
走塁などの細かいプレーにも余念が無い-Journal-ONE撮影
3部から1部へ―静かな革命
神戸医療未来大が3部リーグに在籍していた頃、注目度は決して高くなかった。
髙橋監督自身も、「下の部でも、いろいろな課題に向き合ってきた。」と振り返る。鳴門工業高、早稲田大とトップレベルの選手たちを指導してきた髙橋監督でも、想像できないようなできごともあったのだろう。
それでも、就任後からチームは着実に力をつけていく。派手な強さではない。既存選手の底上げと意識改革が、今のステージにチームを押し上げたのだということが良く分かる。
そして、いよいよ大学野球選手権出場という目標に、ベンチは冷静に歩みを進めている。「勝ったからすごい」のではなく、「勝つ準備ができていた」。1部リーグに上がった時と同じく、今もその姿勢は変わらない。
2年生投手が救った神宮への道
爲則太智が語る「選んだ理由」
「個々で考えて練習をするのが、神戸医療未来大です。こういった髙橋監督の指導方針がとても魅力だった」。そう語るのが、2年生右腕・爲則太智(市立和歌山高)だ。進学先を考える中で、髙橋監督の野球に惹かれたという。
負けられない試合の先発で好投
4月18日、大阪公立大との一戦は、神戸医療未来大の現在地を象徴する試合となった。前日に7得点を挙げていた大阪公立大打線を相手に、神戸医療未来大は序盤から主導権を握った。
2回、先頭打者の林翔吾(2年・東京農大二)が安打で出塁すると、四死球と3本の安打で一挙4得点ビッグイニングを作る。
つづく3回にも、山口銀河(3年・明秀学園日立)の二塁打で追加点 。その後、連打で反撃を試みる大阪公立大に流れを渡さない得点差を付け、終わってみれば7回コールド。勝ち点を争う3回戦に弾みを付ける試合展開となった。
そんな打線の援護を受け、先発マウンドを託された爲則太智が力投を見せる。
「直球とチェンジアップでカウントを取り続けることができた。」と、ストライクを先行させて打たせて取る投球に徹する。その結果、ここ一番での安打を許さず、無失点のイニングを重ねた。
バックも堅実な守備と集中打で応え、まさに投打が噛み合う展開。結局、爲則は5つの安打を許すも、6回を無失点。役割を完璧に果たし、チームを勝利に導いた。
スコアは8₋0と一方的に見えるが、点差以上に、神戸医療未来大の試合運びが際立った。焦らず、崩れず、やるべきことを徹底する。高橋監督が日頃から求める姿勢が、そのまま結果として表れた一戦だった。
この勝利でカードを1勝1敗のタイに戻した意味は大きい。優勝争いに踏みとどまるための、極めて価値ある白星だった。

4番に座った林からチャンスメイク-Journal-ONE撮影
希少姓「爲則」に込めた思い
「チームに貢献できてうれしい」。その言葉の裏には、責任感と成長の実感がある。2年生ながら、マウンドでの落ち着きは上級生以上。
ピンチを脱した際、咆哮する場面も見せた爲則の姿が印象的だった。しかし、本人は「あまり感情が出るタイプではないのですが。」とはにかんだ。
実は「爲則」という姓は、全国でも兵庫県内に約20人ほどしかいない非常に珍しい名字だ。「自分の親戚以外では聞いたことがない。」と、兵庫県姫路市出身の爲則自身も話す。
だからこそ、明治神宮球場のスコアボードにその名を刻むことへの思いは強い。佳境に入った優勝争いでは、「自分が登板する全ての試合に勝つことです。」と、シンプルだが、覚悟のこもった言葉を返してくれた。

6回無失点の好投を見せた爲則(神戸医療未来大)-Journal-ONE撮影
大学選手権を知るコーチの存在
一方、大学野球選手権出場へ向け、打撃陣の成長を支えているのが、大寺裕次郎コーチである。
愛知学院大時代に大学野球選手権を経験した大寺コーチ。リーグ戦優勝はもちろん、その先でも勝ち続けるために必要な実戦経験を誰よりも理解している。
「全国の強豪リーグに追いつくためには、打撃力の強化は必須。」と話す大寺コーチ。伝統的に投手力に定評のある愛知大学野球連盟に出向き、定期的に試合を重ねてきたと言う。
その積み重ねが、粘り強く投げ続ける投手陣に応える打線の成長につながっている。

大寺コーチ(左)は髙橋監督(右)の鳴門工時代の教え子-Journal-ONE撮影

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- 取材・文:
- 編集部-矢澤( 日本 )

大原 弘(和歌山大学硬式野球部 監督)
和歌山県和歌山市出身/1965年生まれ。本職は学習塾「GES」を運営する株式会社エスビジョングループ 提携事業本部長。
京都産業大学を卒業後、学習塾業界で30年以上にわたり小中高生の教育に携わる。並行して、母校・和歌山県立桐蔭高校野球部のコーチを務め、2008年、低迷していた和歌山大学硬式野球部の監督に就任。
就任当初、チームは近畿学生野球連盟3部に所属していたが、独自の指導哲学と組織づくりによりチーム力を急速に引き上げ、1部昇格。2017年春に初のリーグ優勝、同年の全日本大学野球選手権でベスト8進出という快挙を達成した。
指導理念は、「勝つことより、選手の人間形成」という明確な価値観を持つ。特に、選手が自ら考え、判断し、行動する力を養うために、和歌山大学硬式野球部は“ノーサイン野球”と呼ばれる独自の戦術を採用している。
また、学習塾で培った心理学・組織論・リーダー学を活かし、「動機づけ」「自律型人材の育成」を重視した教育的アプローチを導入。選手が“なぜその行動を取るのか”という視座を高めることを徹底している。
国公立大学として全国大会で勝利を重ねた指導は高く評価され、和歌山大学を「国立大の星」と称される存在へ押し上げた。
主な実績
2017年:第66回全日本大学野球選手権大会 初出場・ベスト8
2021年:第70回大会 ベスト16
近畿学生野球連盟 1部リーグ優勝(複数回)






















