督が仕事で不在だった。それでも、一丸となって勝利した試合は、新チームにとって大きな自信となった。
キャプテンに就いたHO(フッカー)村山康剛(2年)は、「花園から新人大会まで時間がなく、あまり練習ができない中、昨年やってきたことが多く残っていた。それが他のチームに比べて出せた。プランとしてはキックを蹴って、みんなで揃えてチェイスするという本当にシンプルなものだった。それでも、それをやり切ることにこだわり、その遂行力は評価できる。」と胸を張った。

この4月で指導して14年目を迎える大谷HCは早実、早大OB‐斉藤健仁撮影
早稲田実業は28名の少数精鋭で選抜大会へ挑む
強豪の中には、1・2年で60人を超える部員がいる学校も多い。しかし、早稲田実業の選手数は28人(2年生13人、1年生15人、ほかにマネージャー3人、アナリスト1人)だ。関東新人大会に出場した強豪チームの中では唯一、大会の登録人数である30名を満たしていなかった。
早稲田実業の卒業生のほとんどは、3年間の平常点や3年次の学力試験などが総合的に評価され、その結果、早稲田大学に推薦されて入学できる。そのため、早稲田実業の一般入試は4倍以上の倍率と狭き門。もちろん推薦入試もあるが、これはラグビーに特化したものではない。硬式野球やサッカー、テニスなど全国大会出場歴のある強豪部や文化部希望の中学生と枠を争う。その倍率は2倍以上あり、決して簡単ではない。
そのためラグビー部員は毎年さほど多くなく、15人対15人の試合形式の練習ができないなど不利な点もある。しかし、副将でBK(バックス)の主力選手CTB(センター)中山大翔(2年)は「部員数が少ない分、お互いに意見を言いやすい。加えて、練習1回、1回に選手が入れる回数が多くなる。」と利点もあるという。
現在、早稲田実業ラグビー部は推薦入試組が12人と部員の半数以下。そのため、内部進学者や一般入試で合格した生徒が一緒にプレーしている。他の部活動は、試験の1週間前から部活動を休止する。しかし、ラグビー部は大会によっては、その期間でも活動をしながら文武両道を貫いている。

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