髙田真希が示した、勝者に必要なすべて
髙田真希が積み重ねてきた18年のキャリア、その集大成とも言えるプレーが、Wリーグファイナルという最高の舞台で結実した。
優勝トロフィーが頭をかすめる最終、第4クォーター、残り7分半。デンソー アイリスは、徐々に対戦相手のトヨタ自動車アンテロープスを引き離しつつあった。その時、髙田真希がゴール正面から3Pシュートを決め、49-58と点差を9点差に広げた。
瞬間、試合中に表情を大きく変えることのない36歳の主柱は、右手に握りこぶしを作って吠えた。このシリーズで重要なプレーを決めた時に何度か声を出して気合を入れたが、この時の咆哮は間違いなく一番、力強いものだった。

髙田真希は表彰台中央で大きくカップを掲げた‐永塚和志撮影
4度の敗退を越えて──デンソーが掴んだ初優勝
4月4日に開幕した女子バスケットボールリーグ・Wリーグファイナルは同12日、デンソーの優勝で幕を下ろした。今年まで4度、この舞台に立ちながらいずれの場合も敗退していた。しかし今回、ついに勝者としてコートを去ることとなった。
ファイナルでは平均20.8得点、6.5リバウンド。セミファイナルと合わせた計7試合でも同16.1得点、6リバウンドを記録した髙田真希がプレーオフMVPを受賞した。異論など出る余地のない選出だった。
油断を許さなかった髙田真希の言葉
過去2年、デンソーはファイナルで敗れていた。今年こそはという思いは当然、あった。それはファイナル前、またファイナルの最中に髙田真希が発していた言葉にも表れていた。
昨シーズンのファイナルでは先に王手をかけながら頂点を逃したという経験もあってか、勝っても、徹底した自分たちを引き締めた。一切の油断を排除するのだという意思があった。
デンソーはファイナルの初戦を75-66で制した。が、最大19点差を詰められ、決して楽勝ではなかった。試合後、髙田は「まだ1勝しただけ。リードをする展開ではありましたけど、トヨタさんの強い気持ちはすごく感じましたし、すごく恐ろしかったです」と述べた。
第3戦後、この試合を69-59で制し王手をかけた際も髙田は、終了直後の円陣で「勝ったことは良かったけど、内容的には全然、だめだからね。」と仲間に伝えた。

チームメイトに指示を出す髙田‐永塚和志撮影
18年分の経験が生んだ頭脳的プレー
下部カテゴリーへの降格危機にさらされていたデンソーに2008年に入団した髙田真希。そこからの18年のキャリアで培ってきた技量とバスケットボールIQと落ち着きを駆使した。
「髙田選手は本当に体の使い方や、ディフェンスを見てプレーをしているなと、マッチアップをしていてすごく感じていた。マッチアップをする中でも学ぶことが多い選手です。今日、髙田選手にやれられてしまって、すごく悔しいです」。
ファイナルを通して髙田を守る役割を誰よりも長く任されたトヨタ自動車の岡本美優。髙田に26得点を許した第1戦目の終了後、このように語った。翌日の第2戦では57-41でシリーズをタイに。髙田のシュート数(フィールドゴール試投数は2Pの9本のみ)を抑え、12得点にとどめた。
髙田を抑える対策に「試行錯誤しながらやっている部分がある。」とした岡本。「髙田選手の得意な場所で持たせないというのを意識した。」と話した。
ところが、髙田は次の2試合で再び力量を発揮。それぞれ24得点、21得点でチームを牽引した。リングの近くでボールを持てばフェイダウェイを決め、外では3Pを重要局面でねじ込んだ。

高い精度で放った髙田のフリースロー‐永塚和志撮影
勝負を決めた髙田真希のファール誘発
その中で、トヨタ自動車に心理的な痛手を与えたのではないかと思われたのが、髙田真希が巧みにファールを誘ったことだ。
第4戦ではこんな場面があった。トヨタ自動車のディフェンスが良く、デンソーにシュートを打つ隙を与えない。24秒のシュートクロックは残りわずか。ボールは3Pラインの外に立つ髙田の手の中にある。2秒、1秒……。もう3Pシュートを打つしかないと思われた。しかし、髙田はドリブルをついて3Pラインの中にステップインをしてから、シュートにいった。
その刹那、審判の笛が鳴り響いた。あとほんの少しで24秒バイオレーションだったところで、トヨタ自動車は髙田にファールをしてしまった。ファールをするように、髙田から仕向けられたとしたほうがいいかもしれない。

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