Wリーグ セミファイナル最終戦。重要なのは「勢い」より「準備」。その点において、デンソーは第1クォーターで明確に一歩抜け出していた。

序盤の3Pでチームを勢い付けた木村亜美-Journal-ONE撮影
第2クォーター|外角勝負で浮かび上がった精度の差
第2クォーターに入ると、両者のディフェンス強度はさらに引き上げられる。
インサイドでは身体がぶつかり合い、簡単な得点は許されない。富士通も修正を試みるが、デンソーのヘルプは一歩早く、ペイントエリアでの選択肢を次々と消していく。
そうなれば、試合は必然的に外角勝負になる。そして、その局面で明暗が分かれた。
デンソーのショットは淀みなく、そして正確だった。パスが回り、シュートが放たれ、リングを射抜く。その一連の流れに迷いがない。その結果、スコアは28―16と広がり、会場の空気もデンソー寄りへと傾いていく。
タイムアウト後、富士通も#10町田瑠唯から#52宮澤への速いパスが通り、3ポイントを決める場面はあった。しかし、それはあくまで単発的な反撃にとどまる。流れそのものを動かすには至らず、得点は思うように伸びていかない。
前半終了時のスコアは33―23。デンソーが主導権を握ったまま、試合は折り返しを迎えた。この時点で、試合はデンソーのペースで「管理」されていたと言ってよかった。

アシストにシュートに高い俊敏性を見せた川井麻衣-Journal-ONE撮影
第3クォーター|富士通の反撃、そして分岐点
後半開始と同時に、富士通は一段ギアを上げる。
10点差という厳しい状況の中、突破口となったのはやはり#52宮澤夕貴だった。立ち上がりから3ポイントを沈めると、残り5分21秒にも再び外角からネットを揺らす。スコアは35―31。一気に4点差まで詰め寄った。
この流れに、デンソーはたまらずタイムアウトを取る。
しかし、そのタイムアウト以降も富士通のリズムは続いた。宮澤を強く意識させたことで、ディフェンスにわずかなズレが生まれる。その隙を突いて町田がレイアップを決め、ついに同点へ。さらに次のポゼッションでも宮澤が3ポイントを沈め、逆転に成功する。
残り2分53秒、スコアは35―38。ようやく富士通が、このWリーグ セミファイナルで目指してきたテンポを取り戻した瞬間だった。
だが、この直後、試合の流れを大きく左右する出来事が起きる。激しさを増すペイントエリアでの攻防の中、富士通のセンター#8ジョシュアンフォンス・テミトペが倒れ込む。その結果、退場となったアクシデントは、インサイドの支柱を欠くという、大きな代償だった。
デンソーも#8髙田真希がフリースロー2本を沈めて食い下がるが、スコアは39―44。それでも富士通がリードを保ったまま、勝負は最終クォーターへ委ねられた。

逆転の3Pを決めた宮澤夕貴-Journal-ONE撮影
第4クォーター|「我慢」が報われたデンソーの10分間
最後の10分間は、このシリーズのすべてが凝縮された時間だった。
強度、集中力、そして一瞬の判断。そのどれが欠けても、勝利には届かない。まず流れを引き戻したのはデンソーだった。
#13木村亜美が思い切りよくペイントエリアへ切れ込み、41―44。さらに髙田のスティールから#21笠置晴菜が2ポイントを沈め、スコアは瞬く間に43―44へと縮まる。
守って、走って、確実に決める。デンソーがこのシリーズで積み重ねてきた「基本」が、ここで結実し始めた。
続く場面で#4川井麻衣がフリースロー2本を確実に沈め、ついに45―44と逆転。さらに#73今野紀花が放った3ポイントがリングを射抜くと、スコアは48―44。会場の空気は一変し、完全にデンソーのものとなった。
それでも富士通は最後まで諦めなかった。宮澤がフリースロー3本を沈め、48―47。その一本一本に、エースとしての責任がにじんでいた。だが、最終局面で主導権を握り続けたのはデンソーだった。
川井が冷静に連続得点を挙げ、52―47。大崩れはせず、しかし決して逃げに入らない。その姿勢こそが、デンソーの強さだった。
そして試合は59―58。1点差という、あまりにも象徴的なスコアで幕を閉じた。
死闘を制したデンソーがWリーグ ファイナル進出を決めた。しかし一方で、最後まで食らいついた富士通の健闘。こちらもまた、このWリーグ セミファイナルを名勝負へと押し上げていた。






















