全国大会が安芸市にもたらす熱量と広がり
女子野球全国大会の進化と競技レベルの向上
女子野球が、地域の未来を動かす大きな力となっている。
ゴールデンウイークが明け、各地の観光地は一息ついたところ。しかし、高知県安芸市はさらに盛り上がりを見せている。
観光が主要産業のひとつである高知県。そのピークが過ぎる時期にも関わらず、ここは人の流れが絶えない。選手たちの明るい声が響き、活気が溢れているのが印象的だ。
今年で12回目を迎えた春の大学日本一を決める全日本大学女子硬式野球春季大会。安芸市営球場をメイン会場に、今年は過去最多となる23大学が集まった。
全国から集まった選手、関係者、そして応援に訪れた家族やファンが街を行き交う。7日間の期間中、安芸市や高知市などが一つの大会会場のような賑わいを見せている。
今年より名称を全日本大学女子硬式野球春季大会に変更した本大会。新予選方式を採用するなどさらに盛り上がりを見せている。大会形式の刷新により、より多くのチームに活躍の機会が生まれ、試合の緊張感やドラマ性も一層高まった。

2024年に大会を制した平成国際大学-Journal-ONE撮影
全国から集う大学と初夏の高知での熱戦
昨年、創部3年目で全国の頂点に立った仙台大学。その決勝戦で、1点及ばず涙を呑んだ大阪体育大学。さらに2024年の覇者、平成国際大を筆頭に、実力校が集結した今大会。初夏の晴れ渡った高知の空の下で熱いプレーを見せている。
一戦一戦にかける選手たちの思いは強い。加えて、観客の声援も重なりスタジアムの熱気は日に日に増している。
北は北海道から、南は山口県まで参加した23校は以下の通りだ。初出場(★)が5校と、女子野球のすそ野拡大が一目で分かる顔ぶれとなった。初出場校が、どういった野球を魅せるのかも楽しみの一つだ。
札幌国際大学(北海道)
仙台大学(宮城県)
★日本ウェルネススポーツ大学(茨城県)
平成国際大学(埼玉県)
尚美学園大学(埼玉県)
秀明大学(千葉県)
★明治大学(東京都)
新潟医療福祉大学(新潟県)
福井工業大学(福井県)
東海大学静岡キャンパス(静岡県)
日本大学国際関係学部(静岡県)
至学館大学(愛知県)
★東海学院大学(岐阜県)
びわこ成蹊スポーツ大学(滋賀県)
京都文教大学(京都府)
大阪体育大学(大阪府)
桃山学院大学(大阪府)
関西学院大学(兵庫県)
★神戸女子大学(兵庫県)
IPU環太平洋大学(岡山県)
吉備国際大学(岡山県)
★広島都市学園大学(広島県)
至誠館大学(山口県)

大会初参戦の明治大学の選手たち‐Journal-ONE撮影
大会誘致を支えた関係者の思いと行政の役割
女子野球大会誘致に込めた危機感と挑戦
この大会を後援する団体のひとつが、公益財団法人高知県観光コンベンション協会だ。
同協会の坂本龍馬スポーツ部長は、本大会の誘致から尽力していたという。地方都市における新たな観光の柱としてスポーツイベントに着目した高知県。その後、粘り強い交渉と提案を続けてきた結果が、現在の大会開催へとつながっている。
全日本女子野球連盟と共に、主催者となっている安芸市。管理している安芸市営球場を貸し出し、大学女子野球の発展に貢献している。
自治体と競技団体が連携し、競技の普及と地域振興を両立させる好例といえるだろう。

アクセスとなる”ごめんなはり線”から見る雄大な太平洋-Journal-ONE撮影
タイガースタウンの歴史と新たな活用
この安芸市営球場は、別名“安芸タイガース球場”と呼ばれている。1965年度から阪神タイガースがキャンプ地として使用していることに由来する。
しかし、2003年から春季キャンプが沖縄へ移るなど、その賑わいは減少。加えて、一軍キャンプは2011年、二軍キャンプも2022年をもって撤退。現在は、秋季キャンプのみでの使用に限られてしまった。
かつて多くのファンで賑わった春の安芸市営球場。その存在感が薄れつつある現状に、地域の危機感が募っていた。
「このままでは、かつての賑わいが失われてしまう。」そう危機感を覚えた坂本部長らが、熱心なセールスを行った。その結果、大学女子野球の春季全国大会が開催されることになったという。
新たなスポーツの受け皿として女子野球に目を向けた発想が、大きな転換点となった。

多くのファンで賑わうかつての阪神安芸キャンプ‐Journal-ONE撮影















