伊予銀行ヴェールズが韓国へ
2026年に愛知県で開催される”第20回アジア競技大会(以下、アジア大会)”でのメダル獲得を目指している女子ソフトボール韓国代表チーム。大会を来年に控えたこの夏、さらなるチーム力アップのため、日本の女子ソフトボールトップリーグ・JD.LEAGUE(以下、JDリーグ)に所属するチームを韓国に招き、合同合宿を行った。
今回、 韓国代表チームが練習を行っている鎮川ナショナルトレーニングセンターに姿を見せたのは愛媛県松山市を拠点にしている”伊予銀行ヴェールズ(以下、伊予銀行)”。愛媛県が繋いだご縁として昨年から交流が始まったのだが、そのきっかけは愛媛県西条市出身の久門篤志監督と、藤本あさ子コーチが日本人として初めて韓国代表チームの指導者に就任したことだった。

九門篤志監督(写真右)と石村寛監督(同左)は共に愛媛県出身のソフトボール指導者-Journal-ONE撮影
久門監督は37年にわたって高校生を指導してきた名将。2013年の全国高校総体(インターハイ)では松山工業高校の男子ソフトボール部を全国優勝に導き、2015年の第70回国民体育大会(紀の国わかやま国体)でも、少年男子の部で愛媛県に初優勝をもたらした実績がある。
伊予銀行の石村寛監督も同じ愛媛県出身ということもあり、指導者として繋がりがある二人のご縁がこの交流を実現させた。昨年は韓国代表チームが愛媛県松山市を訪れ、二日間で練習試合と合同練習を実施。伊予銀行の選手たちにとって初めての試みで言語の壁はあったものの、トップアスリートレベルとしてソフトボールを追求するもの同士。ジェスチャーを使いながらコミュニケーショを取り合い、お互いに充実した二日間を過ごした。
そして今回、第2回目となる合同合宿が韓国で開催。日程を7月1日から7日までに拡大して、海を越えたソフトボール交流が始まった。
韓国代表チームが笑顔でお出迎え
ソウルから車で1時間30分、忠清北道の北西部に位置する鎮川郡にあるトップアスリート養成所の鎮川ナショナルトレーニングセンター内のソフトボール専用球場。合宿を取材するため特別に入場を許されたJournal-ONE編集部は、大きなゲートのあるエントランスから坂道を歩いて球場へ向かう。

巨大な鎮川ナショナルトレーニングセンターの入口-Journal-ONE撮影

巨大トレーニング室前にはTEAM KOREAのオブジェが-Journal-ONE撮影
グラウンドに近づくにつれて聞こえてくる選手たちの元気な声にテンションが上がるが、韓国も日本と同じく午前中から気温も上がる。痛々しい程に照りつける強い日射しの中、この長期合宿最終日となる両チームの選手たちは疲労感も見えない充実した顔つきで練習を行っていた。
Journal-ONE編集部の顔を見ると、「アニョハセヨー!」と元気な声で挨拶してくれる韓国代表の選手たち。アジア大会、ロサンゼルスオリンピックに向け、激しい選考が繰り返される代表チーム。それでも競争を勝ち抜き、今夏も代表に選ばれた半数以上の選手たちは、昨年の交流を取材したJournal-ONEを覚えていてくれて、朝から気持ちが晴れやかになった。

いよいよ迎えた合宿最終日-Journal-ONE撮影
この日のメニューは練習試合のダブルヘッダー。選手たちが試合に向けた準備を行うなか、韓国代表チームの久門監督と藤本コーチが笑顔で迎えてくれた。「今年もよろしくお願いします」と挨拶をして交流取材が始まった。
今回の合宿のスケジュールは合同練習や試合はもちろん、地元の学生たちにクリニックを開催するという昨年には無かったスケジュール。クリニックでは伊予銀行、韓国代表の選手たちが入り混じって先生役に。「言語が違い、微妙なニュアンスが伝わり難い状況であっても、トップレベルの指導を受けた学生たちの熱心な姿に感心した」と、伊予銀行の選手たちもやり甲斐を感じたという。
そんな貴重な経験をしながらお互いにもスキルアップに努めた合宿もついに最終日。これまでの合宿の成果を見るため、練習試合を行いこの合宿を締めるというのだ。

