どこまで準備し、どこまで修正し、どこまで自分たちを信じ切れるか。その答えを、トヨタ自動車アンテロープスは40分間で示した。
第1クォーター|入りの5分で示された「準備の差」
試合開始直後から、トヨタ自動車はギアを一段階上げて入った。攻守の切り替え、パスコースの限定、リバウンド後の初動。そのすべてが速い。
象徴的だったのが、#23 山本麻衣と#13 安間詩織だった。ディフェンスリバウンドから一気に相手陣内に切り込む。#14平下愛佳の狙い澄ましたスティールに、ひるまず外角からシュートを放つ山本と安間。
序盤からペースを掴んだトヨタ自動車が、得意の“守って走る”展開に一気に持ち込んだ。
後半も、#7 横山智那美のゲームメイクから#30 三浦舞華がテンポ良く加点し、10―4。トヨタ紡織は早い段階でモメンタムを失い、それがシュートの精度にも影響を及ぼしていく。
特に、トヨタ自動車のディフェンスが統率されていた。インサイドへのエントリーを徹底して遮断。前日に主役だったジェシカへのボール供給を最初から許さず、外角主体の攻撃を強いる。
19―11。スコア以上に、「試合の入り」を完全に掌握した10分間だった。

攻守に力を発揮したトヨタ自動車の平下-Journal-ONE撮影
第2クォーター|「王者の」圧力で、試合が一気に傾く
第2クォーターに入ると、トヨタ自動車はさらにディフェンスの圧を強める。これにより、“守って走る”チームカラーが一層彩りを増す展開となった。
#42 田中平和、横山がセカンドチャンスを確実に得点へ結びつけ、開始2分で26―13。ポイントガードへのプレッシャーが厳しく、トヨタ紡織はセットオフェンスに入る前に時間を削られていく。
流れを変えようとトヨタ紡織がタイムアウト。しかし、それでも流れを変えさせない。平下の3ポイントが沈んで、31―15と差を広げた。
ゴール下ではアマカがリバウンドとフィニッシュで存在感を発揮し、再三のセカンドチャンスを生み出した。トヨタ紡織は外角で打開を試みるが、この日はシュートタッチに恵まれない。
#11 岡本美優のアウトサイドも決まり、前半終了時点でスコアは44―25。ここまでトヨタ紡織が12本放った3ポイントはすべて不発となった。
これは、トヨタ自動車のディフェンスが、攻撃の選択肢そのものを奪っていた証だ。

2本の3ポイントを沈めて岡本は満面の笑み‐Journal-ONE撮影
第3クォーター|修正を許さない完成度、勝負を決めた10分
トヨタ紡織にとっては、ここで流れを変えなければならない10分だった。外角で活路を探るが、トヨタ自動車は一切の緩みを見せない。
48―27で迎えた5分過ぎ、ようやくトヨタ紡織の#18 伊波美空に3ポイントが生まれる。しかし、その直後に平下が即座に3Pポイントを入れ返す。
その後、トヨタ自動車は三浦がドライブで確実に2点を積み上げて53―30とする。加えて、田中も負けじと3ポイントを打ち込み、58―33とトヨタ自動車が点差を広げにかかった。
一方のトヨタ紡織は、インサイドにボールが入らない以上、外から打つしかない。だが待っているのは、トヨタ自動車のライン際まで追い込むプレッシャーと素早いローテーションだった。
修正の選択肢を、最初から与えない。それが、この第3クォーターのトヨタ自動車だった。

ここぞの場面で得点を重ねた三浦-Journal-ONE撮影
第4クォーター|13人で締め切った40分
25点差で迎えた最終クォーター。
開始早々、山本の3ポイントで61―35。トヨタ自動車は無理に攻め急がず、時間を使いながら確実に試合をコントロールする。
対するトヨタ紡織もフリースローで点差を詰めようとするが、最後まで3ポイントが安定しない。
すると、トヨタ自動車は#3 小野寺佑奈が個人技でゴール下を切り裂く。再び点差は広がり、残り3分を切って69―45。
トヨタ自動車は、三浦、横山、#1 古木梨子が精度の高いフリースローを見せる。こうして、最後までモメンタムを渡さず、ベンチメンバー13人全員が出場したトヨタ自動車。チーム全員で勝利を掴み、シリーズを締めくくった。

勝利の瞬間、喜びを爆発させた(左から)金田・横山・古木-Journal-ONE撮影




















