「目先」がないシーズンで、川崎が見据えるもの
篠山竜青。川崎ブレイブサンダース再建期の最前線で、37歳の司令塔は「未来への投資」と「今を戦う責務」の狭間に立ち続けている。
4月15日、水曜日。川崎ブレイブサンダースはホームのとどろきアリーナに千葉ジェッツを迎え撃った。CS圏内の千葉には「目先」を求めて戦う理由がある。一方、この時点で14勝38敗、東地区で下から2番目の成績の川崎。そこにはそれがない。
川崎が全力で戦う必要がないとしているわけではない。ただ、チームが「目先」だけではなく、「その先」も強く意識していることは確かだ。
「その先」とは来季以降のことだ。ニック・ファジーカスや藤井祐眞といった主力が2年前にチームを去った川崎は、再建の最中にいる。そのことに疑問の余地はない。昨季は18勝42敗で中地区の最下位だった。毎年、上位の成績を収めプレーオフ進出の候補であり続けた姿は、過去のものとなった。

ASG・スキルズチャレンジで競い合った篠山と富樫(千葉J)‐Journal-ONE撮影
若手起用とベテランの役割、その両立は可能か
そうした状況の中でのこのシーズン最終盤。チームが「先」を見据えて米須玲音(23歳)や岡田大河(21歳)、山内ジャヘル琉人(23歳)といった若手を積極的に起用しているように見える。
そして、司令塔として長らく川崎を支えてきた37歳のベテランポイントガードの篠山竜青。彼がコートに立つ時間は20分弱であるシーズンの平均出場時間を割ることが増えている。開幕から大半の試合で務めていた先発も、3月8日の滋賀レイクス戦以降はない。
チームが「先」に対しての投資をすることは、何らおかしいことではない。篠山はその前提を述べつつも、しかし、それだけでいいのかとも考える。
「残りのシーズン、CS(チャンピオンシップ)の可能性もない。降格もない。未来への投資で若手を使う。これ、当たり前なんですよ。絶対、そう。自分がGMでもヘッドコーチでもそうします」。

出場機会が増えた増田-永塚和志撮影
篠山竜青が考える「トライ・アンド・エラー」の本質
試合での経験は練習を遥かに凌駕するといった、常套句がスポーツにはある。換言すれば、試合でしか得られないものがあるということだ。篠山竜青は、米須ら若手が相手という敵を対峙する中で多くを吸収する機会を与えられていることについても当然、否定的なわけではない。
「ジャヘルとか米須とか、若い選手たちが未来につながるように今、トライ・アンド・エラーを繰り返していやっている。そのことに対して、異議を唱えたいとか、そういうのはまったくないです。(プレーで)リスクを取らないということだけはやってほしくないと、彼らにも言っています。常にリスクを取ってアタックして欲しい。加えて、ファールになるかどうかわからない中でもアグレッシブにディフェンスして欲しい。トライ・アンド・エラーを繰り返していくことが彼らの成長につながるし、それがクラブの成長にもつながる。自分もそうしてきました。だからそこに関しては『どうぞ、存分にやりなさい』って思っています」。
なれど、自分もいるぞ――。彼自身がそのような言葉を口にしたわけではない。しかし、篠山は「篠山竜青」という選手がこれまでの15年のキャリアで培ってきた司令塔としての技量などについて、自負を滲ませる。

篠山竜青らしいプレーで魅せる-永塚和志撮影
ゲームを“軽くする”という司令塔の仕事
速さから「正しさ」へ――川崎のバスケットの変化
この千葉Jとの試合。開始直後の川崎は速い展開からの攻めが効果的だった。その結果、21-19と相手に対してリードして最初のクォーターを終える。だが、そこから千葉Jがディフェンスを調整したことなどで、川崎の速攻は出づらくなった。最後は引き離され、63-84で敗れた。
相手のしてくることに対して対応を繰り返すのがバスケットボールという競技である。だから、このようなことは珍しいことではない。ある時間帯で走り続けることが奏功していても、それを続けることは容易ではないのだ。
だからこそ、篠山竜青という熟達の選手を抱える意義がある。今シーズン、川崎は、開幕から1か月強で不振の責任を取る形でネノ・ギンズブルグHCとの契約を解除した。そして、アシスタントコーチだった勝久ジェフリー氏を指揮官として据えた。

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