彼らは、1部から3部までの試合運営をはじめ、試合中の写真撮影、SNSやホームページを通じた情報発信、さらにはスポーツナビへ提供するライブ中継の制作まで担っている。
グラウンドの内外で、学生たちが自らの手でリーグを動かしている。単に“学生主体”を掲げるだけではなく、実際の運営の細部にまで学生の力が行き届いている点こそ、近畿学生野球連盟の真骨頂だ。
「学生が主役のリーグ」という言葉は、この場所では理念ではなく現実である。
彼らが動くことでリーグが回り、彼らが発信することでリーグが広がり、彼らが支えることでリーグが未来へと続いていく。そんな循環が、静かだが確かな熱を帯びて息づいている。
学生本部委員長・竹内海人さんの物語
その学生委員の中心に立つのが、神戸医療未来大学3年生の竹内海人さんだ。 通常、委員長は最上級生が務めることが多い。しかし竹内さんは、3年生にしてその大役を任された。
「通例では最上級生が担う役割を与えていただき、日々勉強になります。」と語る竹内さん。その表情は、責任感と誇りに満ちていた。将来の夢を尋ねると、迷いのない声が返ってきた。
「卒業後は体育教師になって、後進の指導にあたりたいです。まずはJICAの海外青年協力隊に応募して、海外で子どもたちに野球を教えたい。その後は母校の岡山東商に戻って、後輩たちと一緒に甲子園を目指したいです。」
真っ直ぐな目で語るその姿は、大学野球の未来そのものだった。

竹内さんが学ぶ神戸医療未来大学も強豪だ‐近畿学生野球連盟提供
宮崎朗理事長が語る「連盟運営」の哲学
学生主体の運営を支えるのが、近畿学生野球連盟の理事長・宮崎朗さんだ。
「学生主体の運営を目指して、色々と工夫を重ねています。お金のない連盟なので大きなことはできませんが(笑)」と、冗談めかして語る宮崎さん。しかし、その言葉の奥には確かな信念がある。
SNSや動画配信といった現代のスポーツイベントに欠かせない領域を学生に任せ、在校生・OB・大学野球ファンのニーズに応える。学生の自主性を尊重し、彼らが活躍できる場をつくる。その姿勢が、リーグ全体の活気につながっている。

宮崎朗理事長と竹内海人学生本部委員長-Journal-ONE撮影
連盟は選手のために、選手は連盟のために
宮崎さんは、選手たちが公正な環境で戦えるよう、細かな改革も進めている。それは、「今シーズンから、節ごとの同一カードの試合開始時間を統一したのです。」とのこと。
近畿学生野球連盟には、奈良県、和歌山県、兵庫県など、遠方から試合に臨む大学も多い。移動バスや寮を持たない大学が多い中で、選手の疲労を軽減し、パフォーマンスを最大限に発揮できるようにするための配慮だ。
加えて、取材中にひときわ目を引いたのが、選手たちの機敏な攻守交代だ。
Journal-ONEが取材したのは、開幕節の2日目。大阪工業大学×神戸医療福祉大学、阪南大学×和歌山大学の2試合だった。
「近畿学生野球連盟では、1日で3試合を消化します。そのため、スピーディーな攻守交代をしなければ運営自体に支障が出るのです。」と、宮崎さんが選手たちも出来る限りの協力をしていることを教えてくれた。
試合間のグラウンド整備も、どの大学も驚くほど素早い。高校野球と大学野球は同じ学生野球だから機敏に動いて当たり前。——その精神が、グラウンドの隅々にまで宿っている。

俊敏な選手の動きが目を引く阪南大学-近畿学生野球連盟提供
少子化時代の大学スポーツと、グラウンド確保の苦悩
大学スポーツを取り巻く環境は、年々厳しさを増している。女子大の共学化、国公立大学の合併など、大学そのものが変化を求められている。
「女子大はそもそも硬式野球ができるグラウンドを持ち合わせていません。広さ自体もそこまで大きいキャンパスでない場合もあります。」と、宮崎さんは運営の苦労を率直に語る。
1部リーグは、他のリーグと同様に何とか球場を確保している。近畿学生野球連盟のホームは、大阪シティ信用金庫スタジアムとGOSANDO南港野球場だ。
一方、どのリーグも下部リーグは各校のグラウンドを使うケースが多い。しかし、前述のような大学が多いと、外にグラウンドを多く求める必要があると言うのだ。
それでも連盟は、この秋から通信制の星槎大学を受け入れるなど、多様化する大学の現状に柔軟に対応。こういった一つひとつの変化に目を配る。






















