彼らの多くがベテランであるから個人としての経験もある。それに加えて、チームという集団で共に戦ってきたという経験が、大きいように感じられる。
石井は三河の選手たちについてこう話す。
「おのおのが自分の役割をしっかりと理解して、チームに貢献するということをレベル高くできているという手応えがある。それゆえ、(試合の)後半で勝ち切れているゲームが増えてきている」。
このことは、自身のそれだけではあるまい。より長い時間、ともにプレーをしてきたから、仲間の役割も理解しているということにもなるだろう。だからこそ、劣勢に立たされる、物事がうまく運ばない時などでも、どの役割のできるどの選手を使えばいいかという精神状態でいられるのではないか。だからこそ、焦らない。右往左往することがない。

ベテラン・石井はチームに手応えを感じている‐Journal-ONE撮影
CSへ向けた覚悟とタフネス
43勝17敗を記録した三河は、西地区の2位でレギュラーシーズンを終えた。これが3年連続でのポストシーズン進出だということは触れた。それでも、過去2年とは違い、クォーターファイナルをホームで戦うことが決まった。
戦う気構えもできているように見える。三遠との試合の第3クォーター。三河のケネディがインサイドで相手のビッグマン、キャメロン・ジャクソンをファールで止めた。激しく当たったためにジャクソンは、リング下で倒れた。
直後、シェーファー アヴィ幸樹がジャクソンのところへ駆け寄ろうとする。彼を起こしにいこうとしていたように見えた。ところが、ケネディがシェーファーを制した。「そんなことはしなくてもいい」。ケネディがシェーファーにそのようなことを言ったかどうかまでは、わからない。あくまで、外野からはそのように見えた。
「すばらしい」。
彼自身は気づかなかったそうだ。しかし、リッチマンHCは記者からそうしたことがあったと聞かされて、このように反応した。
「明日、チームに共有することにします。なぜならプレーオフとはそういうものだからです。相手に対してケガをさせてしまうなど、失礼なことをする必要はありません。ですが、相手の選手を起こすのを手伝わないというタフネスはチームの結びつきをより高めます」。

シーホース三河のリッチマンHC‐永塚和志撮影
CS制覇へ、危機感と自信の両立
三河のクォーターファイナルでの相手は、琉球ゴールデンキングスとなった。過去4年連続でファイナルに進出しており、優勝も果たしている難敵だ。
過去2度のCSで三河は、いずれの際にも1つの白星も挙げられず敗退している。そういった経験をしているからこそ、ポストシーズンには魔物が顔を出し、ほんの1つのプレーが流れを変えてしまうことを、彼らは知っている。
シーズン終盤に連勝をしていた時でも、開いた点差を相手に詰められる試合もあった。25日の三遠戦での勝利はあまりに三河のいいところが出た試合となった。須田はディフェンスで「突破口を見出」すことができたことで試合を「ドミネートできた」と高い評価を自チームに与えた。
「これがどの相手にでもできれば、優勝というところも自ずと見えてくると思います」。
だが実際は、事がうまく運び続けることのほうが少ない。リッチマン氏が指揮官となってチーム作りがなされ、酸いも甘いも経験してきた三河。彼らに、それがわからないはずがない。
そして須田は、「危機感を持つことは大事」だと、あらためて言い聞かせるかのように話した。
「CSなんて流れ一つで(試合の趨勢が)変わってくる。だから、危機感とか慎重さみたいなものを持ちながらも大胆にやる。そこのバランスみたいものは大事にしていかないとと思っています」。
2025-26シーズンの最大の山場、CSが開幕する。培ってきたものに基づいた自信と、油断を排除するための危機感。シーホース三河はその2つを胸に、ポストシーズンに挑む。

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